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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第4章 ジャポン誕生

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第4章 ジャポン誕生 第13話「未知の素材」



ここまで読んでいただきありがとうございます。


第13話は、嵐を越えるための“現実的な壁”に直面する回です。


理論は見えた。

だが、それを実現するための素材が足りない。


ここからは、発想だけでは進めない領域。


未開の地そのものに向き合い、

何があるのか、何が使えるのかを探していく段階に入ります。


少しずつ、この世界の広がりも感じていただけたら嬉しいです。

嵐を越える。


そのための理論は見えた。


だが――


「問題はここからだな」


修一は机の上の手錠を見つめる。


魔法封じの手錠。


この小さな道具が、突破口になる。


クロウが横で腕を組む。


「こいつの正体を暴かねえとな」


「ああ」


修一は頷く。


「まずは構造解析だ」


アルゴがすぐに反応する。


『解析開始』


淡い光が手錠を包み込む。


内部構造の読み取りが始まる。


しばらくの沈黙。


やがて、結果が出る。


『外殻は未知の合金で構成』


『魔力伝導率、極めて低』


『内部に微細な魔法陣構造を確認』


クロウが口を開く。


「やっぱり普通の素材じゃねえな」


修一が言う。


「名前、つけるか」


クロウが少し考えて答える。


「……エーテル遮断鋼、ってとこだな」


「いい」


修一は即決した。


アルゴが補足する。


『エーテル遮断鋼は魔力を遮断・分断する特性を持ちます』


『対象だけでなく、周囲環境への干渉も可能』


修一の目が鋭くなる。


「やっぱりこれだな」


「これを広げれば、嵐の中に通れる空間を作れる」


クロウが続ける。


「ただし、問題がある」


アルゴが数値を表示する。


『必要量算出完了』


クロウがそれを見て苦笑する。


「……数百倍だな」


「この手錠の」


修一は黙る。


ミアたちも言葉を失う。


「そんなに……」


サラが呟く。


修一は静かに言った。


「足りない」


「全然足りない」


クロウが肩をすくめる。


「作るにしても、素材がねえ」


ノクスが口を開く。


「この未開の地は広い」


「資源が眠っている可能性は高い」


修一は周囲を見渡す。


森、山、未知の大地。


「……俺たち、この土地のこと何も知らないな」


クロウが頷く。


「拠点の周りだけで分かった気になってた」


修一は決断する。


「探しに行く」



出発の準備。


だが――


今回は全員ではない。


修一は皆の前に立つ。


「今回は少人数で行く」


レイドが眉を上げる。


「全員じゃねえのか?」


「拠点を空ける方が危ない」


修一ははっきり言った。


「ここはまだ不安定だ」


「守りが必要だ」


サラが頷く。


「確かに……医療も止められません」


ミアも言う。


「食料もありますし……」


レイドが笑う。


「農業もあるしな」


ガイも腕を組んだまま言う。


「人手は残した方がいい」


修一は頷く。


「アルゴがいれば対魔物はなんとかなる」


「ノクスがいれば最悪逃げられる」


クロウが笑う。


「つまり――精鋭ってことか」


「ああ」


修一は言い切る。


「俺、アルゴ、ノクス、クロウ」


それだけだ。


小型AIは拠点防衛に残す。


戦力も生活も、ここが止まれば終わる。


修一は皆を見る。


「しばらく留守にする」


「頼むぞ」


ミアが力強く頷く。


「任せてください」


レイドも笑う。


「ちゃんと守っとく」


ガイは短く言う。


「問題ねえ」


サラも静かに頭を下げる。


「お気をつけて」


修一は小さく笑った。


「行ってくる」



拠点を出る。


一歩外へ踏み出すと、空気が変わる。


まだ人の手が入っていない世界。


「……やっぱ違うな」


クロウが呟く。


修一も頷く。


「ああ」


「ここから先が、本当の未開だ」


アルゴが周囲をスキャンする。


『環境データ更新中』


ノクスは静かに周囲を警戒する。


進む。


森は深くなり、音が減る。


やがて――


「止まれ」


ノクスの声。


全員が止まる。


アルゴが反応する。


『高エネルギー反応を検知』


「どこだ」


修一が聞く。


『前方三百メートル』


慎重に進む。


空気が変わる。


重い。


やがて、それは現れた。


岩場の奥。


淡く光る鉱石。


周囲の空間が、わずかに歪んでいる。


「……なんだこれ」


クロウが近づく。


「触るな」


アルゴが解析する。


『強い魔力干渉を確認』


『周囲の魔力を乱しています』


修一は静かにそれを見つめる。


そして、確信する。


「……近い」


「エーテル遮断鋼に」


クロウが笑う。


「完全じゃねえが……かなりいい線だ」


ノクスも言う。


「この地には、まだ未知の資源がある」


修一は鉱石を見つめたまま言う。


「……やっとスタートだな」


未開の地。


その名の通り――


まだ何も分かっていない場所。


だが、確実に。


その中に答えはある。


「見つけるぞ」


静かに呟く。


嵐を越えるための道は、


この地の中に眠っていた。



第13話、いかがでしたでしょうか。


今回のポイントは、“エーテル遮断鋼”という新たな要素の登場と、

それを求めて動き出した探索です。


そしてもう一つ重要なのが、

「全員で動かない」という判断。


拠点を守るために人を残す。


当たり前のようでいて、これまであまり意識されていなかった部分が、

ここでしっかり形になってきました。


少人数での探索は、その分リスクも高まります。


しかし同時に――

未開の地の本当の姿に近づくことにもなります。


ラストに出てきた鉱石。


あれが希望になるのか、

それとも新たな問題を呼び込むのか。


次回は、その先に踏み込んでいきます。


引き続きよろしくお願いします。

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