第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第43話 カイゼル覚醒
第43話です。
今回はカイゼルの戦闘と、
これまでとは違う形での“戦い方”が描かれる回になります。
一気に動きが出る回になっていますので、
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
地下施設入口。
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森。
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木々に囲まれた空間。
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その中で。
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一人の男。
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ただ立っているだけ。
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それだけで、
圧が違う。
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カイゼルは踏み込む。
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「……はあっ!」
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風が巻く。
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全力。
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だが――
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「甘い」
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止められる。
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完全に。
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次の瞬間。
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衝撃。
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カイゼルの身体が、
吹き飛ぶ。
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大きな木に叩きつけられる。
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「っ……!」
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体が地面に落ちる。
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立とうとする。
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だが、
間に合わない。
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男はすでに目の前。
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連撃。
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防げない。
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叩き込まれる。
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「がっ……!」
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一方的。
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意識が揺れる。
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遠のく。
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「……まだ……」
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立とうとする。
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そのとき。
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風が、
揺れる。
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違う。
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今までとは。
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「……何……これ……」
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身体の奥から、
溢れてくる。
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風。
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制御できない。
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だが――
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「……行けええええ!!」
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爆発。
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圧縮された風が、
一気に解き放たれる。
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一直線。
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男を飲み込む。
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「……っ!」
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男の姿が、
消える。
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見えないほど遠くへ、
吹き飛ばされる。
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沈黙。
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その瞬間。
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セリナ
「……できました!」
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地下通路。
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かなり奥まで繋がっている。
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修一
「……今だ、移動する!」
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ノクスが一瞬で動く。
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倒れたカイゼルを担ぐ。
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「行くぞ」
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全員が地下へ。
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最後に修一。
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そのとき。
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アルゴ
「警告」
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「魔法による位置特定が行われています」
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修一
「……やっぱりか」
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「このままじゃ追いつかれるな」
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アルゴ
「対策案があります」
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一拍。
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「偵察機を使用し、別地点へ魔力反応を発生させます」
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「エーテルコアのエネルギーを搭載」
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「強い魔力反応として検知されます」
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修一
「……囮か」
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アルゴ
「はい」
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「本体の魔力は分散させ、位置特定を困難にします」
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修一
「時間は?」
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アルゴ
「長時間は不可能」
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修一
「十分だ」
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「やれ」
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アルゴ
「実行」
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見えない変化。
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魔力が、
ぼやける。
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同時に。
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遠く離れた場所へ、
偵察機が飛ぶ。
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強い魔力反応。
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追跡が、
そちらに引き寄せられる。
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地下通路。
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セリナ
「……このまま進みます!」
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修一
「頼む!」
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カイゼルは、
ノクスに運ばれながら、
意識が揺れている。
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それでも。
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小さくつぶやく。
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「……倒した……?」
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修一は少しだけ笑う。
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「……いや」
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「逃げた」
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短く。
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だが。
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確かに、
生き延びた。
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その頃。
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森の奥。
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土煙。
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ゆっくりと、
男が立ち上がる。
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ダメージはある。
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だが。
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倒れてはいない。
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「……なるほど」
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小さく笑う。
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「面白いな」
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視線は、
すでに追っている。
読んでいただきありがとうございます!
今回はカイゼルの覚醒と、
強敵との戦いの中での撤退という展開になりました。
完全な勝利ではなく、
力の差を感じながらも生き延びるという流れが、
この先の戦いに繋がっていきます。
また、アルゴによる魔法感知への対策も導入され、
これまでの「戦う」だけではない戦略が見えてきたと思います。
ここからは敵側も本格的に動き出し、
さらに厳しい展開になっていきます。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!
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