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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第3章 アルゴ進化への道

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第3章 アルゴ進化への道 第16話 残された痕跡

第16話です。


今回は洞穴の奥で見つけたものを通して、

この世界の裏側にある現実に触れる回になります。


少し重たい内容になりますが、

物語として大切な部分でもあります。


その空気を感じていただけたら嬉しいです。

洞穴の奥へと進む。


足を踏み入れるたびに、空気が変わっていくのがわかる。


冷たさとは違う。


重い。


肌にまとわりつくような、嫌な感覚。


リオンが眉をひそめる。


「……なんか、やな感じだな」


クロウも短く答える。


「同感だ」


カイゼルは何も言わない。ただ、警戒を強めているのがわかる。


修一は足を止めない。


そのまま進む。


やがて、視界が開けた。


広い空間。


だが、その広さよりも先に目に入るものがあった。


「……なんだよ、これ」


修一の声が低くなる。


床。


壁。


至るところに残る痕跡。


鎖。


拘束具。


削られた跡。


焼け焦げ。


そして――


乾いた血の跡。


カイゼルは言葉を失う。


クロウが静かに言う。


「……人体実験の痕跡だ」


その一言で、この場所の意味が確定する。


リオンの表情から軽さが消える。


「……マジかよ」


修一はゆっくりと周囲を見渡す。


人の気配はない。


音もない。


すべてが終わったあとの空間。


「……逃げたか」


クロウは冷静に分析する。


「可能性は高い。侵入に気づいたか、あるいは元々撤収の段階だったか」


アルゴが前に出る。


『記録を開始します』


機体の各所から小型カメラが展開される。


空間全体をスキャンし、記録していく。


修一は短く言う。


「全部、記録しておけ」


『了解』


静かに、確実に。


この場所の証拠が残されていく。


リオンが周囲を見ながら呟く。


「……これ、どうすんだよ」


修一はすぐに答える。


「……今はどうにもできない」


事実だった。


ここで何かを変えることはできない。


カイゼルは唇を噛む。


悔しさが滲んでいる。


修一は一度目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。


そして開く。


「戻るぞ」


短く言う。


全員が動く。


ただし、引き返すわけではない。


別の方向へ進む。


目的はまだ終わっていない。


素材の確保。


それは変わらない。


アルゴの声が響く。


『周辺をスキャン中』


しばらくして。


『有効反応、低』


リオンが肩を落とす。


「マジかよ……」


クロウも冷静に言う。


「簡単には見つからないか」


リオンが前に出る。


「じゃあ掘るか」


土魔法が発動する。


地面が動き、新たな通路が形成される。


強引にでも進む。


だが。


反応はない。


何も出てこない。


修一は判断する。


「……今日はここまでだな」


クロウもすぐに同意する。


「同意する」


無理をする場面ではない。


再び拠点を設置する。


地下空間。


テントが展開され、安全が確保される。


静かな時間が戻る。


だが、その空気は重かった。


リオンが珍しく小さく呟く。


「……なんか気分悪いな」


軽口はない。


カイゼルも黙ったまま。


修一は地面を見つめている。


考えている。


この場所。


実験。


黒い奴ら。


すべてが繋がりかけている。


そのとき。


クロウがふいに口を開いた。


「……待て」


全員の視線が向く。


クロウの目が細くなる。


何かを思い出したように。


「……思い出した」


修一が問う。


「何をだ」


クロウはゆっくりと周囲を見る。


壁。


構造。


空間の広がり。


そして言う。


「この構造……似ている」


一拍。


「ある場所に」


静かな声。


だが確信がある。


偶然ではない。


ここには意味がある。


そしてそれは――


どこかに繋がっている。

読んでいただきありがとうございます!


今回は人体実験の痕跡という形で、

この世界の闇を少しだけ描いてみました。


目の前にある現実に対して、

今の修一たちにはどうすることもできない。

そのもどかしさも含めた回になっています。


ですが、アルゴによる記録や、

クロウの「思い出した」という言葉が、

今後の展開に繋がっていきます。


次回はその“繋がり”が少しずつ見えてくる予定です。


引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!


面白いと思っていただけたら、

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