2話「金槌の僕にとって海にいい思い出はありません。そもそも海に来たことが無いんだけどね。」
今までで一番難産だったッス。
青い空、白い雲、日光を反射して輝く海、うん帰りたくなるほどのめんどくさい状況だ。
「本当に帰ったらだめですよ。」
本当に来ることになると思ってなかったんですよ、おまけに全員来るとも思わなかったし。
それに、僕の運動能力を見て泳げると思いますか?さとりさん。
「・・・・・・」
黙り込みますかそうですよね。
そもそもこうなった理由はと言うと・・・
食事の支度をしているとき
「あ~す~か~。」
水色の髪をした氷精、チルノちゃんが飛びついて来た。
「あれ何?あれ何?」
やたらハイテンションになっているチルノちゃんの指差した方向を見ると、テレビで海が映っていた。
「ああ、海の事?でかくてしょっぱい水たまりだよ。」
とにかく、興味持って面白そうとか言って海に行こう、なんて事態は避けよう・・・めんどくさいし。
「海に行くのもいいかもしれないわね。」
嫌な台詞が聞こえてきたからその方向を見てみると、紫さんがそんなことをつぶやいていた。・・・って今起きてきたんですか!?
あと、そんなこと言うから他の人も集まってきたし。嫌な予感しかしない。
「海に行こう、海っ!!」
はい、僕より年下(っぽい)組がねだって来ました。
あと、何で紫さんも交じってるんですか、咲夜さんはもう準備始めてるし・・・カメラなんて必要ですか。
もうめんどくさくなってきた。
「兄ちゃんが車の免許持ってるから、兄ちゃんに頼め!!」
「おk、と言うことだから行きたい奴はこの紙に名前を書いてくれ。飛鳥も行くか?」
「兄ちゃんいつの間に、それと僕はいかないk「行きますよね?」」
後ろで早苗さんがにっこりと笑っていた。
僕で遊ぶ気満々だな。抵抗するのも無駄だよな。
「行きます。」
僕は泣きながら頷いた。
「兄ちゃんが了承しなければなぁ~。」
「声に出てますよ。」
いいですよ、一人で荷物番しながら育て屋の前を往復する作業をしておきますから。
「なんだかんだで、引っ張られて行くと思うんですけどね。」
少しぐらい希望を見せてくださいよ。
着替えも終わり、砂浜にシートも敷き終わってゲームをやろうとしていると、
「飛鳥~、一緒に泳ぎにいこっ。」
「ゑっ、ちょっと待ってチルノちゃん引っ張らないで。後、橙ちゃんは、猫だし式神だから水はダメなんじゃなかったっけ。
藍さんも微笑ましそうに見てないで助けてください。」
「荷物番はしておきますんで、楽しんで来て下さい。」
「美鈴さんも助けてくださいよ~。」
必死に抵抗していると、
「覚悟決めて行きなさい。」
「ゑっ、天子さん何をしようと・・・。」
あれっ?景色が逆さに見える。やけにスローモーションだな~。目の前に海が・・・・・・。
「おいっ、あいつガチで泳げないんだぞ。」
「知らないわよっ。じれったいから手伝ってあげただけでしょ。」
「とりあえず、今から助けに行くぞ。」
「で気付いたら、帰りの車の中という訳ですか。」
一日中気絶してたわけですよね。原因作った天人が。
「悪かったって言ってるじゃない。」
「介抱も他の人がやってくれたみたいですし、当分の間ご飯のおかずなしでいいですよね。」
これくらいの罰は当然ですよね。この場合の当分は僕の気が済むまでだし。
「ちょっと、冗談よね。」
全員白い目で見てる。当然だよね。
「飛鳥さん相当怒ってますね。」
さとりさんの一言でこの騒動は締めくくられた。