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清住

作者: 不透明

夜半過ぎて帰り

素麺を二束茹で


しそを刻み

生姜を擦り

梅肉を解す


長芋を千切りにし

葱は入れない


休まず箸を動かし

ぺろりと平らげておきながら

梅肉の酸味を

もっと欲しがって

唇を甘く噛む


腹はくちく

むかむかするのに

まだ冷凍庫から引っ張りだす


ビニールに詰まった

カフェイン味の

甘い乳の味の

例のそれをすする


そして

「完全に間違っている。」

と言う



風呂から上がったら

処方された薬を飲む

飲まなければ幾晩でも

起きていることができる

だから眠るために飲む

何錠でも飲む



薬がまわっても

布団には入らない

蛍光灯をこうこうとさせ

軽いパズルを解く

何問でも解く

私は間違っている。



目が回ったら

這って床につき

眠るまでの間に考える



口が寂しかったから

食べた

腹が一杯になっても

食べて吐いた



確かめたかったから

解いた

眠らされてゆく

浅ましい意識を


わたしは間違っていて

自分を好きではなかった

身の置き場がなかった

それで代わりに

あなたを好きになった

けれどわたしのなかは

どこもかしこもいっぱいだ




私は完全に間違っている

そう言って

間違ったことを毎日繰り返している



皮を剥いたそばから

潰してしまうような



張るまで満たしては

破いてしまうような



正しさから逃げた私は


私はとても自由です





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