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避けて通らなければならないこと?

12月10日


その日はたった一人の我が子である三緑の誕生日。

そして、なんと偶然なことに希実も誕生日だった。


ちょうど10年差で生まれた二人はいずれも火口家の血を受け継ぐ者でもあった。


その日はすごいことに火口家の現当主であるおばあさまと希実の実母も来ていた。


「俺、ここまで盛大に誕生日を祝われたことなんて今までに一度もなかった。」


と希実がいっていた。


一応去年も火口家で祝ってもらったらしいが、今日は家族だけではない。


「おめでとう側くん。」


沢口さんと


「側、いや希実よばせてもらう。おめでとう。」


荒井くんが来ている。自分の誕生会に友達まで来ている。


どうやら、一緒のチームで学芸会をがんばった結果、希実はあの荒井くんとは仲良くなったらしい。


だから今年の望みの誕生日はこれまでにない最高の誕生日であろう。


「実は他の子も誘ったんだけど、さすがに夜遅くまでは無理な子が多くて。」


「ほかの連中はまた日を改めて、来るらしいからよろしくな。」


「沢口さんは大丈夫なの?」


「あ、うちは父子家庭で、父もいつも帰りが遅いので、そこまでうるさく言われないというか…」


そういうことか…

言われてみれば、普通の子よりかは時間の融通が利く子だとは思っていた。


どちらにしても世の中いろんな家庭の事情はあるのは、何も不思議ではない。



ただ、今回…



この誕生会には二央が来ていない。



希実の実母さえ来ているというのに…

三緑の実父である二央が来てないのは、これいかに…



「なに、気にしてるんだ?」



そう問いかけてきたのは希実だ。

すごい鋭い目つきでこっちを見てきている。


このままだとまた…


「大丈夫…今日という日ぐらいは何も見ない…。」


「え?」


「あの力を使うにしても、結構疲れは来るんでね。」


本当に見破られるかとさえ思った。


「そんなことより…」


希実が何を言い出すかと思ったら、


「先生はあの子を守れ。」


「守れって?」


「あの子を絶対に、火口家のばぁさんに近づけるな。いいな。」


とだけいって、

自分はそのまま荒井くんと沢口さんの方へ行ってしまった。

本当に彼らといる時だけは希実も普通の子そのものだ。



それはそうと今回のもう一人の主役である三緑を火口家のおばあさんに近づけないようにとは言われても、それはかなり難しいことだ。



気が付けば、月城家の当主である月城弘三郎と火口家当主である火口れいこがすでに談話していた。


「そういえば、今日は月城家の次期当主もお誕生日だとか」


「ええ、そうなんですよ。結構落ち着きがなくてねー。なかなかお披露目できなくて申し訳ない。」


「本当に突然次期当主が生まれたと聞いた時は驚きましたわ。」


「イヤぁこの年で実にお恥ずかしい話ですが、最後に男の子が生まれた時は本当にうれしく思えましたよー。」


「よかったですねー」


2人はすでに三緑の話でもちきりだった。


そしてその三緑は本当にいずこって感じだった。

とにかく今日は人が多すぎて、つかまえようがない。


そしてその二人の話にさらに聞く耳立てていると…


「それであの…二央のことなのですが…」


え?二央?


「ああ、あれは残念だったですね…。その後どうなりました?」


「とりあえず…………で……、………………。」


え?何聞こえない?


そんな時…



「まぁまー」



いつの間にか三緑がすぐ前にいた。


そして火口家の当主れいこが


「それにしても…ここに来てから、なんかにおいますわ…」


「なにがですか?」


「火口家特有のにおいが濃いというか…」


やば・・・


私は目の前の三緑を抱きかかえてその場を遠のいた。



そういえば、火口家の血を引く者は総じて勘が強いのでした。


だとしたら、あの火口家の当主だって相当強いだろう。

においだけで火口家特有のにおいが判ってしまうとしたら、近くに三緑を近づけるのはホントにアウトだ!


以前、誰かが言っていた気がするが、火口家の血を継ぐ者の存在を今の火口家の当主の耳に入ったら、火口家にとられるとか…、あった気がする…



私はそれを思い出した途端、イヤな予感がした。




あの後どうなったかといえば…



私は誕生パーティどころではなかった。


ほんとなら、主役であるはずの三緑なのに…急いで食事だけさせて退場したのだから…。


で誕生ケーキとかプレゼントとか一緒に急いで写真だけでも撮ってもらって、「小さい子はもう眠る時間だから」と言い訳して、匠くんも一緒につれて、早々と会場を後にした。



それにしてもいったいなんなのだろう?

私は三緑の寝顔を見ながら、いろいろと考えこんでいた。


月城さんと火口さんがしゃべっていた内容がものすごく気になる。

あの二人は確かに二央のことを話題にしていた。

そして肝心な二央のことについては、何も聞き取ることができなかった。


そして二央は残念だったと…



その時だった、ドアをノックする音がした。

朝美さんだった。



「星子さんお願い。ここは変わるから、希実くんのお友達を家まで送っていってくれないかな?」


「ああ、はい」



やっぱり、送っていくことになった。

それも今回は希実まで着いてきた。


その理由としては…


「俺も今度は翔太朗のうちに遊びに行きたい。」


だから、友達の家に行くまでの道を覚えるんだそうだ。

友達の呼び方も、いつの間にか「翔太朗」とか「るり子」と呼ぶようになっていた。


ほぅ

一応、人としての知恵もつけたうえに、自立心もめばえたわけか。

まぁいいことだ。


そんなわけでまずは新井君の家の前まで送っていった。


「俺の家ここだから、暇な時にいつでも来いや」


と言いながら、荒井くんは家に入っていった。

言えには一応明かりはついていたから、家族の人は誰かいたのだろう。



そしてもう一人、沢口さん。

この子は以前も送ったことがあるから、道には慣れている。


「あのね。希実くん。」


「ん?」


「私、卒業したら引っ越すんだ。」


荒井くんがいなくなってすぐ、それを告白したのには驚いた。


「へー」


ちなみにそれを聞いている希実も卒業したら火口家に戻るので、実質上引っ越すということになる。

それをそこで「俺も」と言わない希実は何気に意地悪だ。


「ごめんね。同じ中学には行けない。」


「翔太朗たちはそれ知ってるの?」


というありがちな質問で返した。


「ううん、まだ誰にも言ってない。」


「ふーん、そうか…」


そういう報告ってなんか、悲しくなる報告であるが、そんな報告されても希実には何もささらない。希実本人も3月でこの地を去ることになるのだし、希実は今までだって、人といきなり別れる事なんて、当たり前のようにあったので今更なのだろう。


そんな希実の態度にしびれを切らしてしまったのか…


「…やっと仲良くなれて…ずっと一緒にいられると思ったのに……」


と半泣き状態で言っていた…

「私がここまで言ってるのに何とも思わないのー?」みたいな感じになってしまったらしい


あーあ女の子泣かした―


「おい。泣くなよ…」


希実のさすがにそこまで鬼ではないよなー。


「だって…」


「大丈夫。」


「?」


「どこにいったって、生きていればまた会えるさ。」


「ほんと?」


「ああ」


なんか適当すぎること言ってるよな…こいつ…と思いながら…聞いている。


「それに卒業までまだ3か月以上もあるんだし、それまでは楽しもうや。」


「…うん」


「あ、あと…何もやれるもんないから悪いけど…これやる。」


「え?」


ちょっと何を渡したのか?運転席からは見れなかったが…


「これ?大事なものなんじゃ?」


「ああ大丈夫。こっちは前に洋生って奴からもらったものだからやれないだけど、こっちはもういいや。俺のお気に入りだ。受け取れ。ちょっと早いけど餞別だ。」


「あの…この指輪…ぶかぶか…」


指輪送ったんか!?

そういえば希実って、無駄に指輪ばかりしていたな…

そのうちの一つが、あの日渡家の洋生くんからもらったものだったのか…


「お前の指ならそのうち合うようになるだろ?合うようになるまではチェーンでつるしておけ。」


「うん…ありがとう……」


「まぁ次に会えることがあったら、もっとマシなもんやる。」


「え?」


「それが次に会う時の約束だと思って楽しみにしておけ!」


とすごいことを言っていた。

それで女の子を納得させてしあうところがすごかった。


沢口さんも無事にアパートの部屋の部屋の前まで、希実が送っていった。



それで帰り道…



「ねぇあんな言い方で無理やり説得させてしまったみたいだけど、ホントにあの子と別れてから、会えることなんてあるの?」


と聞いてみた。


「さぁな…」


「さぁなって無責任な…」


「でもああでも言っておかないと、さすがにまずいだろ?」


ホント、そういうことはうまいんだよな。

結果的に女を物で釣ってなんとかするというやり口。

ホントにずるい。


「希実は何も言わなくていいの?」


「ん?今さら言ってどうなる?」


だろうな…こいつは卒業式は一応出るつもりらしいが、誰にも何も言わないんだろうなということは予想していた。


「俺が何回転校したと思ってるの?」


そういえばそうでした。


「もういい加減、いちいち別れを告げるのはめんどくさい」


だろうね…


「次でやっと安定できそうだから、ホッとしてるけど、俺はまたそこから、のし上がらないといけないから、過去のことなどに構ってられないわけ。」


ああ、やっぱりこいつ性格悪い…


「でも…」


「でもなに?」


「なんでもない」


ホント、自分のことは何も言わないこいつはずるい。




で次に言われたことにまたびっくりだった。




「あのさ」


「なに?」


「次のクリスマス会。行かない方がいい。全力で行くのを拒否しろ。」


「え?」


そういえば、また今年もクリスマス会に誘われている。


「俺もいかない。というか、今回誘われてない。」


「まじ?」


「前回が特別だったんだよ。そもそもあのパーティ子どもは本来参加できないと聞いている。」


まぁいわれてみれば、年齢制限ありなアダルト向けだ。

それも15歳以上という中途半端な年齢制限の。


「正直、先生といつも一緒にいるあの女子高生メイドもあぶない。」


「え?ユキのこと?」


「あの子。あの場で売られる…」


「売られるって⁉どうすればいいの?」


「とにかく、今回は絶対に行くな!」


「何があるの?」


「それはその日が無事に終わってから話す。」


そこまで言われてしまった。

希実が何かいう時は絶対何らかあるような気がしてならない。



ホントなんなんだろうか?



帰ってユキに相談してみた。


「希実くんに、そんなこといわれたの?」


「そう、そこでなんだけどさ、ユキはあのパーティにまた行きたいと思う?」


と聞いてみた。


「正直…行きたくないかな…だって楽しくなかったもん。

せっかくの舞踏会だというのに、ずっとお父さんとべったりで、食事だってろくに取れなかったし、特に思い入れはないな。」



まぁそうだろうな…

でも、あの時ユキが月城さんにべったりされていなかったら、何がおきていたか判らないんだよな…

誰からも守られてない小夜なんか、全然知らない人に連れていかれていたからな…


「じゃあさ、ことは相談なんだけどさ…」





当日、私はある人に協力を頼むことにした。





正直、ユキは他人だ。

はっきり言って、ユキがどうなろうがどうでもいいのでは?とも思えるが、あんな気味の悪い話を聞いてしまっては、さすがにかわいそうだ。


「ねぇねぇ、あれさ勝手にさぼってよかったの?私たち何かあとで怒られない?」


「大丈夫よ。何も考えないで今は逃げる。」


「んーでも、こんなことしてまで逃げる必要性あった?」


「…」


あるにはあったんだよね…

はっきりいって、それを正直には言えない。

ふしぎな力を持っていたからとか、そういう理由をだして説得するとしたら、下手をすれば頭がおかしい人扱いされて、途端にこの計画はおじゃんになる。


「二泊三日で泊まるっていうけど、いったいどこに泊まるわけ?」


「大丈夫、ある人の別荘みたいなところで、最後にお片づけさえしてくれれば、そこを好きに使っていいらしいから。」


「別荘って?お父さんの別荘?」


「そんなところじゃ簡単にバレるでしょ。」


「まぁそうだけど…」


「いい?今年は残念だけど、去年以上にイヤな思いをしたくないなら、そこに籠るわよ。」


「いったいなんなの?」


そうだ。

せっかくのクリスマスにちょっと辺鄙な場所の狭い場所に籠るなんて、なんてわびしいクリスマスなんだろう?

私はまだいいとして、ユキなんか16歳のクリスマスにこれだ。

本当にかわいそうだ。



「まぁさ、メイドの仕事はやらなくてもいいから、それはそれで楽だけどさ。」


らしい…。



「で、あんた彼氏とかいないの?」


「え?いるわけないじゃん」


あの男だらけの工業高校で彼氏がいないと?

マジ信じられん。


「何その顔?信じられないって?

確かに周りに男子しかいないけど、ああいう状況でもいろいろ事情があるんよ。


というかね。

どちらか言うと、今回も守と一緒にクリスマスにどこかいけなかったことが残念で仕方ないんよ。」


ああ、守って伊集院さんか…

学校で一番の仲良しの女の子だっけ。


そうだよね。

彼氏とはいかなくても、クリスマスに仲のいい友達と過ごすのも楽しいし、ありっちゃありだ。



車の中ではユキとはいろいろ話した。


そしてついた先は…


「え?なにここ?ホントに使っても大丈夫なの?」


幸助さんのアトリエ小屋だ。


もし、ここが借りられなかったら、高くはつくけどどこかホテルで過ごす予定だった。

でも幸助さんは快く貸してくれた。


「で、なんでこんなことまでしないといけないの?」


「私もよく判らないけど、とにかくあのパーティに参加したくないなら、どんな手でも使えとある人から言われてね。」


「…またあの一族の意味不明なそれとか?」


言い当てられたようなものだなこれ…


「もういいかげん、そういうの疲れたわ…」


まぁそうだよね。私も疲れてる。

でも、それもあの家を出るまでの辛抱…。


「それでユキはどうしたいの?」


「え?もちろん、あの家出てく予定だけど?」


「いつ?」


「一応、卒業してから。」


なんか、希実の話を聞いている限りだと、この子が卒業してからでは遅い気がしてならない。


そもそも、ユキが売られるってどういうこと?

あのおっさんなら、何でもやりそうだ。


「あのさ、そのことなんだけど、今年度の3月で私はあの家出てくけど、一緒に出て行かない?」


「どういうこと?」


「来年度の授業料は、あのおっさんに早めに払ってもらってさ。いつまで私も一緒にいられるか判らないけど、少なくともそこで一年だけでも私と一緒に住まない?」


まぁ正直、一人の方が気が楽だけど、ユキだったらもう長いことずっと一緒に相部屋で暮らしているので、引き続きそれでもいいやとは思えている。


「多分だけど、ユキはなるべく早くあの家出た方がいいような気がしてね。」


それだ。


「きもちはありがたいんだけど、私がついてきてもいいの?」


「その代わり、私は追われてる身だから、いついなくなるか判らないし、いなくなった後も毅然としてストーカーを追い払わないといけないんだけど…それでもいいならだけど…」


「じゃあ考えさせてくれる?」


まぁそんなところだろうな…

いきなりのこんな申し出、簡単に引き受けてしまうのも難しいわな。



そして翌日…

その日こそが問題のパーティ当日だ…

月城家の人たちは私とユキがいないということが判って、大騒動だったらしい。 


そう

私たちはパーティ前日に幸助さんのアトリエに避難していたのだった。


そのため、携帯の電源は一日オフにしていたが…

その日のメール着信はすごかった…。


月城さんからは


”欠席届だけでも出してほしかった”


らしい。


ああ、たったそれだけでよかったの?

とさえ思えたが、全力で参加拒否しろとまで言われたので、ここまでやらないと無理かなとさえ思えていたんだよね。

これはまぁ仕方ない…


そして、パーティが終わった翌日。早速、幸助さんがアトリエに来た。



幸助さん曰く…


「さすがに今回のあれはない思った。」


というのが最初の一言だった。


「君ら、あの場に来なくて正解だったよ。」


それはなんと…





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