香り
久しぶりの短編…(((o(*゜▽゜*)o)))
1000字に満たないので読みやすいかと思われます
花の香りが鼻をつく。
やけに臭くなりすぎない、いい香りだ。
俺は花の香りが嫌いだ。臭くて鼻が曲がって頭痛が襲うから。
だが、彼女とすれ違うたび鼻をつくその花の香りだけは俺は好きだった。
彼女は百合のような人で、そこにいるだけで華になる。
他の花たちが彼女を囲んでも彼女だけは一際咲き誇っていた。
俺はそんな華に吸い寄せられる蜜蜂のように彼女に釘付けになった。
俺はもう彼女の香りから逃れられない。
それくらい彼女は魅惑的な香りを放っていた。
俺にとっては危険だった。俺が俺じゃなくなるから。
しかし、1度覚えてしまった匂いはもう頭から離れる事は出来なかった。
更に求めるようになってしまったのである。
もっと、もっと彼女の香りを傍で楽しみたい。
俺は眠れなくなってしまった。
彼女の香りが唯一俺を眠らせてくれる香りになっていた。
彼女の傍には俺以外にも余計な害虫どもがいる。
俺はその害虫が気に食わない。
俺だけが彼女の香りを独占していたかったのだ。
毎日毎日、その害虫たちを跳ね除けては彼女に近寄らせないために様々な手を尽くした。
そんなある日、奇跡が起きる。彼女は俺のものになったのである。
毎日、彼女の傍に行っては彼女の香りを楽しんだ。
優越感に満たされている心地よい瞬間であった。
ある日、彼女は突然その香りを変える。
ひどく臭い嫌な香りに変わり、百合のようであったその姿を醜い花に変えてしまったのである。
俺は心底失望した。
もう二度とその香りを楽しめないのだと思うと残念で仕方がない。
俺は彼女の傍から離れることにした。
彼女は泣きながら俺の袖を掴み、必死に引き留めようとしている。
だが、もう用はないのだ。俺を虜にしたあの香りが無ければ。
掴んで離さない彼女を突き放し、俺は彼女の前から姿を消したのである。
俺が彼女から離れた数日後、彼女は命を絶った。
花のように儚い人生であった。
きっとその香りは彼女の命が短い事を知らせていたのだろう。
そうして俺は、そんな彼女など気にかけず再び探しに行くのだ。
あの魅惑的な危険な香りを求めて。
最後まで男は香りを愛していました。
香りに人生を狂わせられた男の末路は、決して穏やかではないでしょう。
ご一読ありがとうございました!(*´︶`*)ฅ




