第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第22話 網の中
第22話です。
ルーヴェンハイムの内部での行動が本格的に危険なものとなり、
逃げ場のない状況へと追い込まれていきます。
そして、この都市の一端が見える回でもあります。
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
夜。
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ルーヴェンハイム。
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裏通り。
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「……さっきから、静かすぎるな」
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修一が言う。
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アルゴ
「異常」
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カイゼル
「……人が減っています」
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セリナ
「……封鎖、ですか?」
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次の瞬間。
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「止まれ」
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前方。
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兵士。
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背後にも気配。
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「……囲まれたな」
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修一が小さく言う。
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兵士が近づく。
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「紋章を確認する」
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距離が詰まる。
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その瞬間。
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「……散れ」
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ノクス。
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「闇魔法――無効化」
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兵士の動きが一瞬止まる。
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「今だ!」
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修一
「走るぞ!」
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路地へ。
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「逃がすな!」
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足音が増える。
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アルゴ
「追跡強化」
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修一
「ちっ……!」
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曲がる。
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さらに奥へ。
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そのとき。
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セリナ
「……あれ」
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足が止まる。
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修一
「どうした」
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視線の先。
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半開きの扉。
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中が見える。
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人が運ばれている。
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担架。
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動かない人間。
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「急げ!」
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「魔力が落ちる前に!」
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セリナ
「……何を……」
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室内。
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装置。
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人に繋がれている。
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光が流れている。
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アルゴ
「魔力抽出反応」
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沈黙。
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修一
「……なるほどな」
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セリナ
「……そんな……」
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「これが……医療……?」
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そのとき。
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「いたぞ!」
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兵士の声。
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現実に戻る。
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「追え!」
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修一
「行くぞ!」
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再び走る。
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だが。
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前にも兵士。
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完全に挟まれる。
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セリナ
「どうしますか……!」
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沈黙。
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修一はセリナを見る。
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「いけるか」
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セリナは即答する。
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「……はい」
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地面に手を当てる。
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「土魔法――展開」
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足元が沈む。
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通路ができる。
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「早く!」
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順に飛び込む。
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修一。
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アルゴ。
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カイゼル。
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ノクス。
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最後にセリナ。
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入口が閉じる。
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静寂。
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暗い地下。
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全員が息を整える。
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セリナ
「……はあ……」
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修一
「助かったな」
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アルゴ
「追跡 回避成功」
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カイゼルは黙っている。
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セリナ
「……あれ」
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「見ましたよね」
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修一
「ああ」
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沈黙。
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セリナ
「……あれは」
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「医療じゃないです」
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修一
「だろうな」
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アルゴ
「魔力資源化 可能性高」
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カイゼルが静かに言う。
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「……知らなかった」
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その声は重い。
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修一は壁にもたれる。
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「で」
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「どうする」
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沈黙。
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時間だけが進む。
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アルゴ
「残り時間 約13時間」
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セリナは顔を上げる。
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「……助けます」
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その目は真っ直ぐだった。
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修一は少しだけ笑う。
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「いいな」
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カイゼルもゆっくりとうなずく。
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「……はい」
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ノクスは何も言わない。
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だが、
その目はわずかに変わっていた。
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地下の中。
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四人は、
次の一手を考える。
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ルーヴェンハイム。
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その“本当の姿”に触れた今。
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もう、
引き返すことはできなかった。
第22話です。
ルーヴェンハイムの内部での行動が本格的に危険なものとなり、
逃げ場のない状況へと追い込まれていきます。
そして、この都市の一端が見える回でもあります。
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。




