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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ

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第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第15話 出発の朝

第15話です。


ここまで続いてきた地下での活動に、

一つの区切りがつく回になります。


そして、新たな目的地であるルーヴェンハイムへ。

物語が次の段階へ進み始めます。


静かな展開ですが、

それぞれの想いを感じていただけたら嬉しいです。

朝。



地下の空間は、


いつもより少し静かだった。



「……今日で一旦、閉める」



修一の声が響く。



セリナは手を止め、


静かにうなずいた。



「……はい」



もう決まっている。



ルーヴェンハイムへ向かう。



人も、技術も、情報も集まる大都市。



そこで、


医療に使える素材と、


それを形にできる人間を探す。



そのために、


ここを一度離れる。



「しばらく来れなくなる」



修一


「だから今日は、できるだけ見る」



患者は、いつもより多かった。



噂を聞きつけた者たちが、


朝から集まっている。



「……助かりました」



「本当に……」



そう言って頭を下げる者もいる。



だが、


そのたびにセリナの表情は少し揺れた。



最後の患者を見送る。



地下に静けさが戻る。



「……終わりました」



セリナが小さく言った。



修一


「一旦な」




セリナは周囲を見回す。



土の壁。


粗い床。


簡素な机。



何もなかった場所。



だが、


ここには確かに意味ができていた。



「……また、やります」



その声は静かだった。



だが、


はっきりしていた。



修一は軽くうなずく。



「当然だ」




エリシアが近づいてくる。



「……ここ、好きです」



ぽつりとこぼす。



「人が……助かるから」



修一は少しだけ笑う。



「だな」




その少し後ろで、


アルベルトが腕を組んで立っていた。



「本当に行くんだな」



修一


「行く」




「ルーヴェンハイムなら、探してるもんがあるかもしれない」



アルゴ

「可能性:高」




アルベルトは小さく息を吐く。



「……面倒な場所だぞ」




修一


「そういう場所じゃないと困る」




カイゼルは少し離れた場所に立っていた。



その表情は、どこか硬い。



修一


「カイゼル」




カイゼルはゆっくり顔を上げる。




「……はい」




「お前も行くんだろ」




カイゼルは小さくうなずく。




「はい」




「ルーヴェンハイムには……」




少し言葉を止める。




「父がいます」




沈黙。




修一


「だろうな」




カイゼルは少しだけ目を伏せる。




「……会うかもしれません」




修一


「会いたくないのか?」




少しの沈黙。




「……わかりません」




その答えが、


すべてだった。




修一はそれ以上聞かない。




「まあいい」




「用があるのは、そっちじゃない」




アルゴを見る。




「こっちだ」




「作る」




アルゴ

「目標確認」




カイゼルはゆっくりとうなずいた。




「……はい」




そのとき。




セリナが一歩前に出る。




「私も行きます」




一瞬、空気が止まる。




アルベルト


「セリナ……?」




セリナは静かに続ける。




「ここで学んだことを、もっと広げたいんです」




「ルーヴェンハイムなら、医療に関する知識も見つかるかもしれません」




「それに……」




少しだけ言葉を区切る。




「修一さんとアルゴだけでは、手が足りません」




修一は少し驚いた顔をする。




「いいのか?」




セリナ


「はい」




「私は、救える側にいたいです」




その声に迷いはなかった。




アルベルトはしばらく黙っていた。




やがて。




「……わかった」




短くそう言った。




「ただし、無茶はするな」




セリナは微笑む。




「はい」




エリシアが一歩前に出る。




「……私も行きたい」




小さな声。




アルベルト


「ダメだ」




即答だった。




エリシアは唇を尖らせる。




「どうして……」




修一が言う。




「ここを守るやつが必要だ」




エリシアは顔を上げる。




「守る……?」




修一


「そうだ」




「戻ってきた時、ここがなくなってたら困るだろ」




沈黙。




エリシアはしばらく考えていた。




やがて、


小さくうなずく。




「……わかりました」




その返事は、


少しだけ大人びて聞こえた。




アルベルトが言う。




「馬車は用意してある」




「街道を北東へ進めば、ルーヴェンハイムへ続く道に入る」




修一


「助かる」




外へ出る。




朝の光が差している。




地下の入口を振り返る。




小さな場所。



だが、


確かに始まりの場所だった。




セリナが静かに言う。




「……必ず戻ります」




修一


「ああ」




短い返事。



だが、


それで十分だった。




カイゼルは地下の入口を見つめ、


そして前を向く。




アルゴは黙って修一の横に立つ。




四人は歩き出す。




ルーヴェンハイムへ。




新しい知識のある場所へ。




そして、


まだ知らない何かが待つ場所へ。




後ろでは、


アルベルトとエリシアが見送っていた。




「……気をつけてください」



エリシアの声。




修一は振り返らずに、


軽く手を上げた。




朝の道を、


四人は進んでいく。


読んでいただきありがとうございます!


地下での活動はいったん区切りとなり、

修一たちはルーヴェンハイムへ向かうことになりました。


セリナの決意、

エリシアの成長、

そしてカイゼルの抱える想いも、

少しずつ見えてきています。


ここからは旅と新たな出会いの章になります。


面白いと思っていただけたら、

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