第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第13話 広がる地下
第13話です。
地下での活動が少しずつ形になってきました。
これまでの積み重ねが、安定として見え始める回です。
そして、ここから先に繋がる新たな動きも出てきます。
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
地下の空間。
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土の壁に囲まれた、小さな拠点。
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だがそこには、
確かな“流れ”ができていた。
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「次の人、どうぞ」
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セリナの声。
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落ち着いている。
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迷いはもう、ほとんどない。
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一人、また一人。
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処置が続く。
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修一は少し離れて見ていた。
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アルゴ
「処置精度 向上」
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修一
「だろうな」
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カイゼルは記録をつけている。
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「症状と処置……」
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「再発の有無も確認した方がいいですね」
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修一
「いいな、それ」
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エリシアは補助に回る。
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「これ、こうですか?」
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セリナ
「はい、それで大丈夫です」
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少しずつ、
“仕組み”になっていく。
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「……助かりました」
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患者が頭を下げる。
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セリナは静かにうなずく。
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「また来てください」
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その言葉に、
迷いはなかった。
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修一はそれを見て、
小さく息を吐く。
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「……回り始めたな」
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アルゴ
「安定運用 可能」
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だが。
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修一は視線を落とす。
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(これじゃ足りない)
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(人が増えたら、回らない)
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アルゴを見る。
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(こいつがいなきゃ成立しない)
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壁にもたれながら、
小さくつぶやく。
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「……もう一体、作れないか」
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アルゴ
「自己複製機能:未実装」
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修一は苦笑する。
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「だよな」
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だが、思考は止まらない。
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(医療に特化したやつ……)
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(判断と手順だけできればいい)
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(材料と……設備と……)
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(あと――作れるやつ)
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そのとき。
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カイゼルが声をかける。
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「……それ」
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修一
「ん?」
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カイゼル
「作る、という話なら……」
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少し考えてから続ける。
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「ここでは難しいかもしれません」
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修一
「だろうな」
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カイゼルはうなずく。
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「大賢者様の大都市なら」
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「人も、技術も、情報も集まっています」
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修一は目を向ける。
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「大賢者様の大都市?」
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「はい。ノースガルドには三つあります」
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「ルーヴェンハイム、アストレイン、グレイシアード」
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「そのいずれかなら……探しているものが見つかる可能性は高いです」
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修一は腕を組む。
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「……なるほどな」
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アルゴ
「合理的提案」
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修一
「行く価値はあるな」
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カイゼルは小さくうなずく。
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「はい」
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だが、
その表情にわずかな影。
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「……父も」
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言葉が止まる。
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沈黙。
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修一はあえて軽く返す。
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「その大都市にいるのか?」
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カイゼルは少しだけ迷い、
うなずく。
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「……はい」
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「ルーヴェンハイムに」
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一瞬、空気が変わる。
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エリシアが小さくつぶやく。
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「……あそこ」
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アルベルトが静かに口を開く。
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「エリシアは行かせなかった」
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修一が目を向ける。
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アルベルトは続ける。
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「後妻のイリーナがいたからな」
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カイゼルの表情が固まる。
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「……あの人は」
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アルベルト
「子供に興味がない」
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短く言い切る。
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「エリシアも、ほとんど相手にされていなかった」
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沈黙。
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エリシアは何も言わない。
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ただ、
少しだけ視線を落とす。
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アルベルトは続ける。
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「だから俺が引き取った」
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その声は、
静かだった。
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修一は軽くうなずく。
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「……なるほどな」
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深くは踏み込まない。
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エリシアは小さくつぶやく。
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「……ここがいいです」
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誰にも向けていない言葉。
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だが、
それで十分だった。
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そのとき。
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「……また来ました」
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エリシアが言う。
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入口の方。
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新しい人影。
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修一はそれを見て、
小さくつぶやく。
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「……時間ねえな」
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アルゴ
「需要 増加中」
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地下では、
人が救われ続けている。
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だが――
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その裏で。
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次に向かうべき場所が、
静かに定まりつつあった。
読んでいただきありがとうございます!
地下での活動は順調に進み始めましたが、
同時に“限界”も見え始めました。
そして、新たな目的として
大賢者様の大都市という選択肢が出てきました。
また、カイゼルやエリシアの背景にも
少し触れています。
これから物語はさらに広がっていきます。
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