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美少女とお友達になったようです

「へ?」


素直に頭を下げた俺の態度が意外だったのか、美少女が変な声を出した。


「か…かわい…げふんげふん、俺はアレク武器店で今日から働きはじめたサコンです。よろしく」


危ない、また心の声がそのまま出るところだった。

慌てて自己紹介をして誤魔化してみる。


「アレク武器店…?ああ、あのとんでもなくボロっちい店ね。もうとっくに潰れたと思ってたけど」


「まぁ…潰れかけかもしれないけど、今のところ何とか頑張ってる…はず、というか今日から頑張ってるんで」


「へ、へぇ…でもあんな店で私たちに喧嘩を売ろうなんて、いい度胸じゃないの」


調子を取り戻した美少女が、再び胸を張ってびしっ、と指差してくる。

うーん、胸を張っても、その、なんというか、平面だった…。


「ちょっと…どこ見てんのよ」


ついついまな板…ならぬ胸元に視線をやる俺に気づいた美少女が顔を真っ赤にして怒る。


「あ、いや、ごめん、かわいいなって…」


「はぁぁぁっ!?!?」


真っ赤を通り越してトマトみたいになった美少女がげほげほと咳き込んで、従者が慌てて駆け寄って背中をさする。


「ごめん、間違えた!…いや、厳密には間違ってはいないんだけど、とにかくエンドラさんに喧嘩を売るつもりはないよ」


「ぜぇぜぇ…じゃ、じゃあなんでスパイしてたのよ」


「俺転生者で…武器屋のこととかこの世界のこと何も知らないから、勉強させてもらおうと思ったんだ。すまん」


「え、あ、いや、別にそれならいいのだけど…アタシはてっきりなんか企んでるのかと…」


「うーん、正直想定するお客さんの層がまったく違うから、エンドラさんに迷惑は掛けないよ」


「そ、そりゃ当然ね。うちは一代限りとはいえ騎士の称号も許された誇り高い商人なんだから!」


「へぇ…それはすごいなぁ」


つまりは王室御用達ブランドということだろう。

素直にそれは凄いことだと思う。

きっと先祖代々たゆまない努力をして、今の地位を築いたということだから。


「そうよ、お父様は凄いんだから!」


そう言ってまた無い胸を張るので、視線がそちらに行かないように気をつける。

なるほど、ってことはこの子はエンドラの跡取り娘というところか。


「もし良かったら、また色々情報交換させてくれないかな?」


「無礼な!お嬢様が貴様のような潰れかけの武器屋とこれ以上口を利くと思うか!」


それまで控えていた従者が、我慢できないといった感じで口を開く。

俺はカチンと来て、気がつけば反論の口火を切っていた。


「それはアンタが決めることじゃない。俺はこのお嬢さんと話をしてるんだ。だいたい話しかけてきたのはそっちだろ」


「ぐ…それは…」


「それにな、規模や知名度は負けてるかもしれないけど、同じ武器屋じゃないか。 潰しあうよりは、うまく共存共栄したほうがいいだろ」


「…アンタ、なかなか面白いこというじゃない。情報交換して、うちにどんな利点があるのかしら?」


「うーん、例えば腕のいい武器職人の情報を教えあってもいいし、万が一同じ取り扱い商品があれば共同で仕入れて単価を下げるなんてこともできるかも。客層が違うからお互いにとっての利益になるはずだ。金持ちの客が間違えてうちに来たら、エンドラさんを紹介してもいい」


正直、この世界の武器屋の仕入先がどこかも知らないので半分は口からでまかせだ。

とはいえ、未成熟の業界においては、同業者が助け合うことには大きな意味がある。

競争が意味を持つのは、ある程度市場が大きくなり、差別化が難しくなってからだ。

市場そのものが小さいうちは、むやみと争うより、むしろ住み分けや協業で市場そのものを大きくするほうが先だ…とスキルが俺に教えてくれる。

そんな思いが通じたのかは分からないが、なんとか説得できたようだ。


「ふん、ほとんどありえなさそうな話ばっかりよくも並べたもんだわ。…その度胸に免じて、時々なら話してやってもいいわよ…(かわいいっていってくれたし…)」


「お嬢様…!?」


「いいの!決めるのはアタシよ、彼の言うとおりね」


「ありがとう!正直、途方に暮れてたんで助かるよ…あ、名前教えてもらってもいいかな?」


「アタシはアレア、アレア・エンドラよ。…アタシが暇でどうしようもなかったら、お店に来たら少しぐらい話してやってもいいわよ」


「よし、じゃあ楽しみにしてるな!」


おっと、もう結構な時間が過ぎてしまったから、そろそろ店に戻ろう。

俺はアレアと別れ、急いで帰ることにした。

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