第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第41話 カイゼルローレンの答え
第41話です。
今回はカイゼルの感情と向き合う回になります。
これまで積み重なってきたものが、
一つの答えとして形になる重要な回です。
ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
地下施設。
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人の流れは止まらない。
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だが。
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カイゼルだけが、
動けずにいた。
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拳を握りしめたまま。
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呼吸が乱れている。
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「……そんなの……」
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小さく、
漏れる声。
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セリナ
「カイゼル……?」
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返事はない。
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「……ふざけないで……」
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低い声。
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震えている。
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「……なんで……」
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顔を上げる。
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その目には、
怒り。
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「なんで……母さんを見捨てたのよ!!」
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声が響く。
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空気が凍る。
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周囲の人間が、
動きを止める。
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カイゼルは止まらない。
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「街がどうとか……!」
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「そんなの関係ないでしょ!!」
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「家族でしょ……!」
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叫び。
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溜め込んでいたものが、
一気に溢れる。
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「私だったら……!」
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「絶対に……!」
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言葉が詰まる。
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呼吸が乱れる。
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拳が震える。
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沈黙。
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そのとき。
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「……本当にそうか?」
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低い声。
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ノクスだった。
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カイゼル
「……何よ……」
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睨む。
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ノクスは静かに言う。
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「お前が同じ立場だったら」
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「迷わず選べたか?」
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沈黙。
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カイゼル
「……当たり前よ……」
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ノクス
「本当にか」
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一歩、近づく。
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「街が滅びるかもしれない」
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「多くの人間が死ぬかもしれない」
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「それでも、同じことが言えるか」
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沈黙。
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カイゼルの目が揺れる。
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ノクス
「選択ってのはな」
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「どっちを選んでも後悔するもんだ」
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静かな声。
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「正解なんてない」
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空気が重くなる。
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カイゼルは何も言えない。
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呼吸だけが荒い。
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そのとき。
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修一が口を開く。
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「……でもよ」
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全員が見る。
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修一
「だからって、納得する必要はねえ」
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沈黙。
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カイゼルの目が動く。
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修一
「間違ってると思うなら」
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「それでいい」
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一歩、近づく。
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「お前の答えでいい」
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短く。
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カイゼルの拳が、
ゆっくりと緩む。
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呼吸が少しずつ整う。
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「……私は……」
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小さくつぶやく。
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「……許せない……」
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一拍。
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目を閉じる。
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思い出す。
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あの話。
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「……苦しんでたって……」
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沈黙。
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ゆっくりと目を開く。
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顔を上げる。
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「……それでも……」
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一歩、前に出る。
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「全部は救えなくても……」
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「私は、見捨てない」
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沈黙。
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その言葉は、
静かに響いた。
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セリナが、
強くうなずく。
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修一は小さく笑う。
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「……いいじゃねえか」
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ノクスは何も言わない。
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だが、
わずかに目を細める。
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カイゼルはさらに一歩踏み出す。
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迷いは、
まだ消えていない。
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それでも。
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前を見る。
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「……やるわ」
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短く。
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その一言で。
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再び動き出す。
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セリナ
「次の患者、こちらに!」
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アスクレア
「処置開始」
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光が走る。
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カイゼルも動く。
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その手は、
もう止まらない。
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この場所で。
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彼女の答えが、
確かに決まった。
読んでいただきありがとうございます!
今回はカイゼルが過去と向き合い、
自分なりの答えを出す回でした。
正解のない選択の中で、
何を信じて進むのか。
その答えとして「見捨てない」という言葉に辿り着いたことは、
今後の物語にとって大きな軸になっていきます。
それぞれが違う考えを持ちながらも、
前に進んでいく流れが見えてきたと思います。
ここからは敵側も動き出し、
さらに状況が大きく変わっていきます。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!
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