第3章 アルゴ進化への道 第8話 試された価値
第8話です。
今回はヴァルディアとの直接対面の回になります。
これまで見えていなかった部分や、
それぞれの考えが少しずつ明らかになっていきます。
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
ヴァルディア外縁。
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地下拠点。
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戻ってきたばかりの空気。
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重い。
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誰も軽くは話さない。
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そのとき。
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ノクスがいる。
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セリナ
「……いつの間に」
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ノクス
「さっきだ」
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短く。
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修一
「……どうした」
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ノクス
「ヴァルディア様が会いたいそうだ」
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沈黙。
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カイゼル
「……直に?」
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ノクス
「ああ」
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修一は少しだけ息を吐く。
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「……行くか」
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一拍。
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セリナを見る。
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カイゼルを見る。
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「危ないかもしれねえ」
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静かに言う。
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カイゼル
「それでも行くわ」
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迷いなく。
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セリナ
「……私も行きます」
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修一は小さくうなずく。
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「決まりだな」
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ノクス
「案内する」
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ヴァルディア本邸。
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都市の中心。
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一際大きな建物。
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白い石で造られた外壁。
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無駄な装飾はない。
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だが、
圧倒的な存在感。
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門の前。
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兵が並んでいる。
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無言。
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視線だけが動く。
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通される。
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中へ。
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広い廊下。
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磨き上げられた床。
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足音が響く。
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壁には装飾。
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だが派手ではない。
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落ち着いた、
品のある空間。
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セリナ
「……すごい……」
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カイゼルは黙って見ている。
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修一は周囲を観察する。
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(……無駄がない)
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(この人、相当できるな)
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扉の前で止まる。
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ノクスが軽く押す。
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開く。
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「よく来てくれた」
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穏やかな声。
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修一は一瞬、
止まる。
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(……なんだこの人)
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想像と違う。
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威圧感はない。
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優しそうな、
落ち着いた男。
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ヴァルディア
「まずは――」
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一歩前に出る。
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「謝罪させてほしい」
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沈黙。
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修一
「……は?」
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ヴァルディア
「アルディア湖の件だ」
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空気が変わる。
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カイゼル
「……あれは……!」
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ヴァルディアは静かに言う。
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「あれは、こちらが仕組んだものだ」
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沈黙。
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修一
「……何だって?」
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ヴァルディア
「乗っていたのは人ではない」
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「人形だ」
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セリナ
「……え……?」
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ヴァルディア
「溺れる者はいなかった」
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静かに。
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「君を試した」
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沈黙。
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空気が張り詰める。
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修一はしばらく何も言わない。
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そして。
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「……趣味悪いな」
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低く。
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ヴァルディア
「否定はしない」
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一拍。
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「だが、必要だった」
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視線をまっすぐ向ける。
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「未知の力は、恐怖になる」
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「私はそれを警戒していた」
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沈黙。
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「ノクスの話を聞き」
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「そして、実際に見た」
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一拍。
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「君は、力を誇示しない」
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「人を救おうとする」
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修一を見る。
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「だから、興味を持った」
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静かに言う。
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「ぜひ、協力させてほしい」
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沈黙。
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修一はしばらく考える。
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そして。
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「……なんか拍子抜けだな」
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小さく笑う。
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セリナ
「え……?」
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修一
「もっとこう……」
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「悪い親父かと思ってた」
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カイゼルが小さく笑う。
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ヴァルディアも少しだけ笑う。
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「よく言われる」
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穏やかに。
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修一は肩の力を抜く。
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「で?」
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「協力って、何するんだ」
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ヴァルディア
「医療だ」
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一拍。
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「この都市を変えたい」
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静かに。
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その言葉には、
嘘がない。
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修一は目を細める。
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「……いいぜ」
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セリナ
「えっ!?」
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修一
「ただし」
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一歩前に出る。
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「こっちのやり方でやる」
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ヴァルディアはうなずく。
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「構わない」
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沈黙。
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ノクスは何も言わない。
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だが。
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確かに、
空気が変わる。
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敵ではない。
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だが、
完全な味方でもない。
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その距離。
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新しい関係が、
始まる。
読んでいただきありがとうございます!
今回はアルディア湖での出来事の真相と、
ヴァルディアとの対話を描いた回になりました。
試されていたという事実は重いものですが、
その中で修一たちの行動や考えが評価され、
新たな関係が生まれた形になります。
ただ、完全に安心できる関係ではなく、
あくまで互いに距離を保ったままの協力です。
ここからはこの都市を舞台に、
より大きな動きが始まっていきます。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!
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