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いいから聞かせろ!

どういうこと?


希実も今年のクリスマス会には行くなとは言っていたけど…

いったい何があったんだろう?


「未成年には、とてもじゃないけど聞かせられない…」


幸助さんは来て早々に遭ったことを話そうとしたが、想定外にユキもいたので口をつぐんでしまった。


がユキは仮にここで寝かしつけたところで、寝たふりしてでも起きてきて、意地でも聞くであろう。

ユキ曰く、この一族は、いつも裏を隠されてばかりで、それを知っておかないといつもバカを見るということでこりているので、


「いいから聞かせろ!」


と言って黙っていない。


「…」


ああ、この子は大人が言いにくそうにしてるとこうなる…


「私はね。この一族のそういうところに、もううんざりなんだよっ!」


そうだ。


「それに今回、私もその会に参加する予定だったんだ。なら、知る権利は十分にある。」


未成年には聞かせられないこととか言いながら、その未成年をそのパーティに連れて行こうとしたのだ。

一応、参加できる権利があるのなら、聞く権利もあるだろう。



「やっぱり、比呂ちゃんの子だ。血は争えないな。

顔も性格もそっくりだ。」


「…え?」


比呂って?まさか…


「…母さんのこと知ってるの?」


「ああ、指で数えれる程度ぐらいしかあったことがないけどね。すごくきれいな子でよく覚えている。」


ああこれ、ユキの興味の対象を母親に移すことでごまかしたな…


「できれば、お話聞かせていただけませんか?」


ホント、話は切り替わってうまいことそらすことができた。


「んー、とにかく気の強い子だったな。」



幸助さんはユキに気を使って、本当に妥当なことをしか言わない。


「大丈夫。聞いてるよ。「お前なんか最初の男でも最後の男でもないわっ!!女をなめるな!!ざっまぁー!!」というのが、月城が聞いた最後の言葉だって…」


そう、もうすでに私はユキに話していた。

だから、ユキは母親の何を聞いても動じないであろう。


「ま、残念だったのは私が月城の娘だということだけどね。」


確かにあんなお父さんはイヤだろう。

ユキだって、その話を聞いた時には「もしかしたら、本当は他の人がお父さんかもしれない」とすごい期待していたが、ユキの左肩にある十六夜の月の形をした痣が、月城家の者であると物語っている。


あの時は発狂して、ナイフで自分の肩を刺しそうになった時には流石に必死で止めた。もう、あれはアニメ「ツーピース」の某ヒロインが見せたあの場面を思い出してしまった。


「大丈夫。もう吹っ切れたよ。」


「私があんな話をしてしまったから…ごめんね…」


「いいって。私それでもお母さんのことは嫌いじゃないもん。」


「なんか、すごいことまで知っているみたいだね…。」


「まぁ私の自慢の母ですから。」


「じゃあ、私が比呂ちゃんにしたことも許してくれるかい?」


「え?まさか、あなたが母のお相手さん?」


「いいや違うよ。初めて会った時にいきなり「私を抱け!」とか言われたのが衝撃的だったが、私は断ったよ。」


「ええーーーっ!」


それに関しては私もユキも一斉に声がハモった。

まぁ幸助さんだからね。二度目の奥さんを抱く事すら拒もうとしていたのだから、断るのは当然か…


「じゃあ、誰だったんですか?月城以外で母を相手したのは?」


「そこまでは知らない。「そういうことは好きだと思う人だけにしておきなさい。」と諭しただけだから。」


やっぱり、そうだよな。

幸助さんらしい。


「ただはっきり言えるのは、あの一族たちにはいずれもいないはずだよ。あの時、私は比呂ちゃんに、あれらの一族とは一切関係ない人を選びなさい。と助言したからね。」


それなら、まだましかもしれない。


「ただ、私があの子にしてしまったことは…あの子を絵の中に閉じ込めたぐらい…」


「じゃあまさか…」


おそらく、幸助さんのヌード画コレクションのうちの一つだろう。


「写真はないが、この子のお母さんの絵はまだここに残っている…。」


「それ見せて!」


「わかった。ここでまってて。」


ユキも幸助さんについていこうとしていたが、私はユキの手首をつかんで、首を横に振った。


もし、あの部屋にユキが入ってしまえば、ユキまで幸助さんのモデルになってしまいそうな気がしてならなかった。

それにあの部屋にはおそらく、私のヌード画もまだ残っているであろう。さすがにあまり見せられないものはある。私はやっぱり、満里奈とは考え方は違う。


15分ほどして幸助さんは戻ってきた。


「これが君のお母さんだよ。」


「え?」


さすがに驚いたであろう。何せヌード画なんだから。


「16歳。たしか、今の君と同じぐらいの年の頃のお母さんだ。」


「どうして…」


「「何もできないというなら、一度私を描いてみて。」と言われてね。」


「…」


「さすがに生娘をかくチャンスは滅多になかったものだから、そればっかりは遠慮なく描かせていただいた。」


ああ、この人は性欲よりも職業的な欲の方がやっぱり強いのだろうか?

普通、目の前に裸の生娘がいるのなら、ムラムラしてきてもおかしくはないはずなのに、やっぱり絵を描く方に夢中になってしまうのよな。


「それでも、手は抜かずに気持ちを込めて描いた傑作品だよ。」


気が付いたら…


「う…グスっ……」


ユキは母の絵を抱いて泣いていた。


「おか…あさん…」


母との思い出がほとんどなかったユキ…

ようやく母のことについていろいろ知ることができたところだ。


「あ、裏側に何か張り付いている…なにこれ?」


裏側には茶封筒が張り付けられていた。


中には写真が数枚入っていた。

生まれたばかりのユキを抱いているユキの母の写真とかだ。



あと手紙らしきものが…






ユキへ

もし、この手紙をユキに見られてるとしたら、母さんはもういないのかもね。


あなたの出生の秘密判ってしまったら、あなたは相当なショックを受けるかと思います。

でもね。母さんは大丈夫。あなたの父である月城にもきっぱり言ってきたことは真実だから、もう後悔などない。だから、もしこの手紙をユキが目にしても、私のことは何も気にしないで。


今の私は自分の思うがままに生きられたのだから、今とても満たされてます。


ただ、最後にどうしてもあなたに伝えないといけないことは、なるべく早く月城の元から離れてほしいと願います。


大丈夫です。あなたは私の娘。あなたなら、うまくやっていけると思います。


大好きな私の娘ユキ。生まれてきてくれてありがとう。


あなたの母 小川比呂


1996年10月2日





と記されていた…。


「10月2日って…お母さんの命日だ…。」


「え?」


「じゃあ、比呂ちゃんはここに来た帰り道で…」


「うん…事故だって聞いていた…。」



まさか、再度ここにきてこんな思い話を聞かされるとは思わなかった。



「わかったでしょ?おじさん。」


ユキはまた更に強くなってしまったのだろうか?

いままで以上に鋭い目をしている。


「もう私に何を言っても大丈夫。」


「さっきまで泣いていたのにか?」


「あれはお母さんにまた会えたと思えて、うれしかったっだけよ。」


「そうか」


「ありがとね。おしさん。」


ユキは自分の母の絵を幸助さんに返そうとした。


「その絵、あげるよ。」


「え?」


「君のおかあさんだろ?」


「いいの?」


「ああ、もらってくれ。他でもない娘の君が持ってた方がいいだろう。」


「おじさん。ありがとう。」


とはいうものの…


絵の中のユキの母は、どう見ても今のユキにしか見えなかったりもする。

なにぶん、髪型は違えど顔はホントに瓜二つなのだから。







「ごめんね。本題から話をそらしてしまって。

この子が大丈夫そうだから話すよ。」


そうだ。問題はあのクリスマスパーティはなんだったのかだ。


「もう、ほとんど人身売買みたいなものだった。」


「え?」


「日渡家と火口家を除いた各一族で賭け事をして、負けたチームが罰ゲームでね。若い娘を手放していた。中には実の娘を差し出した家まであったみたいでね。」


「何それ!?最低じゃん!」


「あのそれで…どこの一族が優勝されたんですか?」


「それが…水谷家なんだよね…」


「えーーー!!じゃあ…」


またあのエロオヤジが大活躍ってか!?

というか、あの水谷家の悟志に娘を取られたら、もう終わりだ。


「君の考えている通り、悟志がもうほぼ一人勝ちってほどだった…。」


「幸助さんもそのゲームに参加されたんですか?」


「うむ。何も知らされずに参加していたら、私まで勝っていてね…。

ホント申し訳なかったよ。」


「で、その幸助さんが勝った分の報酬はどうされたんですか?」


「いや、裏でドローということにして、私の取り分の娘さんたちだけは、無傷で返したよ。」


やっぱりそうか…

それも幸助さんらしいな。


「でも私以外の取り分だった娘さんたちは救うことはできなかった…。

ホント申し訳ない…。」


「……」


ここで謝られてもどうしようもない…


「いったい誰の主催でこうなった?」


「それは判らないけど、少なくとも今回の主催は水谷家ではないとだけは言える。」


「んー」



「じゃあ私たち、無理やり逃げて正解だったってこと?」


「そうだな…でもなんでにげようと思ったのだい?」


「え?だって星子先生がいきなり意味不明に「逃げるよ」と言われて…」


あ…言い訳が思いつかない…

どうしよう…


「うむ、なんかよくわからないが、ホントにナイスな勘だよ。」


ただの勘で察してくれることも何とも言えないが、よしとしよう。

実の娘を差し出す家まであったのだから、本当に末恐ろしいゲームだ。



そしてまだ質問はある。



「あの、火口家は毎年早帰りいうことは判るのですが、なんで日渡家まで?」


「いやね、早帰りとかそういうんじゃないんだよ。火口家は単純に男手が足りないだけなんだよね。日渡家は去年の洋生くんのあの儀式が無事に終わったから、日渡家に限ってはもう全面的にそういう面倒事は免除されるのだよ。」



「二央は…?二央はどうなったのですか?」


「来てたには来てたよ…」


「え?」


じゃあ、行けば二央に会えたってこと?


「それも、側室4人も連れていた。」


「は?アニキ最低!なんなの!?いきなり出て行ったと思ったら、よその族に入ってそれ?」


「ユキ、二央は元はといえば火口家の跡取りだったのよ。」


「火口って?そういやあいつ、名字火口だっけ?いや、今更ながら気づいたわ。」


側室4人も連れていたというのは、今更?思えて流せるものの…

あの誕生会で、月城たちが言っていた二央に関して残念なことっていったい何なんだろう?



「まぁ二央くんは月城家と火口家の跡取り同士から生まれた忌み子だからね。

これから、両一族の罪を7代にわたって償っていくことになるのだろうよ。」


まぁ聞いた話によると罪人一族だから、一族同士で結ばれた子が生まれるとどうしてもその罪の血は濃くなるわけで…。てことは三緑も…それ…?


たった一人の我が子のことだから、そこに関してものすごく知りたいものあるが、なんか聞くに聞けれない…。それに三緑のことはまだ正式なお披露目はしないとかで、なるべくよそには話すなとも口止めされている。


「そして日渡家は逆に卒業してしまったようなものだ。初代から唯一どこの族との関係もなかったらしいから一抜けできた。一番、運がいい一族だよ。」



なるほどね。そこまで格差があるんだ。



「それも…火口家の跡取りは一人しかいないので、今回ばかりはどうしても増やす必要性がある。

だからこそ、速攻で側室を4人も取ってまで一族を増やすとのことだよ。」


「側室を取るって、二央はちゃんと学校にいってるの?」


「まぁ一応資産家だから、それなりの援護はしてもらえるみたいね。

ただ、二央くん…せっかくあれだけ側室いても、誰もまだ相手にしてないらしい。」


「え?」


「そのことで、現当主は悩まれているらしいよ。

現党首曰く「卒業するまであけるなんて、律儀すぎるのが残念だ」そうだ。現当主としては早く跡取りが欲しいらしいからね。」


なるほどね…

あまりうまくいってないのか…


「で?正妻はどうするわけ?」


「なんか、とりたくないとか?これから、もっとふさわしい子を探すとか?そこのところも意味不明なんだよね。」


「ふーん」


なんか滅茶苦茶になっていそうと思いながらも月城家に帰った。

本当にめちゃくちゃになっていた。


今年、雇ったばかりの新人メイドたちは、中学生の小梅以外全員いなくなっていた。

ホントはミホも連れてかれそうになったらしいが、ミホはあくまで火口家からの借り者だったので、さすがに免れたらしい。


一応、帰ってこられた者もいるにはいたらしいが、どっと疲れた顔をしていて、覇気が失われていた。


一気に人手がなくなったので、年末の大掃除は本当に大変だった。


そして私はこの家をなるべく早く出ないとまずいような気がしてならなかった。

あんなおそろしいパーティに参加させられそうになったのだ。

それも聞いていた通り、今回のパーティから帰ってくることすらできなかった者も複数いるとなると、明日は我が身かもだ。


住むところは何となく、金はたまったので不動産で見つけていけばどうにかなるとして、

問題は…家庭教師の仕事である。途中で投げ出すことはやっぱりできない。希実だってようやく追いついてきたところだ。それにあと受験も控えている。火口家は一応県外にあるらしいので、希実は一度火口家に戻ってそこから受験しに行くらしい。


受ける学校はなんと3校もある。


私立桃蘭学園


私立星咲中等部


は前から言っていたのでもちろんのこと。


滑り止めに


聖スベラム学園中等部


を受けるそうだ。


受験期間一週間は戻らないそうだ。


まぁそこで受かっても受からなくてもだ。

少なくともその合否を見届けるまでは、そこにいないとは思う。

それが全部終わるのは一月の終盤頃だ。


これが終わってもまだ家庭教師の仕事はある。

これからの中学からの予習勉強対策まで、頼まれているのだ。

それもまた転校手続きが面倒なので、どうも希実はここで小学生を卒業予定とするらしい。

そのため、卒業式の日までは月城家にいるとのこと。


そうなると、もうこれは二月からは、通いのバイトにしようかなとさえ思えてきた。

いきなり出ていくことにしないと、おそらく月城は、また変なことを仕掛けてくるかもしれないとしか、今では思えれなくなっていた。


ここに来てまる3年。

いろいろありすぎたが、ここももう出て行かないといけない時期になりました。


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