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それは初恋なのでしょうか?

一応…こんなドタバタしている中でも、わたしかて就活というものはしていた。


でも、ホント惨敗…


どころか、自分の都合に合いそうなところなど、どこにもない…


まぁ、都合よく転勤がすぐに決まるところなんてあるわけがない。


それにあくまで仕事だ。

できない者、やれない者はいらない!


それがこの人間社会である。



私は何をしてきたかといえば、ホント家庭教師の仕事ばかりだ。


もう、それで食っていこうかな?とさえ考えている。



こういう時こそ、月城さんのコネを頼れば簡単かもしれないが、それだと結局、月城さんに借りを作ることになる。それで永遠に月城家から抜け出せなくなってしまったら、それこそ厄介だ。

それにどちらにせよ、月城家を出ていくとなると、もう曜子からも守ってもらえないであろう。


今、月城家から抜け出せなくなっているのが本当にピンチなのである。



すっかりここの暮らしになれてしまって、ホント住めば都な状態だ。



こんなこと誰にも相談できない。



「あれ?白土さんじゃないのー。」


振り返ると影山満里奈がいた。



ずいぶんと見なかったが、東京で私のことを白土と呼んでくるのは満里奈ぐらいなものだ。

この人まだ、私の名字が変わったことに気が付いてない。


「あのね。私、研究室に残ることになったのね。」


「ああ、おめでとう。」


「白土さんもまだいたのね。」


「まぁ本当は卒業する気だったんだけど、いろいろあってね…。」


「そうなんだ。」


「就職は決まったの?」


「…あはははは……それがまだ…」


「えー嘘ー!?あの白土さんが決まってないなんて。ごめんね。変なこと聞いて。」


「んーん、仕方ないよー。知らなかったんだしー。」



「あ、そうだ!だったらさー、うちの教授が誰かいい子はいないかと探していたから紹介しようか?」


「え?教授が…?」


教授が就職先を紹介するって、それってほとんどあり得ないんだけど、



「まぁ一応あってみてよー。それとも今日はなんか用事でもあるの?」


んー今日もいつも通り、夜に家庭教師のシフト入ってるけど、まぁ食事の時間までの戻ればいいくらいか。


「特にないけど」


「OK!なら早速行こうか?」


満里奈も満里奈で、大学の研究室に落ち着いたとのことを聞いてさすがに驚いている。

研究室入っても、結局は人生詰むという話はよく聞く。

だから、私はあまり気ノリはしなかった。何分、相手は教授故に信じがたいものあるのだ。



私は満里奈に教授の部屋の前まで連れていかれた。


満里奈が教授の部屋をノックする。


「教授。今お時間よろしいですか?」


「どうぞお入り。」


部屋の中より、声が聞こえた…


私が部屋に入るとそこにいたのは…


あの幸助さんだった…



「あ…」



お互いにそれを言っていた。


「えー。お二人とも知ってらしてたんですかー?」


満里奈は驚いていた。



「ああ、まぁ…」


幸助もさすがに驚いていた。



「それと影山君。僕は教授ではない。だだの講師だよ。」


「申し訳ございません。」


どうも幸助は大学講師だったらしい。


「それに僕はあくまで、下働きでここに置いていただくというだけの存在だよ。

君はあくまで園方教授の助手じゃないか。」


「本当になれなくて申し訳ございません。

やっぱり水谷先生の方が判りやすいし、親しみやすいのでどうしてもそう思えてしまって。」



「おいおい、今日は園方教授はもう帰られたからいいけど、普段からそう言っていたらさすがに大変なことになるから気を付けるんだよ。」


「はい」


「それはそうと、まさか紹介されたのが星子さんとはね。」


驚いているのは私の方だ。



「んー。何気に困ったかもだ。」


あ、これでいろいろ察したかも…

あの7つの族が絡んだ就職先となると厄介だ。


そうなると…


「あの、これって影山さんではだめなのでしょうか?」


ここは申し訳ないけど、満里奈に犠牲になってもらいましょう。

まぁ満里奈は私にとって害はなかったものの、かといってそこまで親しくはない存在だ。

どこか心苦しいものあるけど、ここは満里奈に一度は擦ってから考えても遅くはないと思えた。


「ちょうど水谷先生とも仲はよろしいですし。」


まぁ基本幸助さんは誰にでも温厚だから、仲が悪いわけがない。



「それがね…。私じゃダメだったのよ…」


「え?」


「失礼な話でさ、先方さんからは一目見ただけで、ブスだのデブだの言われて、さんざんだったのよー。」


「何それ!ひどい!」


あってすぐに女性にブスだなんて言うなど、ホントひどい話だ。


というか、そんな戦場に私を連れていく予定だったのかよーと突っ込みたかったが、まぁ失礼な話、満里奈はそこまで美目がいいとは思えれない微妙な容貌だ。


「だから、面接する前に落ちてしまってね。

仕方ないから、私はここで拾ってもらっていたわけ。」


「でも、ほかにはいなかったわけ?」


「それがね。私の前にも後にもいっぱい女の子が受けに行ったらしいのだけど、もうことごとく落とされてね。ホントに女優小川真珠さん似のすっごい美人な子が行ってもぼろくそに言われたらしくてね。」


「それだと私じゃとてもじゃないけど、無理だと思うけど…」


「でも行ってみないことには判らないから、いちどうけてみない?」


「実はね。なかなか決まらなくて困ってるんだよ。本当に我儘な人でね。」


「誰なんですか?その方?」


まぁ一応聞いてみることにした。

これで、あの族と関係ある人だったら、断るまでだ。


「うちの元妻の姉でね。政治家の鈴木英子。」


「えーーーーっ」


わりかし有名な議員さんだ。


あの人がまさか…そんな傲慢で意地悪だったなんて…

いちおう、小ぎれいにしていて、なるべく目立たない格好してて、品よさそうなイメージあるけど…


というかそんな有名人が、他人をデブだのブスだの罵っていて、だいじょうぶなのだろうか?



「でもまぁ行ってみなって。」


「なんでよ?」


満里奈は少し考えた後に…


「イヤさあのね。今就職先ないなら、行ってみる価値だけはあるのよ。」


「実は、義姉さんのところに面接に言った女の子たちみんな、そのあとあっさり就職先が決まったというラッキージンクスがあってね。」


「えーーーーっ」


「まぁ胡散臭い思うかもだけど、これホントの話だから…。」


そこまで言うなら、行ってみることにした。



そして私はその夜、月城の下宿先には戻らなかった。


今日の仕事はお休みを取った。


なんとその夜、私は幸助さんからのお誘いを断り切れなかった。


ん?



と思うかもしれないが、満里奈も一緒だ。


まぁ何より満里奈が一番誘ってきたというのはあるが、私はそこで幸助の本当の姿を知ることになる。




まずは簡単に食事をした。

それもファミレスとかじゃなく、室内にピアノ演奏まである本格的なレストランだった。


やっぱり、食事の場所も来るところが違う


なんだか、満里奈の方がそういう意味ではなれている感じだった。


幸助さんが言うには、それでもその店はそこまでドレスコードにはうるさくないお店だったらしい。


そこまで、しっかり調べているところがまた大人だ。



そして、幸助さんと満里奈に連れてこられた場所は…



「ここが水谷先生のアトリエよ。」


アトリエ…?


「え?」


「ほらさ、私、ろくに美術もできないくせに芸術学部に入ったじゃない。


いろいろ後悔していたんだけどさ、


水谷先生に出会ってから、変わったんだ。」


「買いかぶらないでくれよ」


「だってほんとのことだもの。」



それにしても見事な絵画がいっぱいだ。」


「これ全部幸助さんが描かれたのですか?」


「ん?さっきから白土さん。幸助さんと名前呼びだけど、そんなに親しかったわけ?」


あ…


「私も気になったんだが、影山君はなぜ、星子さんのことを白土さんと呼んでいるのかね?」


あ…


一気にあ…な状態になっていた。


で結局は…


「えっと、水谷先生の一族さんにも以前お会いしたことがあって、その時は水谷さん一族さんの数が多かったために名前の方で読んでいたから、ついそうなってしまうだけでして…」


まぁこの言い訳で、お二方納得してくれた。


「で?なぜ白土さんなのかね?確か名字は違っていたはずだが…」


あ…こっちはもっとめんどいな…

というか、いちいち面倒だから、今まで黙っていたのだけど…


「実は家庭の事情で、名字が変わっていただけで…。」


「え?じゃ、親が離婚したとか?」


イヤイヤその…と言いたかったが…ここは…


「…」



「んーなんだかすまないことを聞いてしまったみたいだね。」


「え?実は名字違ってたの?ごめんね。今まで間違えてよんでて…」


「いいのよ。これからは面倒だから、下の名前の星子って呼んでくれる?」


「あ、うん判った…じゃあ、私も満里奈で。」


と言われたとき、気持ち引きつってしまった…

その姿で満里奈は…とは思ったけど…受け入れることにはした。


何分、今はいろいろ面倒くさい。


「それにしても本当にすごいですね。」


「でしょ?となりの部屋はもっとすごいわよー。」


「え?これこれやめなさい…って」


と幸助さんが言い終わる前に満里奈は隣の部屋の戸を開けてしまった。



私はここでまた、すごいものを見た…


その部屋はまさにヌード画だらけだった。



え?



私も思わず絶句してしまった。


「もう、とめたのになー。」


「先生も見られたくないなら、カギ閉めておけばいいのにー。」


「まぁいいけどね…」


まさか、幸助さんがこんなにたくさんのヌード画を描いていたなんて…


「あの…これ…全部…」


「まぁ全員にモデルしてもらったわけじゃないよ。中には空想上の人物もいるからね。」


ただの空想だけでよくこんなにもかけたものだ。


そして、その中でも一際目立っていたのが、一枚だけきちんと洋服を着た女性の絵画があった。


「こちらは…」


「私の元妻、明子だよ。」


「え…」


この人が、幸助さんの元奥さん…。


としんみりした会話をしていたら。


「ちょっとぉー。こっちも見てよーーー。」


と満里奈が一枚の絵を抱えて見せてきた。


「じゃーん」


その絵には…


「これ私ーーー。」


「えーーーーっ」


「キレイにかけてるでしょ?」


確かに、その絵は満里奈に似ている…イヤ体型まで似ている…


満里奈はさっきもいったとおりのブスでデブ…


そんな素材のモデルでもここまで偽りなくキレイにかけていることがすごい。


よく見てみたら、この部屋のヌード画って、美女から醜女、モデル体型からデブ、はたまた男まで。老若男女でいろんなヌード画があった。


もう、ここまで無差別にヌードがが描けてしまうのは、ホントあっぱれだった。


「…」


「もう何で黙ってるのよー。私さ、この絵が一番のお気に入りなんだ。今まで自分撮ってくれた写真よりもずっとね。」


確かに満里奈のその気持ちも判る…

こんなに素敵な絵をかいてくれたのならって…



私、この人になら…


とその時思ってしまった…




「さぁもうおそいから、これ飲んだら、あっちのお部屋に泊まっていきなさい。お布団なら、二人分はある。私はソファで寝ることにするよ。」


「えーもう寝るのー?」


「まぁここシャワーぐらいしかないけど、よかったらそこもつかっていいよ。」 


「はーい」


満里奈はそのままシャワー室に向かっていった。



その晩…



「幸助さん…」


案の定、幸助さんはまだ起きていた。


「なんだ。星子君まだ起きていたのかね?」


と言いながら幸助さんは振り返った。


「…え?」


私は羽織っていたシーツをはらりと落とした。


「…いて下さい…。私を…て…だ…さい…」


幸助さんも突然のことで戸惑っていた…。



私と幸助さんはその夜、一晩中眠らなかった…。




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