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転生したけどチートスキルには恵まれていないようです

俺の名は高山左近、 27歳。

元エリート(?)銀行員で、今は…転生先の異世界でコンサルタントやってます、はい。


ちょっと自分語りをさせてもらおう。

就職活動を勝ち抜き、誰もがうらやむ大手銀行に内定をもらい、安泰した生活を送れると思ったのもつかの間。

酒好きの上司に深夜まで付き合わされ泥酔し、ふらついてホームに転落。

ちょうど滑り込んできた電車に轢かれる…と思ったら、いわゆる剣と魔法の異世界に転生していた。


この世界…というか国では転生者はそれほど珍しくないらしく、俺のこともすぐ受け入れてくれたのは助かった。

転生者の居住区に粗末な小屋を仮住まいとして与えられ、当座の資金ももらえるのだ。

ここエル・アジル王国は、王様が寛大かつ開明的で、転生者を積極的に活用する方針らしい。

といっても、支給されたのは500ファジール…日本円で5万円ほどだろうか。

1月ぐらいならどうにか食いつなげる…そんなレベルの金額だ。


このお金が尽きたら、もうそっから先は自分でなんとかするしかないらしい。

とりあえず頑張って働け、的なことをお役人さんに言われ、まずはスキル鑑定とやらを試させられた。


名前:高山左近

種族:人間

Lv:1

HP:60

MP:20

筋力:12

知性:38

魔力:4

敏捷:8


スキル

《コンサルティング》 Lv6

《言語理解》Lv 3


「おぬしのスキル…《コンサルティング》というらしいが、それぐらいじゃな。ステータスも…平凡極まりない。」


「…コンサルティング?」


「ワシにはスキル名と系統しかわからんのだ…補助系スキルのようだから、戦闘はやめといたほーがええかものぉ」


「え、剣と魔法の世界なのに…?」


「いろいろ道はあるでな。なんとかがんばるのじゃ」


スキル鑑定師のおじさんに、同情するように肩を叩かれたものの、途方にくれた俺は小屋に帰るしかなかった。


「コンサルティング…って、やっぱり経営とかを改善するあれだろうか」


俺もエリート銀行員の端くれ、各種資格試験や読書の経験から「コンサルティング」という言葉自体を知らないわけではない。

銀行の偉い役員のお話でも、今の時代は銀行からお金を借りる企業はどんどん減っているから、コンサルで稼ぐ、とかなんとか言ってたような…

あ、そういえば大学の同期でめちゃくちゃ優秀だった山中ってヤツは、ボストンなんとかっていうコンサル会社に行ってたっけな。

くそ、こんなことならもっと勉強しておくんだった。

とはいえ俺の部署はリテール、いわゆる個人向け営業の部署だったので、コンサルティングの概念や知識は一通りあるが、あくまで机上のものでしかなかった。


その日はどうしようもないので、パン屋でいちばん安かった素焼きのパンと水だけを流し込み、粗末なゴザにくるまって寝ることにした。

明日は街に出て、なんでもいいので仕事を探すことにしよう…。

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