3話「誕生日。・・・そんなものもあったなぁ」
今日は、登校日で学校に顔を出した。
皆、今日までにやってこないといけない宿題をやって来てなかったり、家に忘れてきたり、昨日あわてて終わらせたりでいろいろ慌ただしい雰囲気だ。
僕?一週間以内に終わらせたよ。算数以外は強敵だったけど、と言うか兄ちゃんが居なかったらやばかった。
半日の学校が終わり、家に帰ろうとしていると、大ちゃんたちがやって来て
「飛鳥さん、少し出かけませんか。」
「いや、ご飯どうするの?」
「兄ちゃんが準備するから、飛鳥を連れて遊びに行けって。」
なるほど、兄ちゃんの差し金か。チルノちゃんが勝手にばらしてくれて助かったよ。
「なんの準備か知らないけど、兄ちゃんが張り切るといつも何かやらかすから余計に帰らないと。」
「大丈夫ですよ。他の人もついているので。」
「兄ちゃんだけじゃないんですかさとりさん。」
心なしかそわそわしてませんか。
「それは、ここに来てから外に出るなんて、この前の海ぐらいなものでしたし。」
つまりなんだかんだで楽しみだったと。でも
「子供だけでどこか出かけると絶対捕まるよ。」
「そこに、大人に見える人もいるから大丈夫ですよ。」
そこにって・・・さぼり魔二人か。
「早く遊びに行こうよ。」
「えっ、こいしちゃんいつの間に、と言うか引っ張らないで。」
引きずられながら僕は、
「家に帰ってPCの組み立てを早くしたいのに~。」
と叫んだ。
「諦めてください。」
「諦めたくなかったから叫んでるの。」
「とりあえず、ここなら時間も潰せるでしょ。」
僕たちは、ゲーセンに来ていた。
「もう少し、マシな場所は無かったんですか。この面子だと大変なことになりそうな予感しか。」
「僕の知ってる中ではここが一番マシだったの、さとりさん。他に思い付く場所と言えば、」
「もういいです、ここが一番マシだと分かったので。」
「察しが良くて助かります。と言うわけで僕はフ○ブでもやってるから。」
「えっ、逃げないで下さい。」
「大丈夫だって、なるようになるから。」
「その『なるように』が大変だから逃げないで下さいって言ってるんですよ。」
「僕知らないよ~。」
こういう時は逃げるが勝ち。めんどくさいことからは逃げればいいじゃないって誰かが言ってた気がするし。
「結局どうしたらいいかわからなくて僕に泣きついてくるなんて。」
ゲーセンの帰り、僕とさとりさんはげっそりとした表情で歩いていた。
「只でさえあなた一人に能力を集中させていないと気が狂いそうな場所なのに、そこで大人数の面倒を見るのは無理ですよ。」
「それ含めて、美鈴さんと小町さんは楽しんでいたみたいだけどね。」
本当に尊敬するよ。
やっと家で休めると思って玄関の扉を開けると、
「HappyBirthday!!飛鳥。」
クラッカーの音が鳴り響いた。
「何やってるの兄ちゃん。これ掃除するのめんどくさいんだけど。」
「何って、今日は飛鳥の誕生日じゃないか。」
「・・・そういえばそうだっけ。」
いつもこんなこと祝う余裕がないから忘れるんだよね。
「家主だし、宴会する理由ができるしで、みんな快く手伝ってくれたんだぞ。」
「後者の理由が大半じゃないのかなぁ。」
「プレゼントも用意してあるから、早くダイニングに行け。」
「わかったよ。」
まぁ、みんな厚意でやってくれた事だしありがたく受け取っておこうかな。部屋でのんびり作業させてくれた方が嬉しかったけど。
「ふぅ~。あの表情だと素直に喜んでくれるだろ。」
その時、電話が鳴り始めた。
「ん?飛鳥~、電話とっておくぞ。」
了解と返事が返ってくる。
「もしもし、火鳥ですが。・・・・・・!」
今、あの人たちが返ってくるのかよ。