いろんな人の恋・コイ・KOI
ユキが守とバレンタイン宣言をしてからというものの…
月城の機嫌は誰から見ても悪かった…。
正直、なんでここまでユキにばかり交友関係を厳しくするのか?率直に聞いてみたいものあったが、ここでそんなことを月城に尋ねた日には、自分の存在を消されてしまうのでは?と誰もが思っていたのであろう。誰もそのことを訪ねる者はいない。
この家でそんなことを堂々と文句言えるのは、リキぐらいだと思う。そのリキも今は受験でそれどころではない。そんなことに構ってる場合じゃないので最近部屋に引きこもったきりだ。
最近ユキがはまってるのはお菓子作りだ。冬休みの間、水谷家でお菓子作り担当の野々山さんから教えてもらったお菓子をあの後もキキちゃんと一緒に何度も作って、使用人同士のおやつに出していると聞いた。かくいう私も食べたことがあるが、やっぱりあの水谷家で食べたあの味とほぼ同じだ。
「もう少し、かわいく仕上げることできないかなー。」
とか、最近はそればっかりだ。
やっぱりお菓子作り初心者名ゆえに形や見た目はいびつなところはある。
そりゃそうだよね。
初めてのバレンタインで、本命に手作りのお菓子を渡すとなれば真剣にもなる。
「手作りの渡すの?」
「うん。」
本人はものすごく張り切っているご様子。
その様子をこっそりと見ているのがやっぱり月城。
「あのね。今回はキキと一緒に作るんだ。キキもね、渡したい人がいるらしくてね。」
やばい!
これ聞かれてるんだけど…
それを聞いた月城はさらに顔をこわばらせていた。
やっぱり…
なんでなの?
リキちゃんの時はめちゃくちゃ寛容だったのにな…
同じ人とは思えれない。
どうもユキだけでなく、キキに対してもらしい。
そしてその夜…
「なぁキキ君。」
「はい」
「君、今年はバレンタインに誰かにお菓子をプレゼントすると小耳にはさんだのだが…」
「え?誰からそんなことを?」
この時、ユキの顔をちらっと見たが、明らかに「まずい」という表情をしていた。
「それは申し訳ございませんでした。材料費とかは自分で出す予定でいますので、お許し願えませんでしょうか?」
キキちゃんはあわてて謝った。
「いや…そこはいいんだよ。」
「え?」
「材料の方は、月城の家から遠慮なく使ってもらってもかまわない。」
「あ、ありがとうございます。本当に助かります。」
「問題は…」
うわ…すごい恐怖感…
「人数の問題ですか?…えっと、リーさんとみっちゃんとマコちゃんとか…それから…」
どうやら、いつメンの仲良くしている女の子同士のお友達らしい。
でもそれでもまだ続きがあるとなるとやっぱり…
「それから?」
すごいにらみを利かせていた。
「担任の杉山先生にもあげようかと思って…。合計4人ですね。ごめんなさい。結構多いですよね?」
「…」
要するに男がいないかどうかをチェックしたかったようだ。担任の先生はまぁどちらでも仕方がないとみているようだ。
「じゃあ、クリスマス会で一緒にいた日渡洋生くんはなんでもないんだな?」
うわ、ホントこればっかりは見事なぐらいにド直球に聞いている。
「はい」
「ほんとだな!?」
「連絡先だって知らないんですよ。さすがに無理です。」
キキがそこまで言って、ようやく…
「うむ。君はいい子だ。」
そこまで言って、ようやく納得したぐらいだ。
そしてまた
「それに君は一応、月城家代表で使命まで果たしてくれた。感謝するよ。」
「???」
キキ本人含めて、誰もが意味深に思うことを月城が言っていた。
なんだろう?これ?すごく引っかかった。
ついでに今は月城がその危機を抱きしめて、頭を撫でている状態だ。
キキもかなり怪訝そうな顔をしている。
キキ本人は月城を実の父親だとは聞かされていない。
そんな状況でだれも助ける者はなく、キキだって自分目線、月城はセクハラしている他人のおっさんでしかない。ただ、月城は自分の主でもあるがゆえに拒むことすら許されないのだから。
他人のおっさんから抱きしめられた。
キキはショックでしかなかった。
キキの目からは本当に生気を失っていて、キキはボーっとしたままだった。
それでもキキは仕事をしないといけないくて、そんな気持ちのまま仕事をしていたキキは仕事に集中できなくて、今日は怒られてばかりだった。
もう仕方ないから、あの後ユキはキキを私たちの部屋まで呼び出した。
「かわいそうに…ショックだったね…」
そう、あのクリスマスパーティから、キキは明るさを取り戻していたというのに…
月城のセクハラで台無しだ…
私はといえば寮の廊下の陰に隠れて、私たちの部屋である104の前を見はっていた。
最近、月城がずっとユキのストーカーになりかけているので、姉妹水入らずの部屋を監視することに決めた。
案の定、やっぱり月城は部屋の前で聞き耳立てていた。
「どうされました?」
と月城に声をかけてみた。
「いや、なんでもないよ」
やっぱりはぐらかされた。
「ちょうどよかった。聞きたいことがあったんです。今お時間よろしいでしょうか?」
特に聞きたいことなどなかったが、一応、月城をこの場から話したいと思っていた。
なので、本館の応接室まで月城を誘導してみた。
「いったいなんだね?」
「キキちゃんに何をさせたんですか?」
正直、ホントは一番聞きたいのはユキへの待遇のことだが、さすがにそれを聞くとホントに消されそうで、怖くて聞けない。
「月城家代表の使命っていったい何なんですか?あんな幼い子に使命を背負わすって、感心できないものですし、気になりますから」
まぁなんとか、切り抜けた。
そっちもやっぱり気になっていた。こういう時は次に質問したいことを聞いてみるのが妥当だ。
「フハハハハハハハハハーーーー」
月城はいきなり笑いだした。
なんなんだ?
「実はね。日渡家から、各家に発注されていたことがあってね。
各家の血族に必ず一人11歳の子がいるはずなので、あのパーティに連れてくるように。
と言われていてね。」
「それで、今回はキキちゃんを連れて行ったということですか?」
「まぁそうなる。本来は15歳未満は連れて行かない集まりだったんだけどね。今回ばかりは特別だったんだよ。
あまりたいしたことない話で申し訳ない。
どうも日渡家の洋生くんの予言が「12歳を迎えるまでに各一族の同い年の者と何らか関わりを持てた7つの一族とは、この先も安定した関係が築ける」とあったらしくてね。
面倒なことだけど、あの予言はよく当たるんでね。そんなことを聞いた日にはやっぱりそこにすがりたくもなるものだよ。
我々はただでさえ、面倒事が多い一族だからね。」
「そうだったんですね。」
一応、平和条約みたいな懸け橋になっただけならよかった。
「これで洋生くんと関わりを持ってないのは、水谷家だけになったと聞いたよ。」
水谷家?11歳?…ってまさか…?
「洋生君は悔しがっていたけどね。」
「あの…それ…絶対にお勧めできない縁ですよ…。」
「まさか…?悟志の娘りえちゃん?」
「としえと読むらしいですよ…。」
「ああそれなら、関わらない方がよかったかもな。」
さすがにそればかりは月城も納得していた。
それともう一つ疑問があった…
「あの…つながっていないのは水谷家だけとか言ってましたけど、火口家の最年少は二央じゃないのですか?」
それだ…
「あ、一応かなり大昔に種づけた妾の子孫がまだ残っていたらしい。
そっちも細々と続いていて、ホントギリギリ残っていたのがその子一人だったんだと…
火口家はその子の学費を出す代わりに、その子にそのパーティに出席するように命じたんだと。
それでも育ちが悪いのを隠すために洋生くんとドリンクを乾杯しただけで帰って行ってしまったんだけどね。」
うわ…なんだそれ?
それも高校までの費用って…かなり微妙だな…
ドリンクを乾杯しただけ?で帰るって?
まぁそれでも一応かかわりはもったのでしょうな…
「尋ねてみたら、母子家庭でかなり貧しい家だったらしいよ。
あまりにも悲惨な暮らししてたものだから、火口家が使用人として母親を雇って、今は火口家の寮住まいらしいけどね。」
それでも母子ともに火口家にたどり着けたということは、かなりの美形と見た。
「って!君!二央の出生の秘密知ってしまったんだね!?」
「あ」
まずいこれ、すごい怒ってる…
「これ、二央は知っているのかね!?」
「いいえまだ…」
「よかった…。」
「やっぱり、それは今年の10月までは伏せる事なんですよね?」
「察してくれて感謝するよ。
本来、預言書を読むのは10歳の誕生日だが、二央の場合は各家に一枚ずつの使命を背負っている。
だからこそ二央だけは、その年齢は各家の事情により18歳まで繰り上げられている。」
となると今回の日渡家の洋生くんのように早いうちにクリアしないといけない予言があるなら、それは無意味になるわけだ。
そうだ。
「二央のことが解禁されないと、ユキのことだって迂闊に喋れなくて困ってるんですよ。」
「なんだね。君、ユキのことまで知ってしまったのかね?」
「もう、あれ知った時にはあきれてものが言えませんでした。」
「まぁ、ユキの母親にも悪いことをしたな…。
あの子はまじめでメンタル強くてしっかりした子だった。」
「そんな子に手をかけたなんて!大罪ですよっ!?」
「ひっごめんなさい」
さすがにその手のタイプの子に手を出すなんて許しがたい。
「まぁいいではないかー。あの子はあんなまじめそうでも、私が初めてじゃなかったそうだから…許せや…。」
「え?」
なんか、それって?しってる誰かと似たようなそれなんですが…
「まぁここには女癖の悪いおっさんがいるということはあの当時有名だったから、誰もお嬢さんと一緒に来てくれる召使はいなくてね…」
そりゃそうもなるわな
「あの当時、火口家の使用人の中でお嬢さんをしっかり守れそうなのが、ユキの母親ぐらいしかいなくてな。どうもここに来る前に覚悟を決めて、あの時自分が好きだった相手に一回抱いてもらったらしくてな。」
それって、娼婦として売られる前の純粋な娘の行動ではないか…
自分がいつ、その得体も知れないおっさんに目つけられても平気でいられるように…
女たるもの、せめて初めての相手ぐらいは自分で選びたいという気持ちは判る。
「でもわし、二央の母親が亡くなるまでは、ユキの母親には手を出さんかったんよな。逆に二央の母親に守られていたのはユキの母親だったりするんだよね。自分よりも若い子を必死で守っていたというかね。」
とはいえ、この人結局ユキの母親にも手を出したわけでしょ?最悪だ。
「まぁ私が最低だと言いたい気持ちはわかるよ。
だからこそだ。自分のせいで不幸にしてしまった美女たちのために、せめてその美女の娘を守るのは当たり前だとは思わないかね?」
それを言われてしまうと、リキの母であるマチ子さんはすべてにおいて同意のもとでの子作りだったので、娘を守るとかそうは思えれないのであろう。つまり、娘によって重さが違うということだ。
「そして、ユキの母親が私に最後に言ったのは「お前なんか最初の男でも最後の男でもないわっ!!女をなめるな!!ざっまぁー!!」だからな…。
あの子は最初から最後まで、私相手でもホント毅然としていたよ。」
なんか、最後に言いきった言葉もすごいものだ。
だからこそ、ユキを守りたくて、ユキを自由にさせたくない気持ちもあるのだろうか?
最初はキキの話で始まり、最終的にはユキへの気持ちも聞き出すことができた。
私的にはこれで満足だった。
そしてバレンタイン当日…
よくよく考えてみたら、本日は平日だった…
平日でバレンタインデーとって…?学校終わりよね?
てことはかなり遅くなりそうなんだけど…
これどうなるんだろ?
一応、キキちゃんの部屋は今日はにぎやかだ。
予告通り、お菓子を配っているらしい。
そして月城さんは…
「あいつーーー!遅く帰ってきたらただじゃおかーーーん!」
寒い中、ずっと両前の入り口で待ち構えている。
16時30分…
「ただいま。」
ユキがかえってきた。
「なにやってるの?」
ユキも月城もきょとんとしてた。
ユキの隣にはユキと同じ制服を着た背の高い女の子がいた。
「ほらちゃんと帰ってきましたよ。」
「…あ、ああお帰り…」
「もう、何もこんなところにいなくてもいいじゃん。」
ユキはまさかこんなところで自分の父親が待っていたとは思わなかったらしい。
「あ、そうだ。守がさ、父さんにもって。」
「どうも、伊集院です。お久しぶりです。
これ、学校のみんなために私が作ったもので、おとうさんもよかったらどうぞ。」
「え?」
「えーーーーーーっ!!!?」
守は…女の子だった…。
ユキの隣にいた背の高い女の子は守だった…。
「これはありがとう。伊集院さん。」
「いいえー。ではわたしはこれで。」
守はそのまま帰っていった。
「守ね。お菓子作りすごく上手なんだよ。で、私も最近おかし作るの最近はまったから、交換しよって約束したんだよね。」
そういう約束だったのね。
「全く、ユキ‼伊集院さんが女の子ならそう言ってよー。」
「だめよー。お父さん女癖悪いからー。私の友達にまで手を出したら許さないからねー。」
「っと、君はお母さんによく似たなー。」
「ええ、顔だけは絶対にあなたに似てないってことは、よーくわかる」
「いってくれるねー」
な元の親子に戻っていた。
が問題は…
「あ、どーもおじゃましてます。ぼく李といいます。」
「ちーす」
「こんにちわ」
とキキの部屋…
3人とも男の子ばかりだった…というオチ。
いつも勉強を教えてくれる李さんとトキのいたずらから、庇ってくれたみっちゃん(光雄くん)、同じ茶道クラブで仲良くなったマコ(真君)ちゃん。
という内訳らしい…。
キキの方が曲者だったと、あんぐりとしていたのは月城さんの方でした。
このキキちゃん
姉妹で一番要領が悪い子だけど、この姉妹の中でこの先一番幸せになる子でもあるのであった。




