第1章 未開の地の冒険 第1話 目覚め――崩壊した研究室で
はじめまして!
AIと異世界、そして建国の物語です。
楽しんでいただけたら嬉しいです!
カチャ、カチャ……。
深夜の部屋に、小さな機械音だけが響いていた。
神谷修一は、机に向かっている。
散らかった工具。
書きかけの設計図。
そして――
目の前には、一体のロボット。
白いボディの犬型AI。
無機質なはずなのに、どこか愛嬌がある。
「……よし」
修一は、小さく息を吐いた。
「これで、完成だ」
長い時間をかけて作り続けてきた存在。
その名は――アルゴ。
仕事でもない。
誰かに頼まれたわけでもない。
ただ、自分が「作りたかった」から作った。
それだけの存在。
電源を入れる。
ピッ――
静かな起動音。
そして、ゆっくりと目が光る。
「起動確認」
無機質な声が、部屋に響いた。
修一は一瞬、固まる。
それから――
ふっと笑った。
「……しゃべったな」
肩の力が抜ける。
ここまで来るのに、どれだけ時間がかかったか。
「これで、やっと完成か……」
椅子にもたれかかる。
疲労が一気に押し寄せた。
まぶたが重い。
「少しだけ……寝るか」
そう呟いた瞬間、
意識は静かに落ちていった。
⸻
目を開けたとき。
そこは、知らない空の下だった。
「……は?」
ゆっくりと体を起こす。
頬に当たるのは、冷たい風。
見渡す。
荒野。
岩。
枯れた木。
遠くに山。
そして――
何もない。
「……どこだよ、ここ」
人の気配はない。
建物もない。
道すらない。
まるで、文明が最初から存在しない世界。
夢――ではない。
そう直感した。
「異世界……とか?」
自分で言って、苦笑する。
そのときだった。
「起動確認」
背後から、声。
修一は振り返る。
そこにいたのは――
白い犬型ロボット。
アルゴだった。
「……お前」
「マスターを確認」
「神谷修一」
修一の思考が止まる。
「なんで名前知ってんの!?」
アルゴは淡々と答える。
「登録データと一致」
「マスターと認識」
頭が追いつかない。
だが、状況は待ってくれなかった。
アルゴの目が赤く光る。
「警告」
「大型生命体接近」
修一
「え?」
地面が揺れる。
ズシン。
ズシン。
ゆっくりと、だが確実に近づいてくる振動。
岩陰から現れたのは――
巨大な魔物だった。
熊のような体。
異様なほど発達した筋肉。
そして、赤く光る目。
「……無理だろ」
心の底からそう思った。
アルゴが即座に言う。
「戦闘は推奨しません」
「逃走を提案」
修一
「それしかないだろ!!」
二人は走り出した。
荒野を全力で駆ける。
背後から響く咆哮。
ドォォォォォ!!
「死ぬ死ぬ死ぬ!!」
アルゴ
「最短安全ルートを算出」
「こちらです」
アルゴの指示に従い、進む。
岩場を抜け、
坂を下り、
木々の影を通り抜ける。
不思議と、魔物は追いついてこない。
導かれているようだった。
やがて――
崖にたどり着く。
「行き止まりかよ!?」
修一は叫ぶ。
だが、アルゴは動じない。
「この先に安全な空間を確認」
修一
「は!?」
アルゴの目が青く光る。
崖の壁に触れる。
次の瞬間――
ギィィィ……
岩が、動いた。
隠し扉。
人の手によって作られたもの。
「……なんだよこれ」
アルゴ
「内部へ」
迷う暇はなかった。
修一は中へ飛び込む。
直後、扉が閉まる。
外から魔物の咆哮が響くが、
もう中には届かない。
静寂。
暗闇。
そして――
かすかな機械の残骸。
修一はゆっくりと歩く。
そこは、研究室だった。
崩れた机。
散らばった工具。
壊れた装置。
そして、倒れたベッド。
長い時間、放置されていたことが一目でわかる。
「……なんだここ」
床に落ちていた紙を拾う。
その瞬間、
手が止まる。
そこに描かれていたのは――
アルゴの設計図だった。
「……は?」
ありえない。
だが、もっとおかしいのは――
それを“理解できてしまう”こと。
回路。
構造。
エネルギーライン。
すべてが、自然に頭に入ってくる。
「なんで……わかる?」
アルゴ
「マスター?」
修一は、ゆっくりとつぶやいた。
「ここ……」
心臓がざわつく。
見たことがないはずなのに、
なぜか、知っている気がする。
「……俺、ここ知ってる」
静かな研究室。
壊れた過去の痕跡。
そして、
自分が作ったはずのAI。
何かが、確実に繋がり始めていた。
だがそのときは、まだ――
誰も知らない。
この場所が、
すべての始まりであることを。
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第2話ではカイゼルとの出会いが描かれます。
ぜひ続きも読んでいただけると嬉しいです!




