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さぁさぁはじまりましたぁ圧迫面接!

わぁ…またすっごいお城…


と想像してたら、一般家庭よりやや広めの庭つきで、家屋の方は大きさ的には普通な住居って感じだった。


とはいえ、セキュリティはかなり高い。

門の周りには監視カメラがいっぱい装置されていることには気づいた。


ということはすでに面接は始まっているというわけね。


それどころか、ここに来る前から、すでに誰かに見られていたなんてこともあり得るわけで。


まぁ何でもいいから面接だけ受けてこよう。

この面接を受けた後の、その向こうには良い就職先につけるという未来が待っているというのなら。



私はインターフォンを押した。



「はい」



「あの私、本日面接の予約をしてました。琴金と申します。」



「お待ちしておりました。どうぞお入りください。」


受け答えをしたのが、使用人だったのか?

声からしてこわい感じはなかった。



門の戸が開いた。

やっぱり簡単には入れない仕組みになっているらしい。



使用人の女性は、かなり年配だった。

あの政治家鈴木英子と同世代か少し若いぐらいの人だった。


「本日はようこそおいで下さりました。」


女性はすでに外に出ており、かなり丁寧なあいさつで出迎えてくれた。


「ご案内します。」


私は「失礼します」と挨拶をしながら、玄関に入った。


本当に普通の家すぎて驚いた。

かといって、トラえもんののべ太くんの家ほどの平凡さではなく、やっぱりいろいろおしゃれな感じはするのだが、そこまで気取ってはない感じの平凡な本当に普通の家。

お金持ちなはずなのだが、無駄に飾らず、無駄遣いは一切していないところがすごいと思えたほどだった。


通されたのは玄関入って、すぐ左にあった多分応接室だろう。


使用人がそのドアをたたく。


「主様。面接の肩を連れてまいりました。」


「通して。」


この声の主は鈴木英子本人だ。


私はまた、部屋にはいる時に。


「失礼します。」


と言って入った。

もちろん使用人の女性の後ろについて行ってだ。


「本日面接をさせていただきます。琴金星子と申します。よろしくお願いします。」


最初の挨拶はなかなか上出来だった。


問題の鈴木英子は、私を見るや否や、上から下まで嘗め回すように見てきた。

うわっこっわっ…


まさに蛇に睨まれた蛙って感じだ。


「ま、見た目は合格ね。」



見た目って?


外見関係あるんかい!?

じゃあ、満里奈が言ってた小川真珠似の子は何でおとされたんだろう? 


「じゃ、履歴書見せて。」


と言ってきたので、履歴書を差し出すと、すごい勢いで履歴書をふんだくっていった。


何この人…


いきなりこれはない。


まるでどちらが面接を受けに来たのか、判らない状態だ。


「ほーん。現在大学院生ねぇ…」


すごい意味深な言われ方だ…


「瞳ヶ丘高校…って…地方の高校か…。ポニー今すぐ瞳ヶ丘高校調べて…。」


「はい主様。」


先ほどの使用人はなぜかポニーと呼ばれているらしい。

使用人はすぐそこにあったノートパソコンを広げて、私の出身校を調べていた。


というかこれ、普通は前もって履歴書を送ってそれを調べてから面接するのでは?

とは思えたが、このやりとりもまた面白いので黙って見過ごすことにした。

ここで曜子だったら、あれやこれやといろいろ偉そうに言いそうだが、これもまた普通ならここでは出しゃばらないのは当たり前。

だから曜子は自分がちょっとマナーや作法やルールを知っているからと言って、いい気になってでしゃばるから嫌われるのだが、曜子はそれに気づいていないのだ。


そんなことより、私は今度はどんな嫌われ者に出会うかが楽しみにもなってきていた。


「主様。瞳ヶ丘高校は県立ですが、県で1,2を競う名門進学校です。偏差値は余裕で70超えです。」


鈴木英子はそれを聞いて、一瞬驚きはしたが、


「よかろう。なかなかいい出来の子ではないか。これは確かに本物だ。」


本物って何?偽と描いたわけですか?

といろいろ突っ込みたかったが…ここは自分が面接を去れている側なので我慢だ。


そういえば満里奈も同じ出身校だったはずだけど、なんで?


あ、そうか、満里奈は見た目だけで追い返されてしまったんでした。


「で?いろいろ資格を持っているとのことだが…」


ああ、そこは月城さんのスポンサーのおかげでいろいろ取れた。


「一応、普通に車の免許は持っているみたいだね。て、自動二輪まで持っているのかい?これは頼もしいね。今、乗り回している単車とかはあるの?」


と聞かれてしまった。


「はい、わたくし専用ではありませんが共有して使っているものならあります。」


「それで買う予定とかはないのかね?」


「そうですね。引っ越し先では必要とはなりますね。お給料入ってある程度ためるて落ちついた頃にはと考えております。」


「ふーん」


うわ…意外なこと聞かれたな…

まさか、バイクのことについて聞かれるとは思ってなかったわ。


「情報処理、危険物取扱、フラワーアレンジメントに…秘書検定二級?」


「って!?あんた何もんなんや!?」


「え?どうされたんですか?」


「面接されている立場なのに、質問を質問で返すな!」


しまった…


やってしまった思った…


「これだけの資格を学生の間でとるにしても、時間も頭脳も金も絶対要るというのに、あんた一体何者なんだ!?」


「…」


やっぱり変なのだろうな…


どうしよう…どうこたえよう…



と思っていた時だった。



「まぁまぁ…それでも以前来た朝倉真路さんとは違って、かなり正統派ですよ。

この子の頭の良さなら、判らないでもないと思うけどなぁ」


と本名不明ポニーさんが横入りしてきた。

さっきまでかしこまった口調をしていたが、今ではかなり言葉が崩れていた。


「ああ!もう!その名前をいうな!聞くだけで腹が立つ!

学歴詐称の中卒で、大学にはただの聴講生できてただけのあの嘘つき女!

おまけにあの女優似の顔立ちも見事に整形じゃないか!


私をだまそうとしたあの女は絶対に許せない!」


え?それって、前にここに面接に来た小川真珠似の人…?


そういう理由だったのね…



「おまけにあの女!あの後も図々しく私に詰め寄ってきて、就職先の世話をしろだのなんだのと…。」


「えこちゃん。もういいよ。ごめんって。」


えこちゃん?


あの鈴木英子をえこちゃん呼ばわりって?


「あの子も見てることだし、えこちゃんの体裁に、これ以上傷がつくのもよくないと思うんだ。

だから少しは落ち着こうよ」


あの鈴木英子をなだめていた。


「んんー」


鈴木英子はいったん咳払いをした。



少しの間だけ沈黙が続いた…


「ま、あなたは優秀だということはわかったわ。」


本当に落ち着いてくれたみたいだ。


「でそこであなたにいくつか質問だけど…」


何が来るんだろう?


「まず、男の数は?」


なんだそれ!?

それって昔やってたドラマ「ショムサン」と同じ質問ではないか!!?


この人もそっちの人なのか…


「一応…以前に一人ボーイフレンドがいましたが、あまり長続きはしませんでしたね。」


うそはいってない。一応日比野とは付き合った。


「長続きしなかったって、どれくらい?」


「あまり記憶はありませんが、4か月ほどだったでしょうか?」


「微妙だね」


確かに微妙だ。


「まぁいい。一応男には免疫はあると見た。」


なんなんだそれ?


「で?幸助くんのことはどう思ってる?」


「とてもいい先生だと思ってますよ。」


ここは妥当に答えておいた。


「まぁあの子は男にしては、いい奴だからな。」


ん?

この答え方に少し引っかかるものあったが、


「では政治のことはどう思っている?」


さっきの疑問を片付ける間もなく、容赦なく次の質問が来た。


「きれいごとでは済まない世界だと思っています。」


もうやけくそで答えた。

何せ、不採用で当然の面接だ。

でも本当にさっきの幸助さんの質問の返しの言葉が気になる…


「判ったような口をきくな!」


ああやっぱり…そう来た…


「では聞くが日本の国家予算、あまりにも厳し過ぎる状況だが、君ならどう動く?」


知ったことかよー!?

てか、そんなでかい動きてめー一人でできるわけないだろうがー!!


とマジでいいたかったが…


「少なくとも一人ではそんな大それたことはできません。」


なんでもいいので答えた。


ホント、これでホントに優等生なんか?と自問したくなるぐらい、我ながら幼稚な答えだった思う。


でもまぁどっちにしても落ちる予定だ。

おまけに政治家の本性もこれだ。

なのでこっちとしてもどうでもよかったりだ。


「では君がもし、政治家になるとして、まず最初に手に入れたいものはなに?」


何なんだその質問?

最初に手にいれたいものだ?


まぁ普通に考えてみれば金だな。


でもなんか違う気もするんだよな。


私が政治家になるとして、欲しいもの…欲しいもの…欲しいもの……


何だろう?



「なんだ。すごい勢いでポンポン答えると思ったら、もう音を上げたか…」


うわっすっごい煽ってきてる…


やっぱりこの人意地悪だ…。

ある意味月城よりもひどいかもしれん…。


というか…欲しいものというより…先に手に入れなきゃいけない者ならある…



よし!これだ!




「私はその鈴木という苗字が欲しいです!」




もういい!


ホントにここは落とされる予定の面接だ!

本当にやけくそだ!



それを聞いた、鈴木英子もポニーさんもポカーンとして、しばらく何も喋らなかった。


それで次に二人が動いたのは二人で顔を見合わせていた。


そして口が動いたのは


「あんたさ…」


やっぱり鈴木英子。



「私のことなめてるのかっ!!?」



といきなりキレだした。


「つまり私の養子にでもなろうっていうのかっ!!?私の遺産目当てだろう!?そう簡単に養子にするとでも思ってるのかっ!!?バカにするなっ‼‼」



鈴木英子は、もうすごい勢いで怒っていた。


もうすごい勢いでこの家から追い出されそうな勢いだったが、このまま負けるわけにはいかなかった。


「は?お前のようなセコケチの財産なんか、誰が欲しいってっ!!!?

んなもん、どーでもいいわ!!

私はそんなことより!その妥当で目立たず普通に生活できるその鈴木という苗字にどれだけ憧れたか、お前には判らないだろうがーーーっ!!ああーーーんっ!!?」


もう、政治家をお前呼ばわりしてしまい、人生終わりかもしれないが、もともと私の人生なんてなかったものだから、どうでもいい。


「全国で3軒しかないこんな名乗れば、誰もがどこのうちの子かも判るようなこんなクソみたいな微妙にダサい名字で生まれて、今までどれだけ不憫だったか!‼‼

なーんてこと生まれながら、目立たず優雅に過ごしてきた鈴木にわかってたまるかっ!!」


こっちも全国の鈴木にケンカ売っているようなものだったが、珍しい苗字とか変な名字とか、いろいろ不憫で不遇な扱いを受けてきた名字とかで生まれてきた者目線からすると、鈴木とかいう苗字はまさに憧れな存在だったりするんです。


私なんて、あのよく聞く事がないめずらしい苗字のせいで、どれだけ恥ずかしい思いをしたか!?

あの、一緒にされるだけで恥でしかない曜子と同じ苗字で、どれだけ恥をかいてきたか!?


これがもしせめて、鈴木とか佐藤とか田中とかありふれた名字だったら、一族に恥な人間がいても誰も気が付かないことなんてざらにあっただろうよ!


でも私の名字琴金ぞ!


こんな中途半端に変な名字なんか、滅多にみなくないか!?


もし私が鈴木だったら、うまいこと回避できたというのに、私はそんな選択肢すらなかったんだぞ!


「はっきり言うけど、この日本に生まれて、鈴木という苗字ほど自由で勝ち組な名字はないってこと自覚してほしいわっ!!鈴木という苗字で生まれてきただけでも、全国の鈴木は感謝してほしいわ!!


たったそれだけでも名前のことで目立たず悩まず要領よく生きれるんだぞ!


お前はそんなことも判らないのかっ!!?


そんなくだらないことで悩んでいる時間とられなかったからこそ、お前は政治家という地位まで上り詰めれたんじゃないか!!


私なんて、ただ単にひたすら、地味に資格とるぐらいしか余裕ないほどの生活で悪かったなー!!?」


鈴木英子も、さすがに面接に来て自分がここまでキレられるかなんて想定してなかったらしく、言葉を失っていた…


「いい!!?私はその鈴木という苗字がもらえるなら、政治家だろうが!アイドルだろうが!お前の嫁だろうが!何にだってなってやるよ!!

私はね!!こんなクッソダッサイ名字じゃ何もやろうとは思わないんだよっ!


判ったかっ!?ぶぁーーーかっ!!」



と言って部屋を出た。


なんか今まで言えなかったことを言えてすっきりした。


まぁ内心うまくいけば採用されるとは思って少しは期待はしていたけど、噂によれば100%落ちるという面接だったので、もうやけくそだった。


そして最後の最後は本気でやけくそになって、ブチギレてしまった。


政治家に向かって「ぶぁーか!」とまで言ってしまったが後悔はしていない!

何せ私よりも頭のいいやつなど、ほとんど見たことなどなかったので、別に行ったところで事実だと思う!


私はもうそう思うことにした。



というか、あんな傲慢なおばさん今までに見たことがなかった。

気に入らないことがあるとすぐキレるとか?ないわ…。


あ、でもうちの母よりかはそれでもマシだわ…

あのおばさん。何言われてもなんもささらないし、反省もしないからな…


というかあんな性格で今までよく政治家なんてものやってこれたよなと不思議に思うぐらいだ。

正直向いてないんじゃないか?とさえ思えてきた。



ところが…



数日後…


「星子さん。たいへんなことになったよ…。」


といきなり幸助さんから呼び出されることになった。

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