5話「好奇心は猫をも殺す。しかし僕の両親はフラグブレイカーだ。」
僕の両親は考古学者でほとんど家を空けているけど、その理由は当人たちの性格にあるみたいだ。
過去に一回父さんたちの仕事仲間に会って話を聞いたことがあるけど、面白そうな事があれば後先考えず向かうタイプなのである。
家に帰った時の土産話を聞いてると、そのせいで危険な目に・・・むしろ今までよく死ななかったというぐらいの話も聞く。
横道にそれたけど、その好奇心が今いる人たちに向いたとすると、
「果てし無くめんどくせー。」
「なんとなくどういう状況か理解できました。」
僕に色々と聞いてくるだろうし、他の人にもフォローは入れないとだめだろうし。
「いつもの事だけど、いい塩梅ね。」
こういう神出鬼没な人もいるからね・・・
「って紫さん起きて来てたんですか。おまけに、スキマから上半身だけ出して行儀悪いですよ。」
「あら、細かいことは別にいいと言っていたのはあなたよね。あとおかわり頂戴。」
「それでも礼儀ってものがあるじゃないですか。おかしいですよ紫さん。」
「まあいいじゃない。ご飯はおいしいって言ってもらえたるんだし。飛鳥ちゃん、お母さんにもおかわり頂戴。」
「そういう問題じゃ・・・って母さんいつ入ってきたの?」
「『果てし無くめんどくせー』の辺りから。お父さんもそこに居るわよ。」
一番厄介な台詞聞かれてるじゃないですか。やだー。
「お義母さんお世話になってます。古明地さとりです。」
「あらあら、可愛い義娘が出来たわね。」
「さとりさんそんなキャラでしたっけ。あと母さんも乗らないで。」
「今からかったら面白そうでしたし、この前逃げようとした事は忘れてませんし。」
地味に恨んでいたんですね。でも、最終的に手伝ったからいいじゃないですか。
「それよりも、他の人たちも起きてきてますよ。鬼二人なんかは酒盛り始めてますし。」
「昨日あれだけ飲んで。」
「酒で思い出したけど父さん、お土産にお酒もって帰ったんだ。かなりいい奴数本。」
「いいねぇ。早速飲ませてもらうよ。」
「父さんそれ絶対に自分で飲む用だよね。小学生の息子に用意する土産じゃないよね。そこの年中酔っぱらいは早速宴会モードかよ、まだ昼前だぞ。」
僕がツッコミに回らなきゃいけないなんて、兄ちゃんはまだ二日酔いで潰れてるし。
「もういい、適当につまみでも作りますから、何かリクエストは?」
「じゃあたたきでお願いします。」
こういう時は調理番で逃げるが勝だ。
「紫さんでしたっけ、いつぞや以来ですね。」
「ええ、あの時以来ですわね。只の人間の夫婦が幻想郷に入り込めるすべを見つけるとは思いませんでしたわ。それに記憶も消したはずですのに。」
「こういう仕事をしていると鼻が利くようになるんですよ、こうすれば面白いことが起きるって。それを忘れるなんてもったいないじゃないですか。」
「そのおかげで、この家が幻想郷につながったようですね。」
「それは、それでよかったと思いますよ。息子も楽しそうですし。」
・・・父さんと紫さんがなんかすごい話をしてる気がするけど、気のせいだと信じたい。