第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第5話 光の都市
第5話です。
ついにヴァルディアの中へ。
魔法によって支えられた都市の様子が描かれます。
これまでとはまた違った世界観を楽しんでいただけたら嬉しいです。
ヴァルディアの中は――
まるで別世界だった。
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石畳は整い、
建物は美しく並ぶ。
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修一は空を見上げる。
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「……おい」
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指をさす。
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空。
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人が飛んでいる。
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「飛んでるな」
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カイゼル
「風魔法です」
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空中を滑る魔道士。
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それを誰も気にしない。
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修一
「すげえな……」
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さらに進む。
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通りの一角。
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光る店が並んでいる。
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「なんだあれ」
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カイゼル
「魔道具屋です」
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店先には、
浮かぶランプ。
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勝手に動く道具。
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光を放つ装飾。
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修一は立ち止まる。
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「……夢みたいだな」
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アルゴ
「高度な魔力応用技術を確認」
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修一
「だな」
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アルベルト
「これがこの都市の力だ」
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そのとき。
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「お兄さーん!」
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小さな声。
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振り向くと、
少女が走ってくる。
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淡い銀色の髪。
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まだ幼い顔立ち。
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10歳ほどだろう。
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「エリシア」
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アルベルトの顔が一瞬で崩れる。
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「元気だったか!?ちゃんと食べてるか!?」
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修一
「また始まったな」
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エリシアは軽く笑う。
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「お兄さん、落ち着いてください」
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そして、
カイゼルを見る。
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「……カイゼルお姉さま」
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少しだけ柔らかい声。
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「無事でよかったです」
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カイゼル
「……エリシア」
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だが。
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次の瞬間。
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エリシアの視線が、
修一に向く。
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じっと見る。
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「……その人は?」
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カイゼル
「修一です」
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修一は軽く手を上げる。
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「どうも」
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エリシアは無言で見る。
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そして。
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「……魔力、ないですね」
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空気が少し止まる。
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アルベルト
「ない」
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あっさり言う。
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エリシアは、わずかに眉をひそめる。
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「どうしてそんな人が中に?」
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はっきりした拒絶。
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カイゼル
「エリシア、その方は――」
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「危なくないんですか?」
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言葉は冷たい。
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修一は特に気にした様子もなく、
肩をすくめる。
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「まあ、そう思うよな」
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エリシアは、興味を失ったように視線を外す。
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だが。
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すぐに、アルゴに気づく。
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「……それ」
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近づく。
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「なに?」
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アルゴ
「AIユニット アルゴ」
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エリシアの目が輝く。
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「……しゃべった」
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「魔道具ですか?」
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アルゴ
「否定」
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エリシアはさらに近づく。
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「どうやって動いてるの?」
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修一
「それ、俺の相棒」
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エリシアは修一を一瞬見る。
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そして、またアルゴに視線を戻す。
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「……ふーん」
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完全に興味はそっち。
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修一
「わかりやすいな」
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アルベルト
「子どもだからな」
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カイゼルは少し困った顔をする。
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エリシアはアルゴの周りをぐるぐる回る。
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「面白い……」
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修一はその様子を見て、
少しだけ笑う。
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都市の光。
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魔法の力。
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人々の暮らし。
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すべてが輝いている。
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だが。
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その中にある、
小さな違和感。
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修一は空を見上げる。
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「……すごい世界だな」
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その言葉には、
少しだけ別の意味も混ざっていた。
読んでいただきありがとうございます!
美しく発展した魔法都市ヴァルディア。
その中で、新たなキャラクターであるエリシアも登場しました。
まだ幼いながらも、この世界の価値観を強く持っている存在です。
これからどのように関わっていくのかも、見ていただけたら嬉しいです。
ここから少しずつ、この世界の“違和感”も見えてきます。
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