表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/95

心にぽっかり穴が開いた状態で…

早いことで11月…

二央が月城家を出て行ってから、一か月がたっていた。


あれから、二央からの連絡は一切なかった。


まぁ毎度のことだけど、縁というものは離れていくときは本当にあっさり離れていく。



私の場合は曜子以外はホントそれである。



そして私の手元に残ったのは、実質上希実だけとなった。

一応ユキもいるけど、あの子は就職目指して頑張っているから、あくまで留年しない程度でいいので、楽といえば楽であるが…それだとどこか仕事的に歯ごたえがないのが残念なところだ…。


「せんせー、そこはこっちなんじゃない?」


「あ…」


またやらかしてしまった。

最近は、希実もそれなりにできるようにはなってきている。


かれこれ希実がここに来てから、とうに半年以上はたっている。

ここまで来るのに本当に苦労したが、今では希実も自分の間違えどころか、私の間違えまでわかるようになっているのは大きな進歩だ。


「あの兄さんのことだろ?」


げ、こいつまた…ゲスパーしてくた。



「もう気にするな。あれは仕方がないことだ。」


仕方がないことって、あんたばっかりいろいろ見えてずるいんだよ!

と言いたいぐらいだ。



「先生は知らない方がいい。」


「え?」


「あの兄さんは、あんたが思う以上にとんでもないもの背負ってしまった。」


「ちょ…」


「これ以上、あの兄さんに関わってはいけない。」


「どういうことよ?」


「それは言えない。俺でも吐き毛がするぐらい気持ち悪いから、俺もこれ以上は見ない。」


なによそれ!?


気持ち悪いって?いったいなんだろ?


それにあんただって、このまま火口家に帰るとしたら、必然的に二央もいるのだから、全く関わらないわけにはいかないはずなのよ。それを他人事みたいに言ってるこの子が、恐ろしかった。


そしてそんな思いもまるで見透かしたかのように…



「心配するな。俺はうまく動く。」



とまで言っていた。


うまく動くって…

異常だらけの一族の中に身を置く中でどうやってうまく動くのやら…



そんな時だった。



ノックする音がした。


ミホが入ってくる。



「希実さま。お友達が見えました。」



沢口さんかな?

すごく久しぶりだ。



え?なんかイヤに騒がしいけど…大原くんや前川君も一緒かな?



「ちょ、押さないで…。」


後ろから押されるかのように沢口さんが入ってきた。


「あ、お姉さん。お久しぶりです。」


と沢口さんのあいさつの後に大原くん前川くん山田くんやさやかちゃんはもちろんのこと…



「うっわーすっげー。滅茶苦茶でかい家やん。」

「ホントステキー」

「あ、どうも押しかけてきてすみません。」


「側…お前こんなところに住んでいたのか…?」


さらに3人も増えていた…


それも最後に喋った男子は、運動会の時に希実とやりあった超やんちゃ系というより、不良系のあの子だった。


いったいどういうこと?



「ごめんね。側くん。」



「…」



「修学旅行でも話したけど、今度は学芸会があるのね。」


「俺にも出ろと…?」


「出てくれたらうれしかなって。」



これって…かなり難しいのでは…?

ここまで学校に来ていない希実が学芸会に出るなんて…



「無理。」



希実は今回ばかりはきっぱり断っていた。


だろうな。

運動会と違って、ただ単に走るだけとか、身体動かすだけとかとはわけが違う。


セリフだって覚えないといけないのだ。


「俺、長いセリフなんて言えない…」


まぁそこだろうね…。



「大丈夫。


長いセリフは新井君とナレーターと私ぐらいなものだから…。


側くんのセリフはね。短いのしかない。」



「ま、ならいいけど…。」



「私たちが演じるのは最終の三部グループ。

今回は一部、二部、三部の三グループに分かれて、視聴者である保護者からの投票で勝負が決まるんだ。」


「で?その勝負に勝ったら何かもらえるんか?」


「まぁもらえるはもらえるみたいよ。去年は焼肉食べ放題チケットのご褒美があったし。」


「なんだって!?」


「やる気になってくれた?」


希実は返事こそしなかったが、顔つきは変わっていた。

やはり育ちざかりは焼肉に弱いのか…


「じゃあ、自己紹介も兼ねて、演目とキャスティングを紹介するね。

今日は全員そろってないけど、というか全員そろうことはこの先ないのだけど、

まぁ来てる人だけ。


演目は「白雪姫」」



白雪姫かよ…


「あ、先に言っとくとね。今日いないナレーターの久保君は土日なら何とか来れるけど、小人ABCFの子たちはおそらく合わせ稽古はずっと来ないと言っていた。


まぁいないところはそれぞれ適当に適当にセリフ入れて頑張ろう。」


やっぱりいない人もいるんだね。


「次にキャスティングね。小人D前川元くん。」


小柄な前川君にははまり役だといえよう。


「小人E はこの子。辰野未那ちゃん。」


「よろしくね」


今回もニューフェイスで唯一の女の子だ。

この子も前川君と同じくらい小柄な女の子でマスコット系な感じのかわいい子だ。


「でこちらが小人Gの服部祐介くん」


「ああ、どうも服部です。ハトリとお呼びください。」


この子もこの中では小柄な子だ。

どうも小人役は小柄な子から選ばれたかのように思えてきた。





「で、王妃とリンゴ売りのおばあさん役の新井翔太朗くん。」



ああ、この子…希実とやりあっていた男子ね。

確かに、言っちゃ悪いけど人相悪そうな顔をしていて、それもまた、はまり役かもしれない…


「ま、そういうことだ。よろしくな」


って?男の子がその役をやるの?


と疑問に思うが…さすがに希実もそれが言いたげだった。




「あ、それで王子の付き人AとBに大原くんとさやかちゃん。」


2人とも軽く会釈する。


「でオリジナルキャラで、王子の妹役に山田くん。」


てか、王子の妹って?そんな役必要か?

あ、でもクラス分の人数もそろえるとなるとそういうキャラも無理やりつくらないといけないか…


「となると…」


「うん、王子が私で、側くんが主役の白雪姫ね。」



「はーーーーーーーっ!?」


さすがの希実もただただ驚いていた。


「なんで俺が姫なんだよーーーーっ!!?」


まぁそうなるわな…



「んーとね。これも先生や保護者からの意向でね。


お姫様に女の子でやらせると保護者からの苦情が出やすいからとのことでね。

なら、受け狙いでなるべく逆転劇になるように行こうということになったのよ。」


なるほどね…


「それにしても、お姫様とかそういうの今時するか!?」


「それがね。今年の六年生はどのクラスも共通してお姫様ものの逆転劇で行くことになっていてね。

一組は「白雪姫」で。2組は「ラプンツェル」で。三組は「アラジン」で。4組は「シンデレラ」で。5組が「かぐや姫」いった感じになってしまったのね…。」


なんだそれ…



「で?なんで俺が姫なんだ?」



当然のごとく希実は納得していない…


「それは…側くんがさっぱり学校に来ないことが関係してる。」


「は?」


「セリフだって見てもわかるとおり、白雪姫の三部グループの白雪姫のセリフって、「はぁい」とか「まぁおいしそう」とか「あなたは」と「はい喜んで」ぐらいでね。はっきり言って白雪姫はほとんど倒れて寝てるだけの役なので…その…」


つまりは一番楽な役回りだから、選ばれたと言いたいらしい…



「…それに…その…こういってはなんだけど…」


「なんだよ?」


「…えっとその…すごくいいにくいんだけど…」


「はっきり言えよ!いわないと俺、絶対にやらないからな!」


希実はさすがにキレていた。


「じゃあ、はっきり言ったら納得してきちんと役演じてくれる?」


「ああ、それならやってやらぁ」


やってやると言い切ったぞこいつ…

希実よ、それ判っているのか?

それを言ったからには、沢口さんがその理由をはっきり言ってしまったら、お前は白雪姫確定なんだぞ。


と言いたかったが、ここはただでさえ外野なので黙る。


「このメンバーで側くんしか、いなかったのよ。」


「は?」


「男子で、一番きれいな顔してるのって側くんだよ。だからお願いしてるのよ。」



ああホントに行ってしまった…



この世で一番美しいなのは白雪姫とは言うが、男子で一番きれいな顔してるのは希実とホントに行ってしまったよ。


でも、希実がこの中のメンツで一番整った顔立ちをしているのもまた真実。


「ちょっとまてよ!」


「いい。私ははっきり言ったからよろしくね。」


「よろしくねって…」


「側くんさっき言ったよね。私がはっきり言ったら「やってやらー」って!」


「そりゃ言ったかもだけど…」


希実は完全に困り切っていた…

ついさっき、自分が「やってやらぁ」といったことを今になって後悔しているのは見え見えだ…


そして最後に沢口さんの


「男に二言はないわよね!?」


の一言で、完全に逃げられなくなり、しぶしぶ承諾することになった希実であった。


「まぁ希実…がんばれ…」



私は一通り、おのおもしろすぎる寸劇を見守った後に、ミホさんと一緒に部屋を後にした。


あと、私たちはなぜか上村さんを呼んでくるようにと沢口さんから頼まれた。


どうも後で上村さんから聞いた話。

お姫様者が演目だから、上品なしぐさや歩き方について教えてほしいと頼まれたそうだ。

なんとそのレッスン料お代まで、払うとか申し出てきたらしいが、さすがに子ども相手にそれは受け取れないからと言って断ったらしい。そんなことより毎週火曜日に希実とのダンスレッスンに付き合うことを条件にお代はチャラにしたそうな。


また例のごとく、希実は発表会本番前の最後の週のみ、学校に顔を出した。

一応最後に、一度もうちに来なかったメンバーとも合わせ稽古として、一通り練習だけは参加した。


「いい。あなたたち小人はエンディングは後ろの台の上でつったって、その歌詞ファイル持って「ハイホーの歌」を歌っているふりだけしてくれればいいから。」


「えー。それだけでいいのー?」


「てか各グループごとに何らか、出し物らしいパフォーマンスを見せないと優勝は狙えないと思えと担任から言われてたじゃん。」


「そうよー。優勝できなかったら、あんたのせいだからねー」


とうちに練習にも来なかった小人役の4人が何もしてないくせに文句ばっかり言っていたらしい。


さすがに希実もそれにはキレそうになったが、自分も普段は学校には来ていないので、あまり強くも言えなかったぞうだ。

それに、沢口さんにはそれなりに作戦はあり、うちに来て練習をしてきた者のみの秘密の出し物はしっかり考えてあったとのこと。そしてそれは事情あって、当日のみのお披露目のみにきめたそうだ。





そしてここで上村さんが、絡んだことで学芸会は…どうなるか…



学芸会当日…


なんと、すごいことに希実の実母と火口家の当主と先代当主まで会場に来ていた。


どうも希実の母は今まで授業参観どころか発表会ですら、まともに来ることができなかったらしく、初めて参加だったらしい。普段は使用人ノッコうしかしてないらしいが、今日に限ってはおそらくどの父母よりもおめかしをしてきていた。




白雪姫が始まった。




むかーしむかーしあるところに…


お約束なでだし



最初は実母王妃様の刺繍の場面から始まった。


口調的に男の子はが実も王妃を演じているのは判った。

刺繍もホントにどこかで売っているようなハンカチをそのまんま使って縫うふりをしていた。

でシナリオ通り、指を針で刺してしまって、


「ああ、この血のように赤い頬で…」


こんな子が産まれてきたらいいなーと願いを込める場面だ。


でもその命は儚くて…

王妃は白雪姫を産んだがために産後のひだちが悪く、命をおとしてしまう…。


王様は新しく美しい王妃を迎えるが、その実態は悪い魔女だった。


魔女は毎晩、鏡の妖精に向かって


「世界で一番美しいのは誰じゃ」


と問いかけているあのばめん。


第一部のグループはそれをコミカルにミュージカルにして、亡き先代王妃も含めて簡単なダンスをするとのパフォーマンスだった。


”かがみよかがみ―♪”


”世界で一番美しいのはー?♪”


”それはー、それはあなたーでーす♪”


”ふふんふふん♪それでいいのよー♪”




”白雪姫はーようやく5歳―♪”



この時、初めて白雪姫の子が現れる。


あれ?



これって本当に男の子?女の子じゃん!

それにその白雪姫の役の子。全然かわいい子じゃない。

言ってはなんだが、すごくつり目で意地の悪そうな顔をしていて、はっきりいって継母役の…あれ?その継母役の子もまた女の子だった。むしろその継母役の子の方が気持ちつり目がちだが大きな目をしていて、白雪姫役の子より整っている。


何なんだ?このミスキャストは?

って感じだった。




”かがみよかがみ―♪”


”世界で一番美しいのはー?♪”


”それはー、それはあなたーでーす♪”


”ふふんふふん♪それでいいのよー♪”




”白雪姫はーようやく7歳―♪”




とかいう音楽の連続だった。

まぁ場面的には白雪姫が成長するにあたり、現れるごとに大人っぽい行動をしていくようになっていくところを見守っていくというソングだった。



そしてついに鏡が言う失言



「てか、あんたより白雪姫の方がぜってーかわいいわー♪」



と言ってしまって、

王妃は狩人に依頼して「白雪姫殺す!」というオチになる!


そして第一部は狩人が白雪姫を逃がして終わり、次の二部に続く…



続いた先で待っていたのは


白雪姫と小人との出会い。


そして、お約束のごとく、ここで白雪姫と小人の「ハイホーダンス」。

はっきり言って、白雪姫を中心にスキップしているだけの単純ダンスだった。


これが白雪姫にとって、一番楽しそうで派手な見せ場であろう場面だ。


まぁその中には白雪姫が料理したり選択したり家事をしている場面をしっかり演じられていた。





この二部グループの白雪姫も女の子じゃん!


何なの?聞いていたのとまったく掟破りばかりで笑えてしまうではないか。


それも二部の白雪姫役は、あの運動会でブリッコしていたあの女だ!

確かにクラスで一番かわいい女の子ではあって納得はいくキャスティングだが、もうそれがあからさますぎてイヤミにしか見えないレベルだった。

それも小人役は一人除いてほとんどがかわいい系男子?で、明らかに自分の連れてる男のステータスを自慢するかのようだった。あ、でもキャスト一覧見ると二部の小人二人は名前が女の子だ。てことはうち一人はボーイッシュな子を選んだっていうのはありそうだ。

小人の服のカラーは見事なぐらいのレインボーカラー。AからGの順に赤から紫にきれいに並んでいる。


なんか自分を明らかにかわいくてかつ、周りをハイスぺで固めたって感じで嫌な感じしかない二部だった。


物売りの女に二度も騙されるという、白雪姫で一番セリフの多い場面をぶんどり、舞台上でもブリッコしている姿はやっぱり嫌な感じしかしなかった。



そして、最後の3部へとうつった。


白雪姫の役は今度こそ先生との約束を守って、希実が白雪姫として舞台に立っていた。

小人の衣装は変わらず、レインボーカラー。

前川君は緑というか黄緑系。辰野さんは水色。服部君は紫だった。

他の練習に来なかった小人の子は全員女の子で各自自分の色の服を着ていた。



「いいかい。もう二度と人から物を買ってはいけないよ」


「物は僕たちが仕入れてくるから、何もいらないからね」


「とじまりはしっかりするんだよ。」


「だれが来てもあけてはいけないよ。」


「じゃあ僕たちは仕事に出かけるよ」


「なるべく早く帰ってくるからね。」


「いってきます」



小人たちは口々に言って出ていくのだけど…


結局、白雪姫は騙されてしまう。


なぜなら、

おばあさんからリンゴのおすそ分けと言われ、買うわけじゃないのだからと思ったのだ…



「まぁおいしそう」



言葉使いもいつもとは違って、女の子らしく上品にいえていた。


「さぁたべてごらん。もぎたてのりんごほど、うまいものはない。ニヒヒヒヒッ」


おばあさんの笑い方もまた不気味な雰囲気を醸し出していて、荒井くんの演技もうまかった。


カプッ


あーあとうとうリンゴを食べてしまった白雪姫。


そのままフラっとよろけて倒れてしまった希実の演技もすごかった。



そして白雪姫のお葬式の場面…



小人たちが泣きじゃくる中、



王子現る…



王子は



「ああ、この美しいこの方を私に預けてはくれぬか?」



と申し出るが、



小人たちは



「信用できない」


「白雪姫をどうする気だ!?」


と疑心暗鬼で引き渡すわけがない。


それに白雪姫は小人たちのアイドル。

みんな大好きな白雪姫を手放すわけがない。


「私はせめてこの者をサンザンブルク修道院にて弔いたいのだ。」


とすごく真っ当な答えを言う。



「ああその願いも叶わぬのなら、せめてこの者に…」


「なにをするんだ!」


と小人たちは必死で王子を止めようとするが、王子は構わずお棺の中に向かって




「起きてよ」




と一言言ったとたん…



目を開く白雪姫。


っておい!


普通この場面って、抱き起すとかキスするとかするだろ?


と思うが、ここはまぁ子どもの学芸会。




「起きてよ」という王子の甘いイケボな一言で目覚めるいうのもそれでありだ。



「あ、あなたは…?」


「隣国の王子、チャーリスともうします。」



さてここでついに…



と思ったら…



「おにーさまー」



という、山田くんのダミ声じゃなくて、王子様の妹ジュリエッティと


「おうじーーー」


「ここにいらしたのですか?」


「探したんですよー」


とせっかくのプロポーズの場面だというのに邪魔が入る。


そして、仕切り直しのプロポーズかと思いきや…



「美しい姫。私と一緒に踊ってくださりませんか?」


「はい。喜んで。」



そして…


「こうして、白雪姫は運命の王子様とダンスするのでした。


皆さんは白雪姫をどう思いますか?

お姫さまって誰かに守られてばかりと思いがちですが、


白雪姫だってたくさんの試練を与えられています。


一国のお姫様だったのに命を狙われ、

今までしたこともない家事という名の仕事をするようになるのです、


僕は個人的には、いろんなことを乗り越えてきた姫君に思えます。」



というナレーターの締めくくりだった。


「それでは最後に僕たちが練習したダンスで、フィナーレを締めくくります。

しっかりと見ていてくっだされ。ミュージックスタート!」




とそこで、そして小人たちは各自定位置についたと小人全員が歌うのかと思ったら、


「ごめん、俺たちは他にやることあるから、歌はお前ら4人で頼む。」


というようなことを伝えていたのか判らないが、小人4人を残して、前川君と辰野さんと服部君だけ舞台袖に素早く戻っていってしまった。


「え?」


と4人は驚いている間に音楽の前奏が流れ出す。




そしてその小人役だった三人はなんとボトムがパンツスタイルから、ふんわりドレススカートに変わっていた。



それも色は小人の時と同じ色の衣装だった、王子の妹役の山田君のドレスの色はピンクだったので、色のバランス的にも一応あっていた。すごくカラフルでかわいかった。


背の低い小人役の三人は婦人役を踊り、王子の付き人役の二人と今まで魔女役だった荒井くんは自分が出番じゃない時に着替えて騎士っぽい滑降になっていた。残す一人の紳士役はナレーターの久保君。ナレーターの服装は自由なために、久保君は元々正装っぽい滑降をしていたので、そのまま踊ることができた。なのでその準備もばっちりOKだった。


そのドレスを着て「ハイホーの歌」をクラッシック演奏版の音楽を流して、白雪姫と王子をセンターに10人5ペアで、社交ダンスをしだした。


で一番驚いていたのは、後ろで歌を歌うふりをするだけのその他4人の小人役だけだったというお話。



めでたしめでたしで。


最後は社交ダンスで。しめたという白雪姫のお話でした。



いうまでもなく、小学生の社交ダンスの披露だったので、もう本当に拍手喝采だった。


希実の母も、火口家の方々も


「いいお芝居を見せていただいた。」


「希実もかなり成長したわね。感謝します。」


とまで言っていたぐらいだった。


ここで二央のことについて、本当に聞き出したかったが、何も聞けれなかった。


この時はとにかく希実のことがメインでしかなかったし、下手に二央のことを聞いて、私と二央の関係がバレて、面倒なことにもなるかと思ったので。

私はもう二央のことは、ここで諦めるしかないのだということが、火口家の方々に久しぶりに会ってそう気づいたのであった。


心に大きな穴があっても、前に進んで埋めていくしかないのである。


そして後日。沢口さんから聞いた話だが、あの練習に来なかった4人の小人役の女の子たちから、


「私たちもダンスやりたかったー」

「なんで誘ってくれなかったのー」


と文句言われたらしい。


まぁああいうぐ王子を手抜きをするといろいろ後悔もあるということは皆さんもお忘れなく。

人生手抜きをせずにしっかりとしたいい経験を得ることが大事です。


で、結局、希実のクラスは優勝できなかったとのこと。

一番の理由は男女逆転劇にしなければならないというルールを主人公の半分以上が、やぶっていたからであった。まぁ他のクラスでもそれはあったが、結局、ルールをきちんと守っていた5組が優勝したとのこと。そこのところに関しては、わずかではあったが保護者からのクレームがあったらしい。それも唯一男子で白雪姫を演じた希実までもが「あの3人目の白雪姫は最高にかわいらしかったが、女の子が演じていては意味ないのでは?」と文句言われていたとのこと。そこで希実は白雪姫演じた中では唯一の男の子と先生が保護者に言い返した時には、言葉もでなかったらしい。


ただし、グループ部門では6年1組第三部は最優秀賞だったらしい。そしてお姫様投票でも希実がぶっちぎりで優勝だったとのこと。学芸会が終わった後「いったい、あの子は誰なんだ?」と希実の話題で持ちきりだったらしい。


なお、焼き肉食べ放題への道は、クラス優勝と最優秀賞を兼ねてないともらえないレア商品らしく、希実たちはそれをもらうことができなかったとのこと。希実はそのことに関してはものすごく残念がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ