パラパラっと変わりゆく変化の中
一応…月城家から離れたものの…
もう、週に一度は月城が新居に押しかけてくるぐらいだった。
前なんか、ユキの友達である伊集院さんが来ている時に月城まで来た日…
少しでも隙があって、
「伊集院さん」
と言い終わる前に、月城が伊集院さんの手を握っていて、
「ちょっと!守になんてことするの!」
とユキはめちゃくちゃ怒っていた。
もう、ホントに見境ない…
これユキがとめに入らなかったら…と思うと…
「いやぁあのね。どうしても伊集院さんにお願いしたいことがあってねー。」
「だめ!あんたのお願いってろくなことないので!」
「もう、ユキちゃんたらー厳しなー。」
ただでさえ、月城のここへの訪問をユキは嫌がっているので、月城がここへ来るたびにユキが不機嫌になるので、この態度ももう当たり前となった。
まぁ月城もこうなることは判ってはいるものの、やっぱり自分の子が自分の元から離れていったから、心配ではある親心なのだろうけど…正直うざい…
「実はさ、今モデル事務所から、背がスラーッと高くて春が似合うボーイッシュ系のモデルを探しているとのことだったので、伊集院さんがぴったりだと思ってね。」
「え?私がですか?」
「そうなんだよー。」
「守。このおっさんの言うことなんてまともに聞いてはだめよ。だいたい裏がある。」
まぁユキの言うことはもっともだ。
ホント、この人に関わるとなると半端なく変なことが起こる。
「ほらこれ、私が投資してるモデル事務所でね。」
「えーここあの有名雑誌のkyunkyunじゃないですかー。すごーい。」
え?
「しっているのかね?」
「ええまぁ、私服装に関してはシンプルが一番なので、買ったこととかはないけど、よく本屋さんで見かける雑誌ですよねー。」
「…」
さすがのユキも黙ってしまった。
「んーでも、私には難しそうなことですし、正直な話遠慮したいかな。
緊張しちゃってカメラ相手にうまく表情が作れないと思うし。」
伊集院さんのその返答にユキがホッとしていたら、
「いや、君しかいない!だから今からついてきたまえ!」
と言って、月城が伊集院さんを強引に連れて行こうとしていたので、ユキがすかさず伊集院さんのことを捕まえて離そうとはしなかった。
「ダメ!絶対にダメ!」
「ユキ…」
私も正直な話、月城が女の子に手を出すときって、こんなものなのか?と初めて直で目にした場面だ。
そういえば、私も最初にこの人から、いきなり手を握られていたことを思い出した。
「大丈夫だよ。行ったりなんかしないよ。」
伊集院さんはまず月城の手をほどいて、月城の方に向きかえり
「たいへん、素敵なお話ですが私には荷が重そうですので、このお話遠慮させていただきます。」
と丁重に断っていた。伊集院さん的にはそれが本当の気持ちだった。
しばらく沈黙が続いた。
「そんなに疑うなら、3人ともついてくるといい。
スタジオは見学だって可能だ。
とりあえず、伊集院さんにはスタジオスタッフからお話だけでも聞いていただきたい。」
「じゃあ、用事が終わったら、すぐに守を帰らせてくれるよね?」
「ああ約束する。」
それで何とか話はついた。
伊集院さんも今回限りということで話はついた。
ホントにこんなうまい話があるんか?と思ったら、話は本当だった。
スタジオについて、代表者と顔を合わせるや否や…
「いやぁぴったりだよ。こんな感じの子ホントに探していたんだよ。」
と言われてしまい、
「ささ、さっそくこれに着替えきてほしい。」
そこに掛けてあった服を差し出した。
本当に伊集院さんに似合いそうなボーイッシュスタイルの服だった。
もう月城に関わることなので私たちは更衣室まで着いていったぐらいだ。
メイクもセットもバッチリしてもらって、
「はい、こっちむいて!」
パシャ
「はいOK!」
「今度はお友達とお姉さんがいる方に目線を移してー」
結構いろいろ言われるがままに大勢とかを決めないといけないらしく、大変そうだ。
「そうそう、その角度」
パシャ
「はい、このネコちゃん見て!」
すっごいかわいいネコのぬいぐるみを見て、伊集院さんは少し顔がほころんで笑顔になったとたん
パシャ
シャッターが切れる音がしていた。
こういう不意打ちを狙った撮り方もあるんかと結構おもしろいものを見せていただいた。
本当にすごいものを見せてもらった。
「な、ホントだっただろ?」
と月城までそう言っていた。
「…どーだか…」
それでもユキは月城ことを信じていなかった。
だから、帰りは私たちは絶対に月城を一緒に帰るつもりはなかった。
そこからは電車やバスを乗りつないで3人で帰る気だった。
撮影が終わって帰ろうとしていた時、
「あー君たちちょっと…」
なぜかそこのスタッフに呼ばれた。
「今さ、そこでちょうど撮影しているのだけど…」
と言ってきたので
「あ、大丈夫です。終わるまでここで待ってますから…」
まぁじゃまになるなら待つまでだと思った。
「いやあのね。ちょうどエキストラの数が足りないから、出てほしいんだけど…」
「え?でも私たちろくにメイクもしてないし…」
「大丈夫!あくまで自然体でいればいいから、そこに突っ立ってて。」
その自然体というのが難しいとは思うのだが…
「なぁにあれ?」
「さぁ」
とユキたち二人はしゃべっていた。
そのとたん
「はい!カット!おk!」
と叫ばれた。
「え?」
撮影はあっという間だった。
そこへさっきの男がこっちにまた来て
「ありがとう。あまりにも短いからカットされるかもだけど、「限られた時間の中で」というドラマの第2話のワンシーンになるかもだから、よく見たらわかるかもよ。」
とのことだった。
その時に3人ともその男から、名刺をもらった。
「まぁもしまた縁があったら、ここに連絡して。」
縁があったらって…名刺渡している時点で、少しでも縁をつないでおきたいと言っているようなものなのにね。まぁこういう珍しい縁もあまりなさそうだ。
そして私は、ここでとんでもないミスをしてしまったのである。
つまり、結果的にこんな一瞬でしかなかったこの撮影ではあったが、それが原因ですごい話題になってしまったのである。まぁそのお話はまた後日でおこることになる…。
月城家の最後の仕事。
希実の卒業式も終わり、無事に希実を火口家に見送ることも終わった…
「ありがとな。先生のおかげで人並みになれた。」
という言葉を最後に聞いて、希実とは別れた。
卒業式には希実の母も、火口家のおばあさまも来ていた。
本当は火口家のおばあさまに二央についていろいろ聞きたかったが、卒業式に行く前に希実から、
「先生に何があったかについては何となくわかった。
でもニオ兄のことは、もう何も知ろうとするな。」
と言われて、結局何も聞けなかった。
これで私はもう次のステージ部進むことになった…
まぁそれはそれとして…
私の新しい職場…
政治家鈴木英子のもとで働くことにはなったが、これがまた癖の強い世界で、後悔する未来しかないと思ったのは鈴木英子と関わって、3か月もたたない時だった…。
おまけに私は、月城家を離れてた翌日に結婚した。
相手は、鈴木英子の息子一雄。
よりにもよって?
と私の結婚を知る者からすれば、みんなそう言ってきたが、私は何よりも鈴木という苗字が欲しかった。
そしてこの先うまいこと曜子から逃げるとなると、鈴木といった目立たない苗字は何よりも強みがあると思えたからだ。
それに、結婚もあくまで戸籍上だけであり、実質上一雄とは夫婦でもなんでもなかったりの関係だ。
我が主、鈴木英子もそれは納得している。
鈴木英子本人も「一雄は子供を残せない体だし、それを思うと申し訳ない」とのことだった。
ただ、英子さんも我が子にも一度は結婚したという証が欲しいので、自宅で記念写真だけは欲しいという願いだけはかなえた。私も白いドレスを着て少ない英子さんの身内のみで記念写真を撮って、私たちなりの結婚式を行った。
そして私はその事実を誰にも言わずに鈴木星子となった。
いうまでもなく、実家の誰にも言わずに勝手に琴金家から籍を抜いて、鈴木家に籍を入れた。
そしてまた、すごいことに現在同居人であるユキにも黙って結婚したのであった。だからユキにもその結婚の事実は気づいていない。
そう、ここで問題の本題と入るが…
鈴木英子のもとで働くことになって、最も後悔したのは…鈴木英子が…
「今日はね。また新しい子が入ったの。」
「ルミィちゃんよ。」
ルミィちゃんって…
「よろしくお願いします。」
あーあこの子もそんなにもたないのだろうなー
思いつつ、私も挨拶をする。
一応ポニーさんがもう年ゆえに新しい子を使用人として、ポニーさん以外に二人ほど雇ってはいるのだが、どうも続かない。
何せ、あの一雄さんの部屋専属の片づけやお世話を担当するのだが、一雄さんがどうなるか判らないので、毎日が無事に済むとは限らないのである。元々そのことに関しては面接時に話してはいるのだが、障害を抱えているものが相手ゆえに想定外のことばかり起きるのが日常だ。ある日突然泣きながら、帰っていった翌日には仕事辞めてるなんてことが当たりまえのように何度かあったので、心が痛くて仕方ないのだ。
ところがだ…
このルミィという呼び名をつけられたこの子は結構長く続いていた。
というか…ルミィが来てから、先に来ていた先輩はやめて行ったのはもちろん、すでにルミィが入ってから、後輩が4人もやめていき今に至るのだ。
最初、このバイトをメイドの仕事なら、ということでユキに紹介しようと思ったが、一雄の世話もあるということで、やめさせておいたのは本当に正解だった。
すごい不思議に思ったが…この女…とんでもないことに…一雄さんの性欲処理まで行っていたことに気が付いた。
まぁ本来なら、それって妻である私がするべきことなのだろう。
ホントはこの件について、英子からも話を聞きたかったが余計なことを言って、本当に私がそれするはめになったら、余計に面倒なので黙っておくことにした。せっかく形だけの結婚で何もしなくてもいいと言われているのに余計な仕事がこれ以上増えるのも勘弁だ。
あとまたさらにとんでもない事実を知ってしまったが、鈴木英子は同性愛者だった。
さすがに幼馴染のポニーとはいまだに恋人関係で一緒にいるのは当然で、たまに若い女の子をかわるがわる雇ってはかわいがっているということを入ってすぐに知った。そんなことだから、気味悪がってやめていく子が多いのも納得ができた。
当然…
私も今現在、それに巻き込まれている…
まぁここで働くからには…ということもあるが…
一雄を相手にしない代わりに英子たちを相手しろというのが、彼女らの主張だ。
それを考えると仕方がない。
ことかもしれないが、正直あまりいいものではない。
まぁそれでも、私はおそらく同年代よりかははるかにいい稼ぎしているとは思う。
まるでどこかの愛人をやっているみたいだが、それでも背に腹は代えられない。
それも仕事の一つとして割り切るしかない。
まさか自分が同性である女相手の愛人をやるはめになるとは想定外だったが、これも月城家でいろんなものを目にしているせいか、おそらく他の普通の人よりかは耐性が付いている。
だからやっていられるのであろう。
何せ、私は鈴木英子の息子と結婚までしてしまったのだから、他の雇用人とは違ってやめていくわけにはいかない。
もし、私がここを抜け出せるとしたら、一雄とうまいこと離婚できてからであろう。
果たして、私にそんな日が来るのであろうか?
そしてあの曜子がまた…東京に来てまた大暴れしていくのであった。




