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弱くて、臆病で、仲間に助けられながら紡ぐ最後の英雄譚  作者: だんご


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第二層の異変


 門の光が、やけに眩しかった。


 魔界の闇から街に出た瞬間、アスは思わず手で目を庇った。昼の陽射し。何てことのない、いつもの光だ。けれど2層の完全な暗闇に慣れた目には、それが針のように刺さった。涙が滲む。数秒かけて瞳孔が収縮し、ようやく景色が戻ってきた。


 石畳の道。行き交う人々。風に揺れる店先の旗。結界に守られた街の、当たり前の午後。


 その当たり前が、今は薄い膜一枚の上に乗っているように見えた。2層の暗闇の中で感じた圧——あの、世界の底から這い上がってくるような重さが、まだ身体の芯に残っている。門をくぐったからといって消えるものではなかった。


 門番のギルド職員が、四人の姿を見て表情を変えた。


 当然だった。アスの左腕には群れに噛まれた傷の名残がある。アテネは魔力の枯渇で顔色が蒼白い。ミルの服は泥と黒い体液で汚れている。そしてロイドは——無傷だったが、大剣に付着した悪魔の体液が、尋常でない戦闘があったことを物語っていた。


「2層から? ……こんな早く?」


 職員の声に困惑があった。2層は広い。通常、探索に入ったパーティーが戻るのは半日から一日後だ。入って数時間で帰ってくるのは、よほどの事態があった場合だけ。


「報告があります」


 ミルが前に出た。疲弊した身体で、けれど声だけは明瞭だった。「上の人を。できるだけ早く」


        *


 ギルドの報告室は、奥まった場所にあった。窓のない小部屋。石壁に灯りが一つ。机と椅子だけの簡素な空間に、ギルド職員が二人と、四人が向かい合って座っている。


 ミルが話した。


 2層中層で遭遇した悪魔の大群。推定数百体。通路を埋め尽くすほどの密度。行動パターンの異常——群れは戦闘目的ではなく、上層に向かって移動していたこと。何かに追われるように、下から上へ流れていたこと。


 ミルの声は淡々としていた。感情を排し、事実だけを並べる。数字と観察と推論を、無駄なく組み立てていく。けれどその精緻さが、かえって事態の深刻さを際立たせていた。感情的に訴えるより、冷静な報告の方がずっと怖い。


 職員の表情が変わったのは、ミルが「下層から何かが押し上げている可能性がある」と言ったときだった。


 メモを取っていたペンが止まった。職員が顔を上げ、もう一人の職員と目を合わせた。何かを確認するような、あるいは確認したくないことを確認してしまったような、そんな目だった。


「……お待ちください。上に伝えます」


 一人が立ち上がり、足早に部屋を出た。扉が閉まる音が、小さな部屋に反響した。


 残された職員は、四人の前で黙っていた。聞きたいことがあるのに聞けない、という顔だった。


 報告室の外の廊下を、複数の足音が行き来していた。声は聞こえないが、空気が忙しくなっている。ギルドの内部で何かが動き始めている。


 沈黙の中、四人は待った。


 アスはミルの隣に座りながら、斜め向かいのロイドを見ていた。獣人は椅子に深く腰掛け、腕を組んでいた。大剣は壁に立てかけてある。灰色の髪が額にかかり、金色の瞳が天井の灯りを静かに映している。


「あの——」


 アスが声をかけた。待ち時間。聞くなら今だと思った。


「ロイドさん、は……なぜ2層に?」


 ロイドの視線がこちらに移った。鋭い目だった。けれど刺すような鋭さではなく、ただ焦点が合っているだけの、真っ直ぐな目。


「調査だ」


「調査……個人で?」


「ああ」


 それ以上は言わなかった。誰に依頼されたのか、何を調べていたのか。聞いても答えは返ってこないだろうということが、その短い二語でわかった。ロイドは嘘をついていない。ただ、全部を言っていないだけだ。


 アテネが温かい茶を四人分運んできた。いつの間に用意したのか。報告室の隅にある小さな棚から茶器を見つけたのだろう。こういう気遣いが、アテネらしかった。戦場では命を賭けて術を放ち、報告室では黙って茶を淹れる。その振れ幅が、この人の強さだとアスは思った。


 ロイドが茶碗を受け取った。小さく頷く。それが感謝の表現なのだと、短い付き合いでもわかった。


 ミルは茶に口をつけず、メモ帳に何かを書き込んでいた。報告の振り返りか、あるいは次の分析の下準備か。ミルの手が止まることはなかった。頭の中では常に歯車が回っている。


 茶の湯気が立ち昇る。小さな部屋に、束の間の静けさがあった。


        *


 ギルドの空気が変わったのは、それから一時間ほど経ったころだった。


 報告室を出ると、ロビーの様子が一変していた。普段は雑然とした酒場のような空間が、今は緊張に包まれている。カウンターの奥では職員たちが走り回り、掲示板の前には人だかりができていた。


 上層部が動いていた。ギルドの幹部級と思われる人間が数名、奥の会議室に消えていくのが見えた。すれ違った職員の顔が固い。


「2層での大群発生は、ギルド設立以来初めてだそうだ」


 ロイドが低い声で言った。壁際に立ち、ロビーの喧騒を眺めている。


「第1層での危険度3出現と合わせて、正式に異常事態として認定されるだろう」


「正式に……」


「入場制限がかかる。一般の冒険者は2層以降への立ち入りが禁止になるかもしれない」


 その言葉が胸を刺す前に、ロビーの掲示板に新しい告知が貼り出された。人だかりがどよめく。アスは背伸びをして文面を見た。


『魔界第2層以降への探索許可を一時凍結。詳細は追って通達。』


 冒険者たちの間にざわめきが走った。反発の声。困惑の声。そして——恐怖の声。魔界に異変が起きている。それが公式に認められた。噂や推測ではなく、ギルドが動いた。その事実の重さが、ロビー中に広がっていく。


 窓の外を見た。大通りに面したギルドの窓から、街の風景が見える。いつもと変わらない午後の景色。市場で果物を売る女。石畳を走る子供たち。陽の光に照らされた屋根の列。


 その光景が、2層の暗闘の記憶と重なって、奇妙な違和感を生んだ。この街はまだ知らない。結界の下で、日常がどれほど細い糸の上に成り立っているかを。


 ロビーの空気がさらに変わったのは、それからまもなくだった。


 入口の扉が勢いよく開き、武装した人間が数名入ってきた。冒険者ではない。装備の格が違う。英雄級の人間が身につける特注品。そして先頭に立つ一人の顔を、アスは知っていた。


 アイリスではなかった。けれど英雄の一人だった。屈強な体格の男が受付に何かを告げ、職員が即座に奥へ走る。緊急召集。英雄たちが集められている。


 それから十分もしないうちに、もう一人。そしてもう一人。ギルドの入口を、英雄たちが次々とくぐっていく。いずれも顔つきが鋭く、足取りが速い。日常の装いではなく、戦場に向かうときの空気を纏っている。


 アイリスが来たのは、三人目の英雄が通り過ぎた直後だった。


 白い外套。金色の髪。長い手足が大股で石畳を蹴る。走っていた。アイリスが、走っている。いつもの揺るぎない歩みではなく、急を要する足取りで。


 ギルドの前を横切り、入口に消えるまでの数秒。アスはそれを、ロビーの窓越しに見ていた。


 アイリスの横顔が一瞬だけ見えた。表情は——厳しかった。いつもの凪いだ目ではない。何かを受け止めた顔。何かを決めた顔。英雄としての顔。


 あっという間だった。金色の髪が揺れて、白い外套の裾が翻って、入口の扉に吸い込まれた。追いかけることも、声をかけることもできなかった。窓越しに見送ることしかできなかった。


 ——また同じだ。


 その自覚が、静かに胸に落ちた。


 世界が動くとき、自分は端にいる。英雄たちが走り、ギルドが動き、街が揺れる。その渦の中心に自分はいない。中心どころか、渦の外側にすら立てていない。窓の内側から、外の景色を眺めているだけだ。


 悔しいという感情とは少し違った。もっと静かで、もっと深い。自分の現在地を正確に知っているからこそ生まれる、透明な焦り。第6層の遠征のときと同じだ。世界が動いている。自分には何もできない。その二つの事実が、矛盾なく並んでいる。


 拳を握った。握って、力を込めて、そしてゆっくりと開いた。ここで拳を握り締めていても、何も変わらない。それもわかっていた。


        *


 冒険者たちが散っていった。


 入場制限の告知を受けて、それぞれの宿や酒場に戻っていく。不満を漏らす者、不安を口にする者、黙って去る者。ロビーの人口が減っていく中で、アスたち三人と、ロイドだけが残っていた。


 アテネは椅子に座り、膝の上で手を組んでいた。目を閉じている。疲労もあるだろうが、それだけではない。2層で感じたことを、自分の中で整理しているように見えた。


 ミルはカウンターの隅でメモ帳を広げていた。今日の記録を清書しているのか、あるいは新たな分析を始めているのか。ペンの動きは速く、途切れない。


 アスはロビーの柱にもたれていた。窓から差し込む西日が長い影を床に落としている。日が傾いてきた。あの暗闇の中にいたのが同じ日のこととは思えなかった。


 ロイドが壁際にいた。大剣を背に負い直し、出口の方を向いている。帰るのかと思った。このまま何も言わずに去るのだろうと。


 アスは柱から背中を離した。


「ロイドさん」


 声をかけたのは、半ば衝動だった。このまま別れたら、もう会えないような気がした。根拠はない。ただの勘だ。でもその勘が、足を動かした。


 ロイドが振り返った。金色の瞳がこちらを見る。


「名前は」


「アスです」


「アス」


 短く復唱して、ロイドは少し間を置いた。何かを測るように、アスの目を見ていた。装備を見るのではなく、体格を見るのではなく、目を。


「お前たちはまだ動くのか」


 問いだった。入場制限がかかった。2層は閉ざされた。この状況で、まだ魔界に挑む気があるのかと聞いている。


「動きます」


 即答だった。考える必要がなかった。


 止まる理由がない。2層が閉ざされたなら、1層でできることをやる。入場制限が解けたら、また2層に入る。世界が動いている。自分には何もできない。でも足を止めたら、何もできないまま終わる。それだけは嫌だった。


 ロイドの目が、わずかに動いた。


 表情が変わったとは言い難い。眉も口元も動いていない。けれど目の奥——金色の虹彩の奥にある何かが、ほんの少しだけ変わった。評価。査定。あるいは——認知。この男は今、アスという人間の形を自分の中に記録した。そんな気がした。


「そうか」


 それだけだった。ロイドは頷き、もう一度出口の方を向いた。


 そのとき。


「やあやあ、賑やかになってきたねえ」


 声が降ってきた。文字通り、上から。


 見上げると、ロビーの二階の手すりにアリアドネが腰掛けていた。長い足をぶらぶらさせて、下を見下ろしている。赤い髪が手すりの隙間から垂れ、切れ長の目が弧を描いている。笑っていた。ギルド中が緊張に包まれている中で、この男だけが別の時間を生きているようだった。


「いつから——」


「さっき」


 嘘だ。けれど追及しても意味がない。アリアドネは手すりを蹴って飛び降りた。二階の高さから、猫のように音もなく着地する。外套の裾がふわりと広がって、落ち着いた。


「大変なことになってるね。ギルドの偉い人たちが走り回って、英雄さまが集まって。なかなかの見世物だ」


 不謹慎だった。街が揺れている。人々が不安に駆られている。その中で「見世物」と言い放つ軽薄さは、普通なら腹が立つ。けれどアスはもう慣れていた。この人がそう言うとき、裏に何があるのかは別の話だ。


「アリアドネさん。2層の異変のこと——」


「うん」


「知ってますか」


 アリアドネは答えなかった。ただ笑みを深くした。知っている。その笑みが全てを語っていた。知っていて、たぶん前から知っていて、それでも何も言わなかった。


「何か知ってるなら——」


「知ってることと教えられることは違うよ、アス君」


 軽い声だった。けれどその一言で、アスの追及を完全に止めた。教えられない理由があるのか、教えない方がいいと判断しているのか。どちらにせよ、ここから先はアリアドネの領域だった。


 アリアドネの視線が動いた。アスの肩越しに、後ろを見ている。


 ロイドがそこにいた。


 二人の目が合った。


 空気が、変わった。


 ギルドのロビーは騒がしいままだった。職員が走り、冒険者が声を上げ、掲示板の前でまだ人だかりが残っている。その喧騒の中で、アリアドネとロイドの間にだけ、別の空間が生まれたように感じた。


 アリアドネが笑っている。いつもの飄々とした笑み。けれどその笑みの裏にある目が——ロイドだけを見ている。品定めではなかった。知っている者同士が交わす目だった。いや、そこまで親しいものでもない。互いの存在を認識し、互いの領域を測り、その上で何かを確認している。そんな目つきだった。


 ロイドもまた、アリアドネを見ていた。金色の瞳が細くなっている。警戒ではない。困惑でもない。あえて言うなら——既視感。この男を見たことがあるような。あるいは、この男のような存在を知っているような。そういう目だった。


 二人の間に何が通じたのか、アスにはわからなかった。見えない糸のようなものが一瞬だけ張り詰めて、そして緩んだ。


 アリアドネが視線をアスに戻した。


「アス」


 名前を呼ぶ声が、いつもと違った。軽さの中に、芯がある。道化の仮面が一瞬だけ薄くなって、その下にある何かが覗いた。


「急いで強くなれ。時間はあまりない」


 笑っていた。口元は笑っていた。声も軽かった。いつもの調子で、冗談のように聞こえるはずの言い方だった。


 けれど目が笑っていなかった。


 アリアドネの目を、アスはこれまで何度も見てきた。飄々とした目。道化の目。底が見えない目。けれど今の目は、そのどれとも違った。透明で、静かで、遠くを見ている目。何かの終わりを知っている人間の目。あるいは——何かの始まりに立ち会おうとしている人間の目。


 時間はあまりない。


 その言葉が、胸の中で反響した。何の時間だ。何に対して足りないのだ。聞きたかった。聞かなければならない気がした。


「あの——」


「じゃあね」


 遮られた。アリアドネは片手を上げて、くるりと背を向けた。外套の裾が円を描いて翻る。そのまま人混みの中に歩いていく。赤い髪が人の波に混じっていく。


「待って——」


 追いかけようとした。足が動いた。二歩踏み出した。三歩目で、もう姿が見えなかった。さっきまでそこにいた人間が、人混みに紛れただけで消える。それ自体がおかしい。ロビーにいる人間の数はそれほど多くない。なのに、アリアドネの姿はどこにもなかった。


 立ち尽くした。


 背後でロイドの声が聞こえた。


「……厄介な知り合いがいるな」


 振り返ると、ロイドはアリアドネが消えた方向を見ていた。腕を組み、わずかに顎を引いている。表情は相変わらず読みにくかったが、目の奥に何かが残っていた。先ほどの一瞬の交錯で、ロイドもまた何かを感じ取ったのだろう。


「知り合い……というか、訓練をつけてもらっている人です」


「そうか」


 短い。けれどその二文字の中に、複数の感情が圧縮されているように聞こえた。


 ロイドは出口に向かって歩き出した。大剣が背中で揺れる。大きな背中だった。アスより頭二つ分高く、肩幅は倍近い。その背中が夕陽の差す出口に向かっていく。


「ロイドさん」


 呼び止めた。ロイドが肩越しに振り返る。


「また——会えますか」


 我ながら漠然とした問いだった。けれど他に言葉が見つからなかった。この人とまた戦いたい。この人の強さの近くにいたい。そう思った。


 ロイドは少し間を置いた。


「お前たちが動き続けるなら、どこかで会うだろう」


 それだけ言って、背を向け、出口をくぐった。夕陽の光の中に、灰色の髪と大剣のシルエットが溶けていった。


        *


 三人がロビーに残された。


 西日が窓からロビーの床を焼いていた。橙色の光が石の壁を染め、長い影を引いている。さっきまでの喧騒が嘘のように、ギルドは静かになっていた。職員たちは奥の会議室に引き揚げ、冒険者たちは散り、ロビーには空の椅子とテーブルだけが残っている。


 アテネが目を開けた。長い間閉じていた瞳に、夕陽の光が映っている。


「……大きなことが、動いているんですね」


 静かな声だった。不安が声に出てきた。アテネほどの人でも、今日感じたものの重さは隠しきれないのだ。


 ミルがメモ帳を閉じた。いつもなら際限なく書き続ける手が、自分の意思で止まっている。


「情報が足りない。でも方向性は見えてる。深層で何かが変わっていて、その影響が上に波及してる。ギルドも英雄もそれを察知して動き始めた」


「私たちにできることは」


「今は——少ない」


 ミルがそう認めたことが、逆に信頼できた。できないことをできると言わない。それがミルだった。


 アスは窓の外を見ていた。夕暮れの街。屋根の向こうに、結界の薄い光が見える。あの光の向こうで、世界が変わろうとしている。


 急いで強くなれ。時間はあまりない。


 アリアドネの声が、耳の奥で繰り返される。笑いながら言った。目は笑っていなかった。あの人が真剣な目をしたのは、数えるほどしかない。訓練で炎の色が変わったのを見たとき。スキルについて話したとき。そして今日。


 何かが迫っている。


 それが何なのかはわからない。第七層。大罪の悪魔。力を取り戻しつつある封印の底の存在。ロイドが言った「下から来ている」という言葉。ミルが指摘した群れの異常行動。アリアドネの目。すべてが一つの方向を指している。けれどその先にあるものの輪郭が、まだ見えない。


 見えないまま、時間だけが削られていく。


 アスは剣の柄に手を置いた。ガルムの素材で強化された、アイリスの剣。掌に馴染む感触。この剣で何ができる。今の自分に何ができる。2層の群れに囲まれて、ロイドがいなければ死んでいた。それが現実だ。


 でも。


 足を止める気にはなれなかった。アリアドネが言った。急いで強くなれ、と。あの人がそう言うなら、まだ間に合うということだ。間に合わないなら、あの人は何も言わない。


 世界が動いている。英雄たちが走っている。ギルドが動いている。自分はまだ端にいる。端にいるけれど——端には端の歩き方がある。


 アスは窓から目を離し、アテネとミルを見た。二人ともこちらを見ていた。言葉はなかった。けれど目が同じことを言っていた。


 まだ、やれることがある。


 アスは頷いた。小さく、けれどはっきりと。


 夕陽がロビーの床から消えていく。影が伸び、やがて暮れていく。明日が来る。入場制限がかかっても、訓練はできる。身体を鍛えられる。連携を磨ける。ナイトブロウを理解する手がかりを探せる。できることは、まだある。


 世界が動いている。それでも——いや、だからこそ、前に進むしかなかった。


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