第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第20話 整いすぎた街
第20話です。
ルーヴェンハイムに潜入し、
これまでとは違う“空気”の中での行動が始まります。
一見整っている街ですが、
その裏にあるものも少しずつ見えてきます。
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
夜。
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ルーヴェンハイム。
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整然と並ぶ灯り。
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無駄のない街並み。
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「……なんだこれ」
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修一が小さくつぶやく。
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騒ぎがない。
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人の流れも、静かすぎる。
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カイゼル
「……管理されています」
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修一
「だろうな」
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アルゴ
「視線 複数確認」
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修一
「見られてるか」
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アルゴ
「可能性 高」
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通りを歩く。
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店が並ぶ。
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魔道具。
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食料。
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薬。
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すべてが整っている。
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セリナが足を止める。
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「……ここ」
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薬屋。
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中に入る。
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「いらっしゃいませ」
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店主の声。
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棚に並ぶ小さな容器。
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淡く光っている。
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セリナが息をのむ。
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「……この魔力」
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修一
「なんだそれ」
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店主が答える。
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「リジェネ・カプセルです」
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「大賢者様の開発した回復薬です」
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修一
「薬、ってレベルか?」
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店主
「回復魔法を封じたものです」
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「登録者のみ購入可能です」
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「使用も記録されます」
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セリナの表情が変わる。
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「……記録」
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店主
「すべて管理されています」
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「無許可での使用は違反です」
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沈黙。
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修一は軽く笑う。
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「徹底してるな」
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店主
「当然です」
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店を出る。
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外の空気。
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だが、
軽くはならない。
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セリナ
「……あれがあれば」
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「もっと助けられるのに」
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修一
「金があればな」
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カイゼルは静かに言う。
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「……初めて見ました」
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「回復魔法を……ああいう形にするなんて」
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修一
「だろうな」
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そのとき。
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前方で人が止められる。
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「確認します」
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兵士。
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紋章が光る。
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「……問題なし」
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通される。
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別の男。
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兵士が少しだけ眉をひそめる。
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「……記録と一致しない」
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空気が変わる。
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男が一瞬、視線を逸らす。
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「同行願います」
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腕を取られる。
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抵抗はない。
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そのまま連れて行かれる。
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静かに。
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周囲は、
誰も気にしない。
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セリナ
「……今の」
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カイゼル
「……紋章の記録でしょう」
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「何かが一致しなかった」
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修一
「全部管理、か」
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アルゴ
「監視制度 確定」
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セリナは小さく震える。
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「……怖いです」
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修一は前を見る。
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「そうか?」
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少し笑う。
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「俺は好きだぞ」
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カイゼル
「……え?」
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修一
「分かりやすい」
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「ルールも、弱点も」
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沈黙。
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セリナは拳を握る。
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「……違います」
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「医療は……」
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言葉が詰まる。
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修一が続ける。
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「救うためのもんだ」
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セリナはうなずく。
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「……はい」
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アルゴ
「思想確認」
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カイゼルは静かに言う。
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「……ルーヴェンハイムは」
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「次のマスターを狙っていると聞きます」
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修一
「マスター?」
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カイゼル
「この国の頂点です」
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「三人の大賢者様の中から選ばれます」
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修一
「なるほどな」
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カイゼル
「……そのために資金を集めているとも」
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修一は小さく笑う。
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「医療で、か」
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沈黙。
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修一は空を見上げる。
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「時間は?」
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アルゴ
「残り約16時間」
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修一
「足りるな」
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だが。
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この街は、
まだ何も見せていない。
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ルーヴェンハイム。
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整いすぎたこの都市の、
その奥にあるものは――
読んでいただきありがとうございます!
ルーヴェンハイムの特徴である管理された社会や、
医療の扱い方が少しずつ見えてきました。
リジェネ・カプセルの存在によって、
この都市の在り方もよりはっきりしてきたと思います。
また、「記録と不一致」という描写からも、
この都市の厳しさや仕組みが感じられたのではないでしょうか。
残り時間は限られていますが、
ここからさらに踏み込んでいくことになります。
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