第3章 アルゴ進化への道 第6話 揺らぐ均衡
第6話です。
医療と開発が少しずつ軌道に乗り、
落ち着いた日々が続いています。
ですが、その裏で少しずつ
状況は動き始めています。
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
ヴァルディア外縁。
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地下拠点。
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忙しい。
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だが。
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どこか落ち着いている。
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「次の患者さん、こちらへ」
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セリナの声。
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怪我人が運ばれてくる。
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ノア
「診断開始」
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すぐに処置。
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無駄がない。
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止血。
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回復。
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「……助かった」
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患者が呟く。
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セリナは微笑む。
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「大丈夫ですよ」
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別の場所。
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アルゴ。
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ユニコーン形態。
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クロウが調整している。
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「……ここ、まだズレる」
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修一
「飛行中か?」
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クロウ
「ああ」
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「負荷がかかったときだけ」
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修一
「厄介だな」
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クロウ
「落ちるほどじゃない」
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「だが、信用はできない」
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修一は小さくうなずく。
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「直すぞ」
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時間が流れる。
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医療。
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開発。
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繰り返し。
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少しずつ、
形になっていく。
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そのとき。
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空気が変わる。
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ノクスが、
しばらくぶりにやって来る。
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静かに入ってくる。
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セリナ
「……おかえりなさい」
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ノクスは軽くうなずく。
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修一
「どうだった」
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沈黙。
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ノクス
「ヴァルディア様は動いている」
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一瞬、
空気が張り詰める。
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修一
「……どっちにだ?」
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ノクス
「まだ決めていない」
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セリナ
「……え?」
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ノクス
「医療体制を整え始めている」
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カイゼル
「それなら……」
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ノクス
「いいことにも見える」
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一拍。
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「だが、急すぎる」
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沈黙。
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修一
「……他は?」
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ノクス
「お前たちに興味を持っている」
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セリナ
「……私たちに?」
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ノクス
「正確には、お前だ」
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修一を見る。
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「その技術に」
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修一
「……だろうな」
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ノクス
「ルーヴェンハイムの件も把握している」
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カイゼルの表情が変わる。
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「父の……」
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ノクス
「ヴァルターローレンから情報が入っている」
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沈黙。
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修一
「……つまり」
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ノクス
「味方にも敵にもなる」
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一拍。
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「それが、あの人だ」
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静寂。
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誰もすぐには言葉を出さない。
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セリナ
「……じゃあ、どうすれば……」
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修一は少し考える。
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そして。
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「やることは変わらねえ」
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短く。
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「作る」
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「助ける」
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「それだけだ」
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クロウが小さく言う。
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「……単純でいい」
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修一は笑う。
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「だろ?」
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だが。
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その空気の奥に、
確かにある。
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違和感。
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静かな均衡。
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それが、
揺れ始めている。
読んでいただきありがとうございます!
今回は医療と開発の日常と、
その中で見えてきた不穏な動きを描いた回になりました。
順調に進んでいるように見える中で、
ヴァルディアの動きや、
それぞれの立場が少しずつ変わり始めています。
まだ大きな衝突は起きていませんが、
この静かな状態がいつまで続くのか、
そんな空気を感じてもらえたら嬉しいです。
ここから少しずつ、
物語が動き出していきますので、
引き続きよろしくお願いします!
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