第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第14話 見られている
第14話です。
これまで順調に進んでいた地下での活動ですが、
ついに外からの視線が向けられることになります。
少し緊張感のある展開となりますが、
ここからの変化も含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。
地下の空間。
⸻
「次の人、どうぞ」
⸻
セリナの声が響く。
⸻
処置は安定している。
⸻
カイゼルは記録。
⸻
エリシアは補助。
⸻
修一は全体を見る。
⸻
アルゴ
「運用安定」
⸻
修一
「だな」
⸻
順調。
⸻
そのはずだった。
⸻
⸻
「……なあ」
⸻
患者の一人が言う。
⸻
⸻
「外に、誰かいる」
⸻
⸻
空気が止まる。
⸻
⸻
修一
「どんなやつだ?」
⸻
⸻
「ローブを着てて……」
⸻
「ずっとこっち見てる」
⸻
⸻
カイゼルの表情が変わる。
⸻
⸻
「……来ましたね」
⸻
⸻
アルベルトが低く言う。
⸻
⸻
「ヴァルディア様の手だ」
⸻
⸻
修一はため息をつく。
⸻
⸻
「やっぱりな」
⸻
⸻
アルゴ
「監視行動 確認」
⸻
⸻
そのとき。
⸻
⸻
気配。
⸻
⸻
入口。
⸻
⸻
誰もいない。
⸻
⸻
だが――
⸻
⸻
「……いるな」
⸻
⸻
修一がつぶやく。
⸻
⸻
次の瞬間。
⸻
⸻
影が揺れる。
⸻
⸻
そこに現れる。
⸻
⸻
ローブの男。
⸻
⸻
音もなく。
⸻
⸻
エリシアが息をのむ。
⸻
⸻
「……っ」
⸻
⸻
男は何も言わない。
⸻
⸻
ただ、
全員を見ている。
⸻
⸻
その視線は、
冷たい。
⸻
⸻
修一
「見物か?」
⸻
⸻
男
「観察だ」
⸻
⸻
短い返答。
⸻
⸻
カイゼルが一歩前に出る。
⸻
⸻
「ここは――」
⸻
⸻
男が遮る。
⸻
⸻
「理解している」
⸻
⸻
「ヴァルディア様の意向に反する行為」
⸻
⸻
セリナの手が止まる。
⸻
⸻
男は続ける。
⸻
⸻
「だが」
⸻
⸻
「即時排除の対象ではない」
⸻
⸻
修一
「へえ」
⸻
⸻
男の視線が動く。
⸻
⸻
患者。
⸻
セリナ。
⸻
アルゴ。
⸻
⸻
「……異質だ」
⸻
⸻
小さくつぶやく。
⸻
⸻
修一
「それで?」
⸻
⸻
男
「監視する」
⸻
⸻
「すべてを」
⸻
⸻
アルベルト
「命令か」
⸻
⸻
男
「当然だ」
⸻
⸻
沈黙。
⸻
⸻
セリナが静かに言う。
⸻
⸻
「ここは、治療の場です」
⸻
⸻
「邪魔をするなら……」
⸻
⸻
足元の土がわずかに動く。
⸻
⸻
男の視線が落ちる。
⸻
⸻
「土魔法……レベルが高いな」
⸻
⸻
だが、
構えない。
⸻
⸻
「戦う気はない」
⸻
⸻
「今は」
⸻
⸻
その言葉に、
わずかな違和感。
⸻
⸻
修一
「意味深だな」
⸻
⸻
男は答えない。
⸻
⸻
ただ、
一歩後ろへ下がる。
⸻
⸻
「……続けろ」
⸻
⸻
「その行為が、何を生むのか」
⸻
⸻
「見届ける」
⸻
⸻
そして――
⸻
⸻
音もなく、
消える。
⸻
⸻
沈黙。
⸻
⸻
エリシア
「……消えた」
⸻
⸻
カイゼル
「闇魔法……」
⸻
⸻
アルベルト
「諜報系だな」
⸻
⸻
修一は軽く息を吐く。
⸻
⸻
「面倒なのが来たな」
⸻
⸻
アルゴ
「追跡困難」
⸻
⸻
修一は少し笑う。
⸻
⸻
「まあいい」
⸻
⸻
「どうせ――」
⸻
⸻
「動くならこっちも動く」
⸻
⸻
カイゼルがうなずく。
⸻
⸻
「……大賢者様の大都市へ」
⸻
⸻
修一
「そうだ」
⸻
⸻
地下の空間。
⸻
⸻
その中で。
⸻
⸻
静かに、
次の戦いが始まろうとしていた。
読んでいただきありがとうございます!
ついに監視者との接触がありました。
これまでの“裏の活動”が、完全に見られている状況になります。
ただの敵ではなく、
何かを観察しているような存在である点も、
今後の展開に関わってきます。
そして、次の目的として
大賢者様の大都市へ向かう流れも見えてきました。
ここから物語はさらに大きく動いていきます。
面白いと思っていただけたら、
ブックマークや評価をしていただけると励みになります!




