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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第1章 未開の地の冒険

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第1章 未開の地の冒険 第6話 起動しない設計図

第6話です。


研究施設で見つかった装置と謎のユニット。

しかし、すぐには使えない“何か”があるようです。


ここから少しずつ物語の核心に近づいていきますので、

楽しんでいただけたら嬉しいです!

研究施設の奥。


そこは、死んだように静まり返っていた。


崩れた壁。焼け焦げたような機材。長い年月を経て風化した空間。


だが、その中心部だけは違った。


微かに、まだ“機能している”。


完全には終わっていない。


神谷修一は、その中央装置の前に立っていた。


手の中には、淡く光る結晶。


エーテルコア。


「……これが動力か」


低くつぶやく。


アルゴが即座に反応する。


「高密度エネルギー体を確認」


「現存するエネルギー源としては、極めて高純度です」


修一は装置を見つめる。


かつて自分が設計したはずのもの。


だが今の自分には、完全には理解できていない。


「試してみるか」


誰に言うでもなく、そう言った。


ゆっくりと、エーテルコアを装置の中枢へと差し込む。


カチ、と乾いた音が響いた。


その瞬間。


すべてが止まったような静寂。


そして次の瞬間。


ブゥン……


低く、重い振動が空間に広がる。


装置の内部で光が走る。


壁面に埋め込まれた回路が淡く輝き、死んでいたはずの施設の一部がわずかに息を吹き返す。


カイゼルが息をのむ。


「……動いた」


修一は目を細める。


「まだ生きてるな、ここ」


完全な復旧ではない。


だが確実に、何かが再起動した。


そのとき、アルゴが反応する。


「新規データを検出」


修一は振り向く。


「どこだ」


アルゴに導かれるまま進む。


そして辿り着く。


あの台の前に。


五つのユニットが並ぶ場所。


先ほどと同じ。


だが、空気が違っていた。


「……やっぱりこれか」


修一は一つを手に取る。


その瞬間。


視界が歪んだ。


流れ込んでくるイメージ。


分解。


再構成。


構造の再配置。


形状変化。


まるで、固定された“形”という概念そのものが書き換えられていく。


「……っ」


思わず手を離す。


ユニットがわずかに音を立てて台に戻る。


カイゼルが一歩近づく。


「何か見えたのですか?」


修一は息を整えながら言う。


「……変形してた」


カイゼルは首をかしげる。


「変形……?」


アルゴが即座に分析する。


「該当データ、未確認」


修一はユニットを見つめる。


ただの装置ではない。


これは、おそらく。


「これ、お前用だな」


アルゴに向けて言う。


アルゴはわずかに間を置いて答える。


「可能性あり」


修一は腕を組む。


「でも――」


装置を見る。


ユニットを見る。


何度見ても同じ結論にたどり着く。


「動かない」


沈黙が落ちる。


修一はその場に座り込んだ。


床は冷たく、硬い。


「設計はある」


ぽつりと言う。


「エネルギーもある」


それでも。


「なのに起動しない」


指先で床を軽く叩く。


わずかに笑う。


「……未完成か」


その言葉は、自嘲にも似ていた。


アルゴが言う。


「不足要素を確認」


修一は顔を上げる。


「何が足りない」


一瞬の間。


そして、はっきりとした答え。


「情報、資源、設備」


さらに続ける。


「すべてです」


修一は天井を見上げた。


「全部かよ」


思わず笑いが漏れる。


だが、それは諦めではない。


むしろ、確信に近い感覚だった。


カイゼルが静かに口を開く。


「それなら――」


修一は視線を向ける。


「この地では無理です」


はっきりとした言葉だった。


「ですが」


一歩踏み出す。


「ノースガルド大陸なら」


空気が変わる。


修一の目がわずかに鋭くなる。


「……北の大陸か」


カイゼルはうなずく。


「はい」


「魔法文明の中心」


「知識も技術も、すべてが集まる場所です」


アルゴも同意する。


「合理的判断」


修一はゆっくりと立ち上がる。


迷いはなかった。


「……決まりだな」


ユニットを見る。


一つ、手に取る。


ポケットに収める。


残りのユニットにも視線を向ける。


「これは持ってく」


「全部、必要になる」


そのときだった。


アルゴの内部で、わずかな変化が起きる。


「エネルギーライン、再構築中」


だが、その変化はまだ表には出ない。


静かに、内部だけで進行している。


修一は歩き出す。


「帰るぞ」


カイゼルも無言でうなずく。


三人は研究施設を後にした。


外に出る。


光が差し込む。


風が頬を撫でる。


広がる未開の地。


何もない世界。


だが同時に、可能性しかない世界。


修一は振り返らない。


だが心の中で確信していた。


ここに、また戻る。


今度は。


すべてを完成させるために。


小さくつぶやく。


「次は……」


視線の先。


遠くの空。


そのさらに向こう。


「もっと先だな」


ノースガルド大陸。


まだ知らない世界。


まだ届かない技術。


そして――


起動しない設計図。


それを完成させる旅が、いま始まる。

読んでいただきありがとうございます!


エーテルコアを手に入れてもなお、動かない設計。

そして謎のユニット。


ここからアルゴの進化や、物語の大きな軸につながっていきます。


面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価をしていただけるととても励みになります!


次回は拠点に戻り、少しずつ変化が現れ始めます。

ぜひ続きも読んでいただけたら嬉しいです!

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