第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第34話 偵察
第34話です。
いよいよルーヴェンハイムへの反撃に向けて、
具体的な動きが始まります。
今回は戦闘ではなく、
情報を取るための準備と偵察が中心となります。
少し地味に見えるかもしれませんが、
ここが今後の鍵になる重要な回ですので、
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
拠点。
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簡易作業スペース。
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アルゴの前に、
小さな機械が並んでいる。
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手のひらサイズ。
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一体ではない。
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複数。
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セリナ
「……それ、全部使うんですか?」
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修一
「ああ」
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「一つじゃ足りねえ」
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カイゼル
「ですが……」
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「結界は……」
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ノクスが口を開く。
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「物の通過は検知される」
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「大きさは関係ない」
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「通った時点で反応される」
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沈黙。
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セリナ
「じゃあ……」
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修一はうなずく。
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「だから確認する」
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アルゴを見る。
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「電波はどうだ」
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アルゴ
「測定中」
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数秒。
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「……干渉なし」
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セリナ
「え……?」
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修一
「音は?」
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アルゴ
「音波 問題なし」
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カイゼル
「つまり……」
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修一
「見えないもんは通るってことだ」
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ノクスが小さくつぶやく。
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「……完全ではない、か」
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修一
「でも機械は通らない」
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一拍。
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「だから――」
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ノクスを見る。
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「頼む」
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沈黙。
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ノクスはしばらく動かない。
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やがて、
ため息をつく。
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「……一つだけだ」
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「最大で二十四時間」
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「それ以上は持たない」
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修一
「十分だ」
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ノクスが機械に触れる。
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「闇魔法――無効化」
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静かな波が広がる。
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機械の存在が、
曖昧になる。
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アルゴ
「検知低下 確認」
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ノクス
「結界の検知から外れる」
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「だが」
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「中で見つかれば終わりだ」
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修一
「見つからねえように使う」
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セリナが地面に手をつく。
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「土魔法」
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地面がゆっくり動く。
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細い通路。
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人は通れない。
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だが、
機械なら通る。
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修一
「いいな」
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アルゴ
「偵察ユニット 投入」
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一体。
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二体。
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三体。
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複数の機械が、
順に地下へ入っていく。
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沈黙。
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数秒後。
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アルゴ
「映像取得 開始」
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空中に映像が浮かぶ。
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複数視点。
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廊下。
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部屋。
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人の動き。
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セリナ
「……見えてる……」
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カイゼル
「こんなことが……」
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アルゴ
「音声取得 可能」
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会話が流れる。
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断片的だが、
情報として成立する。
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修一は冷静に言う。
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「一体は――」
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少し間。
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「隠しカメラとして置け」
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セリナ
「……隠しカメラ……?」
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アルゴ
「了解」
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一体がその場で停止する。
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壁の隙間。
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人の視線が届かない位置。
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静かに設置される。
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アルゴ
「設置完了」
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「長時間監視 可能」
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修一
「いいな」
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ノクスが小さく言う。
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「……汚いやり方だ」
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修一は笑う。
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「勝つためだ」
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短く。
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沈黙。
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だが、
誰も否定しない。
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修一は画面を見つめる。
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複数の視点。
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内部のすべてが、
少しずつ見えてくる。
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「……これで」
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「中は全部見える」
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静かに言う。
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戦いは、
まだ始まっていない。
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だが。
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勝敗は、
すでに動き始めていた。
読んでいただきありがとうございます!
今回は結界の仕組みを踏まえた上で、
偵察という形で内部へアプローチする展開となりました。
無効化の使い方や、
小型偵察ユニットによる情報収集など、
これまでとは違う戦い方が見えてきたと思います。
また、隠しカメラの設置によって、
今後さらに重要な情報や証拠が手に入る可能性も出てきました。
ここからは得られた情報をどう使うかがポイントになります。
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