表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/95

罪と罰と我儘と

さーて、時系列は曜子が夏休みに東京まで着た、あのころぐらいまで戻る…。


話の焦点もリキに戻す。



本人曰く、誰にも言わずに勝手に妊娠して、誰にも相談せずに勝手に堕胎までしてしまったという…。

もう何から何まで、普通の女子高生じゃありえないことを全部ほとんど一人でやってのけたのだ。


さすがにそれは月城も許すはずもなかった。


「君、それがどういうことか判ってるよね?」


「…」


「リキー‼あなたなんてことしたのよーーっ!!?」


なんと、急遽母親まで呼び出されていた。

母親は、思いっきりリキの頬をひっぱたいていた。



「君は月城家の禁忌を犯してしまったのだよ。」



すごく意味不明なことを言っていたが、どうやら人の命を消すということはこの家ではタブーらしい。

いや生き物を殺すこと事態は、どう考えても重罪だが、どうも月城家でのその対象は胎児も含まれるらしい。まぁ流産死産なら、運が悪かったで片づけられるらしいが、人工中絶は許されないらしい。


「何が月城よっ!!」


「!!?」


「私らにその名すら名乗らせてないくせにっ!!」


その通りである。

子どもらには、だれにも月城の名前を名乗らせないくせに、月城家のルールに従えというのは、何か違うと思う。


「名前の問題ではない。ほとんど血の問題なのだよ。」


「…血?」


「あともう一つ!こっちはかなり現実的なことだが、うちは代々中絶を禁忌とされているがゆえに、子育て資金を稼がないといけない。それがどこから出てるのか判るかね?」


そういえば、知らない…。


というかこんなに子供を作っておいて、よくこんなに金銭的に恵まれているなと不思議なぐらいである。



「あまり言いたくもなかったが、この家はある研究機関の研究対象とされている。」


「え?」


「まぁそんなことはもっと違う国の大家族から、研究してもいいのだが、生憎その研究機関はすでに様々な国から調査されているとのことだったので、日本の代表としてそのうちの一家庭がここだっただけのことだそうだ。聞く限りは他にも似たような家庭は存在するらしい。」


「…そんな…。」



「このことは、ここにいる君の母親であるマチ子も承知の上だ。」


「何よそれ!?知ってたの?最低ね!」


「勝手なことだということは判っているわ。でも…でも…」


リキの母親はものすごく動揺していた。


「なんで18歳までおとなしくしていられなかったの!?18歳までの約束だったのよっ…。」


18歳まで?

研究が?


「気づいてなかったのかね?君たち子どもたちだけではなく、ここにいる職員全員に定期的に特殊な知能テストを受けさせていたことを。」


あぁそういえば、確か去年もなんかやっていた気がする。

あれか。


まさかと思うけど、


「まぁ大きな施設で、能力的な遺伝学の研究に協力してそこから援助をもらっているのだよ。」


こんなふざけた話があってたまるか…。


「中でもやっぱり、マチ子と君と星子君の結果は群を抜いて素晴らしい。もう、結果を見ただけで見惚れてしまうぐらいに。」


と言いたい放題言われていた。


リキの母のマチ子はそのことに関してはかなり自信とプライドを持っているらしいが、



「ちょっと待ってください!!黙って聞いていれば研究対象って何ですか!?あなたは人をなんだと思ってるのですか!?」


私は全然納得していない。


「それって…まさか三緑にも…。」


「もちろん参加してもらうよ。優秀な君の血を受け継ぐ子だ。だから、すっごく楽しみにしている。」


やっぱり…ここが落とし穴だったということをここで気が付いた。


「それに星子君。君は三緑を育てられないと言っていたよね?

なら、三緑は私のものだ。」


子どもをもの扱いしている。


「まぁ別に君が三緑を連れて行って外で育ててもいいんだよ。

でもね。一応、なんも不自由なく無事に産ませてあげたのだから、その義理だけは返していただくよ。

要は三緑が少なくとも18まで、そのテストを受けてそれを提出することはその義理果たせという条件だ。つまり三緑は18まで、ここから逃げられないというわけだ。」


ああ私も最初の契約書をしっかり見ておけばよかった。と今更ながら後悔している。

でもまぁテストだけなら、構わないとは思うけど、ホントそれ以外にも、なんかありそうな気はしている。


ああ困った…

それでも私は三緑を一緒に連れていけない…。

多分、あの曜子が生きている限り無理だ。

曜子どころか、両親も生きている限り無理だ。




「どおりでね。最も優秀でないと月城の姓は名乗らせてくれないわけだー。」


リキは母親に向かって、


「なーんだー。残念なことにあんたも私もこの女に負けたってわけだー。あーつまんねぇー。」


「…」


マチ子も娘からここまで言われてさすがに言葉をなくしてしまった。




「なんだー。やっぱりあの子は、こいつの子ですか?最低ですね。」



それは何度も否定したはずだが、なんも聞いてくれない。



「おめでとう。あなたの子は後継ぎの二央を差し置いて選ばれし子で。」


嬉しくなんかない…。


三緑のことは、あなたの母親と違って望んで産んだわけじゃないのだから。


「聞いてる限りだと、そんな選ばれし我が子でも、ここに捨てていくとのことですよねー。さいていですよねー。」


でもそうとはいえ、三緑のことはかわいい。

私がここにいる限り、三緑のことはなるべく愛してあげたい。

そう思う気持ちはある。


それにこの子の父親は、私が今まで抱かれた男の中でも一番まともな?(マシな)男であるとは思う。



リキには言いたい放題言われているが…

もう、めんどくさいからそれでいいとさえ思えてきている。


「どちらか言えば、君に継がせようとして思っていたぐらいだよ。」


「…え?」


「でも、残念ながら、君にはそのような器などなかったらしい…。」


月城は誰も想像しなかったことを口にしていた。


「君には失望したよ…。」


その時、月城は今までに見せたことがないような恐ろしい表情をしていた。


「小野坂君!アキとフキも呼べ!」


「はい、旦那さま。」


と小野坂が言ったとたん…



「やめてーーー!放してーーー!」


と叫ぶながら、部屋に入ってきた者がいた。


なんとユキだった。


「旦那様、この者、外で立ち聞きしていたようです。」


「キャッ」


槇原がユキを捕まえて、月城の間にユキを差し出した。


「何?」


月城がユキの頬をつかみ


「いけない子だ」


「…イヤ……。………いえ…申し訳ございません…。」


なんか、目の前でとんでもないほど恐ろしいものを目にしてしまっていた。

まだ思春期ほどの娘が、父であり父でない微妙な立場のおじさんから、頬をつままれて顔を近づけられているのだ。おそらく恐怖でしかなかろう。

いつもなら助けに入れるが、さすがに今回ばかりは私も二央も、ユキを助ける余裕などなかった。


「まぁいい。聞かれてしまったからには、一応この子も連れて行くとして…

とにかくアキとフキを呼べ!


あいつらとリキは絶対だっ!!」


「はい、旦那さま。」



このあとすく、私までとんでもないところに連れていかれるのであった。



ついたところは…



ものすごい田舎にある寺だった。



リキとアキとフキはどうであれ。

それ以外の私たちはなぜか喪服に着替えさせられた。


現場には小野坂も相原も運転手の井上さんもいる。

井上さんだけは、あくまで運転手としての送り迎えだけの存在なので、通常の制服を着ているが。



いったい何が起きるのであろう。


そしてすごく緊要なことが怒った。


相原がいきなり、


「え?」


ユキの髪を一部だけ切ったのであった。



「いやーっ…。」


本当にほんの僅か10本にも満たないぐらいの量だけだったので、たいして変わらなかったが、いきなり髪を切られたことはかなりショックだっただろう。


「ごめんね…。これも儀式の一部でね。切ったのはたったこれだけだから、あまりかわってないし大丈夫だよ。」


さすがの相原もユキに謝った。


「次、星子さん…。」


「え?私も…?」


「ごめんね。一応君もこれを知ってしまったからには関係者になったものとみなされるんだよね。」


私もユキと同じぐらいだけ、髪を切られた。


「あとマチ子さん。」


「…。」


マチ子までもが切られていた。


「二央くんはいいの?」


「ああ、これをしないといけないのは女性のみときいてるのでね。本当にすまない。」


「女性のみって…どういうこと?」


「さぁ…俺もよくわからん…。」


「だったらリキちゃんたちもじゃないの?」


「いや、あの3人が儀式の主役になるらしいから、主役は髪をこの時点で提出しなくてもいいらしい。」


相原が説明し終わると


アキもフキもリキも3人とも、ざまぁーと言わんばかりな態度で、こっち見て見下すかのように笑ってきた。


「はい、これですべてです。」


と相原は受付に私たちの髪の毛を提出していた。


「では、あなたたち3人はこちらへ。あなたたちは身を清めてから儀式に出ていただきます。」



三人は私たちとは違うところに連れていかれた。



私たちは本堂に通されて、そこで座らされた。



しばらくすると、アキ、フキ、リキの3人が白い着物を着て、私たちの前に現れた。


三人は私たちの正面に並んで座らされた。



「それではお清めの儀式を開始いたします。」


「注意点をあげます。

儀式受けているあなたたち3人対することからです。


一つ目 儀式が終わるまで、絶対に声を出してはいけないこと。」


これ曜子がいたら、即アウトだな…と思いながら、儀式ルールと聞く事にした。


「なお、儀式が完了した合図として、次のような鐘を3回鳴らします。」


カーーーン


「この音が3回なり終わったら、終了です。」


へー。


「二つ目 儀式の完了の鐘が3回なり終わるまで、絶対に動いてはいけません。


もし、約束を破った場合は次はいつの日になるかはわかりませんが、何度でも儀式はやり直しになります。」


「三つ目 儀式が無事に済んだ場合、あなたたちにはここで一番偉い長がいいというまで、ここでしばらく反省しながら、修行を積んでいただきます。」


「四つ目 その修行を期間内に全部合格できなかった場合は、ここで永住していただくことになります。」


「なので頑張ってください。」


3人の女性からの説明が終わったかと思いきや。


「えっと、ここで見守りとして参加していただく、方々にも注意事項があります。」


「まぁ儀式中は何があってもなるべく声を出さないでください。

そして彼女たちのことをなるべく目をそらさずにしっかりと最後まで見守ってください。

よくあることですが、途中で泣いてしまう人もいますが、それでもいいのでなるべく静かに見守ってあげてください。


以上です。」


なんか奇妙な注文をされている。


「では、金の合図とともに始まります。尼君のお経を唱えながら行います。

それでは本日よりよろしくお願いします。」


カーーーーン



尼君がお経を唱え始めた。


もう二人の若い尼が、鈴のついた杖を車輪車輪とふりながら、3人の周りをなん周か回って、まるでお祓いでもしているかのようなことをしていた。

そして二人の尼はそれぞれ3人がいる左右サイドに一人ずつ座った。


それから約数分ほどは、そのままお経をただただ唱えるだけな状態だった。


そうそして、先ほど儀式の説明をしていた黒い着物を着ていた女性3人が、リキとアキとフキの3人の背後に各一人ずつ立っていた。



そして次の瞬間。



リキもアキもフキも3人とも自分の髪が大量に床に落ちていた。


私は思わずびっくりしたが、なんとかその状況を口を押えて喋るまいとしていたが…


「…え?」


誰かが声をあげてしまったようだ。

声の主はリキだった…


リキもいきなり自分の髪を剃髪されてかなり動揺していた。


動くなと言われても次から次へと髪が落ちてくるのだ。


「いやーーーやめてーーーーーっ!!」


もはやこれ動くないう方が無理があった。


当然、アキとフキも…



「なんだよこれっ!!!?」


「やめろクソババアーーーっ!!」


と言って大暴れだった。


とはいえ、今更暴れたり騒いだりしても手遅れだった。

髪はすでに中途半端な状態でそられていて、はっきり言ってこのままにしておけば丸坊主よりも変な髪形でしかないのだ。


「動かないでください!」


「うるせぇばばぁ!私の髪返せーーーっ!!」


「そうだ返せーーーーっ!!」


フキとアキはものすごい勢いで暴れていてもう手が付けられない状態だった。


リキは暴れてはないにしても…



「いやあああああああああーーーーーーーーーっ!!」


ついには大声で発狂してしまった。


両隣にいるマチ子さんとユキといえば…ひたすら静かに泣いている…。

そりゃそうだろう。


こんな状況、誰もがショックを受けずにはいられないであろう。





「儀式は失敗に終わりました。」


「残った分の髪は、こちらで何とかきれいにしておきます。」


「皆様お疲れさまでした。」



3人の女性の声で、儀式は締めくくられ、この日はこれで終了とのことだった。





そこで私は一つ疑問に思った。


「あの…」



「なんでしょう?」



「今回は失敗されたとのことですが、私たちの見守りはまた再度儀式がある時にも、見守りに参加しないといけないのでしょうか?」


これである。


もし、この先ずっとこんな儀式に参加させられようものなら、私たちの髪もその都度、一定量切られるのかもしれない。そうなるとしまいにゃ私たちも髪がなくなってしまう…。


「いいえ、あなたたちが参加するのは今回だけですよ。

ありがとうございました。これであなたたちは解散です。」


と言われて、ホッとしたが…



やっぱり月城がやることは本当に鬼畜すぎる…という気持ちがますます増していった。


聞いた話によると、月城家では、中絶も含めて人を殺すという行為は許されないとのこと。


なので、私も無理やり子供を産むだけは産まされたわけらしい。


まぁ私もおろすつもりでいたが、途中で月城に気付かれて、月城に止められたゆえにここまで、やらなくても済んだということを、私にもわからせたかったらしい。


一番かわいそうだったのがユキ…。

人を殺すこととなるとどういうバツが待ち受けているかを知ってしまったゆえに、家族の秘密までも知ってしまったのだから…。


まぁ今回はリキが堕胎手術を勝手に行ったということは知っていたけど、まさか、アキとフキまで…?

と思ったが、アキとフキは堕胎手術はしてないが、幼い頃、二人して人間を玩具にしてある人物を殺してしまったことがあったとのこと。


本当はアキやフキもその時バツを受けるはずだったが、あの時、あまりにも幼すぎて次に誰か罪人が出た時まで月城も長い目で見守っていたらしい。まぁもうさすがに月城家から、罪人は出ないであろうと思って、それを今まで封印してきたが、今回リキがやらかしてしまったのでこうあったとのこと。


ホントこの家庭は意味が分からない…


普通なら、人を殺したら刑務支所いきでは…?だが…どうやら、もみ消すこともあるのだとか…?


どちらにしても月城曰く、


「あの尼寺は、普通に刑務所に入るより過酷だから…丁度いいのだよ。」


とのこと…


ホント恐ろしすぎる話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ