第3章 アルゴ進化への道 第13話 極寒の壁
第13話です。
今回は北西の極寒地帯に突入し、
環境の厳しさが一気に増していきます。
そして、カイゼルの新たな一歩も描いています。
少し静かな回ですが、
その中での変化を感じていただけたら嬉しいです。
北西。
⸻
進めば進むほど、
空気が変わる。
⸻
⸻
冷たい。
⸻
⸻
というより――
⸻
⸻
痛い。
⸻
⸻
修一
「……寒いどころじゃないなこれ」
⸻
⸻
息が白い。
⸻
⸻
いや、
それすら凍りつきそうだった。
⸻
⸻
カイゼル
「まだ序の口よ」
⸻
⸻
「この先はもっと下がる」
⸻
⸻
リオン
「どれくらい?」
⸻
⸻
カイゼル
「マイナス50度」
⸻
⸻
沈黙。
⸻
⸻
修一
「……いや無理だろ」
⸻
⸻
リオン
「人が生きていい温度じゃないな」
⸻
⸻
クロウが前に出る。
⸻
⸻
「そのための準備だ」
⸻
⸻
取り出す。
⸻
⸻
ローブ。
⸻
⸻
見た目は普通。
⸻
⸻
だが。
⸻
⸻
「これを着ろ」
⸻
⸻
全員が羽織る。
⸻
⸻
次の瞬間。
⸻
⸻
体温が安定する。
⸻
⸻
修一
「……あったかい」
⸻
⸻
カイゼル
「……すごいわねこれ」
⸻
⸻
クロウ
「温度調整と防御の魔法を組み込んでいる」
⸻
⸻
リオン
「やば。欲しい」
⸻
⸻
クロウ
「やらん」
⸻
⸻
即答。
⸻
⸻
リオン
「けち!」
⸻
⸻
軽口。
⸻
⸻
だが。
⸻
⸻
進むほどに。
⸻
⸻
世界が変わる。
⸻
⸻
風が強くなる。
⸻
⸻
視界が白くなる。
⸻
⸻
そして――
⸻
⸻
吹雪。
⸻
⸻
前が見えない。
⸻
⸻
アルゴの動きが鈍る。
⸻
⸻
修一
「……これ以上は無理だな」
⸻
⸻
クロウ
「同感だ」
⸻
⸻
リオン
「さすがにこれはきついなー」
⸻
⸻
カイゼル
「一旦下がりましょう」
⸻
⸻
少し手前まで戻る。
⸻
⸻
吹雪が弱まる地点。
⸻
⸻
そこで停止。
⸻
⸻
リオン
「待つしかないか」
⸻
⸻
クロウ
「自然には逆らえない」
⸻
⸻
静かな時間。
⸻
⸻
風の音だけが響く。
⸻
⸻
その中で。
⸻
⸻
カイゼル
「ねえ」
⸻
⸻
リオンを見る。
⸻
⸻
「教えてくれない?」
⸻
⸻
リオン
「何を?」
⸻
⸻
カイゼル
「魔法のコントロール」
⸻
⸻
一拍。
⸻
⸻
「どうしても乗りたいのよ」
⸻
⸻
魔法の絨毯を見る。
⸻
⸻
リオンは少しだけ笑う。
⸻
⸻
「いいよ」
⸻
⸻
「じゃあまず――」
⸻
⸻
一歩近づく。
⸻
⸻
「力を出すんじゃなくて、流せ」
⸻
⸻
カイゼル
「流す?」
⸻
⸻
リオン
「そう」
⸻
⸻
「魔法ってのは押すもんじゃない」
⸻
⸻
「通すもんだ」
⸻
⸻
クロウが少しだけ見る。
⸻
⸻
リオン
「力任せにやると暴れる」
⸻
⸻
「さっきみたいにな」
⸻
⸻
カイゼル
「……」
⸻
⸻
思い出す。
⸻
⸻
あの制御不能。
⸻
⸻
リオン
「いいか?」
⸻
⸻
「風はな」
⸻
⸻
「掴むもんじゃない」
⸻
⸻
「乗るもんだ」
⸻
⸻
カイゼルの目が変わる。
⸻
⸻
「……やってみる」
⸻
⸻
静かに立つ。
⸻
⸻
吹雪の手前。
⸻
⸻
風が流れる場所。
⸻
⸻
ゆっくりと、
手をかざす。
⸻
⸻
力ではなく。
⸻
⸻
流れに合わせる。
⸻
⸻
風が、
応える。
⸻
⸻
小さく。
⸻
⸻
確かに。
⸻
⸻
カイゼル
「……これ……」
⸻
⸻
リオン
「そう、それだ」
⸻
⸻
少しだけ笑う。
⸻
⸻
「いい感じじゃん」
⸻
⸻
カイゼルの表情が、
少し変わる。
⸻
⸻
「……もう一回」
⸻
⸻
挑戦する。
⸻
⸻
止まっていた時間が、
動き出す。
⸻
⸻
吹雪が止むまで。
⸻
⸻
その時間は――
⸻
⸻
無駄じゃない。
読んでいただきありがとうございます!
今回は極寒という環境の厳しさと、
それに対抗するための準備や工夫を描きました。
また、カイゼルの魔法に対する向き合い方も
少しずつ変わってきています。
力があるだけでは使いこなせない、
という部分も今後のポイントになっていきます。
次回はいよいよ吹雪の先へ。
物語も少しずつ動きが出てきます。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!
面白いと思っていただけたら、
ブックマークや評価をしていただけると励みになります!




