第3章 アルゴ進化への道 第7話 水面の叫び
第7話です。
今回は状況が大きく動き始める回になります。
新たな接触と、
そして予想外の出来事。
これまでとは少し違う空気を感じていただけたら嬉しいです。
ヴァルディア外縁。
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地下拠点。
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医療は回っている。
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開発も進んでいる。
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順調。
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そのとき。
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「――失礼する」
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低い声。
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入口に、
一人の男。
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整った服。
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無駄のない立ち姿。
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セリナ
「……誰ですか?」
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男
「ヴァルディア様の使いだ」
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空気が変わる。
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修一は前に出る。
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「……何の用だ」
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男
「確認だ」
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「あなたが修一で間違いないか」
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修一
「……だったら?」
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男
「ヴァルディア様は、あなたに興味を持っている」
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「協力を求めている」
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セリナ
「協力……?」
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男
「医療技術の共有」
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「そして」
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一拍。
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「あなたの力」
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修一
「断ったら?」
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男
「強制はしない」
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一拍。
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「だが、別の判断になる」
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カイゼル
「……別の判断って?」
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男はわずかに間を置く。
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「利用するか」
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「排除するか」
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沈黙。
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そのとき。
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「助けてくれ!!」
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全員が振り向く。
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男が駆け込んでくる。
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「アルディア湖で船が沈みかけてる!!」
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「まだ中に人が……!」
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修一
「アルディア湖……!」
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一瞬の判断。
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「カイゼル、来い!」
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カイゼル
「ええ!」
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アルゴ
「ユニコーン形態、起動」
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二人が乗る。
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「行くぞ!」
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飛ぶ。
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空を裂く。
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すぐに見えてくる。
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アルディア湖。
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山に囲まれた巨大な湖。
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逃げ場のない水域。
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その中央。
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船。
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すでに大きく傾き、
半分以上が沈んでいる。
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「遅い……!」
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水面すれすれ。
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減速せず。
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「飛び込むぞ!」
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そのまま、
水面ギリギリで跳ぶ。
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水しぶき。
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冷たい水。
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深い。
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視界が悪い。
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沈みゆく船。
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人影。
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手を伸ばす。
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だが――
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遠い。
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沈む。
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さらに深く。
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修一
「……くそ……!」
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カイゼル
「届かない……!」
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息が限界に近い。
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上がるしかない。
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水面。
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荒い呼吸。
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何も、
見えない。
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沈黙。
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アルゴが接近する。
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「回収します」
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二人の体を持ち上げる。
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そのまま岸へ。
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地面に降ろされる。
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誰も言葉を出さない。
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湖は静かだ。
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何もなかったように。
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修一はしばらく、
湖を見続ける。
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そして。
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静かに言う。
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「……足りない」
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一拍。
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「空だけでは、届かない」
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湖を見据える。
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深く。
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広い。
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人が沈む場所。
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修一
「……水の中まで届く手段が必要だ」
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カイゼルは静かにうなずく。
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その目には、
悔しさが残っている。
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救えなかった現実。
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それが、
次の進化を生む。
読んでいただきありがとうございます!
今回はヴァルディアからの接触と、
アルディア湖での出来事を描きました。
力は確実についてきていますが、
それでも届かない場面があるという現実が、
はっきりと見えた回になったと思います。
ここでの経験が、
次の進化へと繋がっていきます。
空だけでは届かない。
ではどうするのか。
ここからは新たな方向への挑戦が始まりますので、
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!
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