キンキン痛いぞその惚気
おい、キンキン…
マジありえない…
まぁ仮に曜子に彼氏がいたとしてだ…
私はそれが曜子のただの妄想としか思えれない。
お前は一体月城受験前日、月城から何を学んだんだ!?
「お姉さんと対等ですか?またどうしてそう思われたのですか?」
そうだ!そこだ!
私とあんたが台頭だなんて、どういった意味でもあり得ない。
まぁ顔の作りはあんたの方が上だということは認めますが、曜子のそんな実力私の全実力のうち10分の一も満たない薄っぺらいものだ。
「んもう、探偵さんてばぁー、そんな恥ずかしいこと言わせるのー?わかってるくせにーーー。」
なんなんだこの女。マジキモいんですけど。
「私ねー、今彼と同棲してるんですーーー。」
ほーん。同棲ですかー?
まぁ、私もしてましたっけ?
「きゃーーーーーっ!!はずかしーーーー!!」
「あ、でも確か、今は地元にいらっしゃるのですよね?」
え?でも同棲って?曜子って確か地元の専門学校へ行ったんじゃ?
「そうなのー。でもね。曜子もお姉ちゃんみたいに一人暮らししてみたくなってー、お父さんに頼んだら、学校近くのところで一見物件買ってくれてー、今そこで住んでまーす。」
物件って?
「実家は不動産してまして、学校近くにあった物件もマンションの一室が、たまたま空いていたので、そこを使わせてもらってるのね。」
なんだって!?
「地元の学校とはいっても、バスや交通機関を乗りついても、1時間半以上もかかるような場所でしたし、やっぱり一度は一人暮らしを経験してみるのも勉強だとお父さん賛成してくれたの。もう、高校出た後いっきに大人になったみたいで超うれしかったー♪」
私が東京行くって言った時には、新幹線使ってでも通えとかめちゃくちゃなことを言っていたくせに、曜子には地元の学校で独り暮らしって!!?そこまで甘やかすんかよっ!!
何この格差?いくらなんでもひどすぎないか?
それもその曜子が一人暮らしできているとな?
あのやかましい曜子が?
マジで信じられないのだが…。
そして問題はその曜子の彼氏のことだ。
「それで彼氏さんってどういう感じな人なの?」
そもそも曜子の彼氏が人間であるかどうかも問題だが、一番知りたいことだ。
その時、曜子はよくぞそれを聞いてくれたとばかりの満面の笑みを浮かべていた。
「とってもイケメンでおしゃれで垢ぬけている、誰から見ても超かっこいいと思えちゃうほどの素敵な人よー♡きゃっ。」
「へーそれはいい人捕まえたねー。」
イケメンでおしゃれだ?
男でおしゃれな奴はだいたい地雷かだぞ。それもイケメンともなるとすでに彼女がいるのはほぼ確定だろうな。
「そうなんですー。もう嬉しくって嬉しくってー。学校の友達にもいっぱい自慢しちゃいましたー。キャッ。」
今こいつに何を言っても無駄としか言えない…。
で、その彼とはどこで知り合ったんだ?
「まぁ自慢しちゃいたくなる気持ちわかるわー。それで彼氏さんとはどこで知り合ったのですか?」
うまいことサキさんが質問してくれた。
「はい。同じマンションの住民でしてー、そして彼の方から挨拶に来て下さった時、運命を感じましたー。」
あーもうこれ、曜子に挨拶するというかかわりですら持ってはいけないいうことだ。
でもまぁ多分これ挨拶ではなく、あまりにもうるさいから苦情言いに来たのだが、曜子の顔と推しに負けた奴かー…。
かわいそうだけど、そこから引っ越さないとずっと付きまとわれそうだわ…。
「あらーそれはよかったですねー。お近くにお住みなのですねー。それなら毎日気軽に会えていいですよねー。」
そうそれ、同じマンションゆえにしょっちゅう付きまとわれているんじゃないかと心配だ…。
「ええそうなんですー。でも彼、あまりお部屋にいないみたいなんですよねー。私が彼の部屋にいってもいつもいないんですー。」
それって、居留守使ってるとしか思えれんが…。
もしくは実はそこには住んでいないかで。
「曜子寂しくってー。いーっぱいかれにメールするのだけどねー、メールもあんまり返ってこないしー。」
あんたそれ多分、無視されてるってこと気づかんのかねー。
「えーそれは寂しいですよねー。どれぐらいの頻度で会えるのですか?」
「んー、一応ムラがあるなー。一か月ぐらい放置されたこともあったし、かといって三日間とか一週間ぐらいずっと家にいた時もあったし、うちに来てご飯食べたらすぐにバイトに出ていってしまったこともあったし。結構いろいろかも…。」
なにそれ?
「じゃあデートとかってどこに行かれるの?」
「んーデートかー。そういえば、ほとんど曜子の部屋でばかり過ごしてるかなー。あー、一度だけファミレスでご飯食べたかなー。」
それってさ…都合よく利用されてるだけでは?
そうとしか思えらないかった…
そもそもまともな出先がただのファミレスだけなんて…
まぁ私もクリスマスデートとはいえ、日比野の家で過ごしただけだし、一緒に出掛けたところで、スーパーやデパートやゲーム屋に買い物に行ったぐらいだから、あまり他人のことは言えない。
そして…
「で、その彼氏さんは今日はご一緒じゃないのですか?」
「はい♡ダーリンったら優しすぎて、「姉妹水入らずで楽しんでおいで」とか言って、笑顔で送り出してくれました。」
あのさ…これってさ…
また見事なぐらいに私に曜子を押し付けていません?
今までさんざん、両親から曜子のことを押し付けられてきたが、まさか、曜子の彼氏?らしき人にまで、押し付けられるとは……
「あらぁ、せっかく彼氏さんにも会えると思っていたのに、こちらとしては残念ですー。」
そうだ。そもそも曜子のお相手がおしゃれなイケメンであること事態が奇跡でしかないのだ。
「ああ、やっぱり連れてくるべきだったかなー。今度彼も連れてきますね。彼ってば「今、金ないから遠慮する」と言ってたから、私がおごってでも連れてくるべきだったなー。」
「まぁたいへん謙虚な彼氏さんなんですねー。」
「えぇまぁそうなんですよー。そういうところもまた素敵で。キャッ」
謙虚な性格といえば、良き心構えではあるが、おそらくその彼氏は一分でも一秒でも曜子とは離れたかったんだろう。
どう考えてもこんな女とは一緒に旅行なんてしたくはないだろう。
一回ファミレスに連れて行くのだって限界なぐらいだ。
「素敵な恋愛をされたのですね。今度来る時はぜひ、その彼氏さんを紹介してくださいねー。」
「はい。今度こそはちゃんと連れてきますねー。」
連れてくるとはいえ、一体こいつはどれだけ親から小遣いもらってるんだ?
彼氏の分の交通費までおごってまで連れてくる気満々なぐらいだこれ…。
あ、でもおそらく次はないんだろうな…。
それまでにふられてるか、逃げられてるかだな。
そして逃げられないことはまだある…
「あの、私今日もお姉ちゃんのところに行きたいのですが…。」
やっぱりそれだ。
おそらく曜子は宿泊費など、持ってきてないのだろう。
もしくは「宿泊費ぐらいは、星子のところ行って浮かせてこればいい」とでも親から言われているのであろう。
さて、サキさんはここをどう切り抜けるつもりなのか?
「ああごめん。」
ああごめんって、ごめんだけで済まされるとこいつ他の興信所に切り替えるかもしれんのに…
「実はいろいろ調べたんだけどさ、あなたのお姉さん今海外留学しててさ、おそらく夏休みの間は帰ってこないみたいよ。」
「えーーーーーーーっ!!?」
「一応、それまでお風呂もないようなすごい古い部屋に住んでいたまではしっているけど、来月でそこも取り壊すことになってね。次のお部屋を決めないまま留学行っちゃったから、お姉さんは今住所不定なわけなのよ。」
曜子はすごくがっかりした顔をしていた。
まぁさすがに留学したといえば、さすがの曜子もおっては来れないだろう。
というか、どう考えてもあの曜子に激アマな親でも、これ以上交通費は出せないだろうし、本当うまい返し方をしてる。
「まぁお姉さんもさ、今回逃したら二度と留学のチャンスはないから、こうなっても仕方ない思うよ。」
「せっかく会いに来たのに…。」
「まぁこれからはお姉さんのことは遠くから応援しようよ。」
「でも…でも…」
出たーーーーー!!曜子のお得意なごねりよう…。
ここでまたうだうだしたらめんどいぞ…。
「曜子さんはもう立派な大人なのだしさ。」
とサキさんが言ったら、
「はい!私、大人の女です!お姉ちゃんのことは心から応援します!!」
すっげー単純!
そんなにも大人の女になったことが誇らしいのかよーーー!!?
これだから、処女卒業したての女は…
と言いたくもなる…
「今回はもう帰りなさい」
「えーせっかく東京に来たのに…。」
「泊まるとこないんでしょ?」
そうだ。私が留学中で東京にいないなら、もうこいつに東京の知り合いはいないはずだ。
「ここに泊まる!」
「!!!!?」
これを聞いて、ぞっとした。
おそらくサキもそうだろう。
なんて図々しい奴。
「無理ね!」
サキさんはきっぱり断った。
「どうしてもまだ東京にいるというなら、どこかホテルでも泊まってちょうだい。」
「え?宿泊費まで持ってきてないよ…。」
「だいたい、東京まで来て、ホテル代すら持ってきてないのは非常識でしかないの。ホテル代も出せれないなら、もう東京に来ることはお勧めできないわね。」
「そんな…」
私はさり気にサキさんにメールを送る
”多分こいつ、帰りの新幹線に押し込むことまでやらないと、まともに帰りそうもないよ。”
サキさんもメールに気付いて、それをサラッと読んだ。
「仕方ないなー」
え?ここに泊めるん?
それはまずい…そうなると私ずっとここにいることになるやん…。
「ちょっとそこから動かないでね。」
サキさんはどこかに電話した。
「あ、もしもし、ちょっとさお願いしたいことあるんだけど、今から二人でこれないかな?」
どうやら誰かをここに呼ぶらしい。
「うんうん、あだったら、一人しか無理なん?じゃあ一人でいいや。うんよろしくー。」
曜子をどうするつもりだろう。
「まぁさ、これでも飲んでちょっとここでまってて。
10分ぐらいしたころだろうか?
「どうした?」
「うんちょっとさ、この子に東京案内してほしいんだけどさ。だめかな?」
「え?そういう仕事?てか、めちゃかわいい子じゃん。どうしたのこのこ?」
どうも、サキさんが呼び出した相手は男性らしい。
「お褒めしていただいても何も出なくてよ。私こう見えても彼氏いますの。」
ああこれだから、処女卒業したばかりの女は…と情けなくなる…。
女ってなぜか、女になったとたんいっきに偉そうになるのだから、見てて痛々しいものある。
「まぁこのお兄さんさ、ここら辺詳しいからさ、案内してもらいなよー。」
「そうなんですか?」
「じゃあいこうか?」
「私、彼氏いるけどー、たまにはいいかー。」
「そうそう」
曜子はなんとか事務所を出て行った。
「はーーーーー、たぶんもういいわよ」
私もサキさんもぐったりしていた。
サキさんもあの曜子を相手にするのは本当に疲れたであろう。
「メールありがとね。確かにああいう子は家に帰すまで安心できないわ。」
そう、今までだって、東京に来て一泊もせずに帰ったことなど一度もないぐらいだ。
「大丈夫、あいつには「あの子を新幹線に乗せるだけ乗せて返すように」と言っておいたよ。」
「それって大丈夫なの?」
「ああよくやる手でさ、ギリギリになって自分だけ外に出てサヨナラってやるから」
なるほどね…
「ホントごめんなさいね。めんどくさい子で。」
「まぁしゃーないさ。ああいう面倒な依頼人なんてざらにいるから、後腐れなさそうな地方からきてる学生のバイトの子にああいうことをさせているんよ。」
「でもどうやって新幹線に乗せるの?」
「ああ、もうすでに相談料と一緒に帰りの新幹線代もいただいてるから、そんなことは気にしなくていいのー」
なんともまぁ
「こればっかりはこうでもしないとやっていられないのでねー。だから、料金はいくらいくらから~と提示してあるので、嘘は言ってはないでしょ?」
とはいえ…
帰ってからというものの…
「だまされたーーーーっ!!」
と下宿先より実家に帰るなり、曜子はその一声からはじまったらしい。
「ホンとはね。もっとゆっくり東京見物して帰ろうとしたんよ。でもねー。気が付いたらいきなり新幹線に乗せられて帰らされてたーーーー。」
とか言っていたらしい。
それも、あの後サキさんからの指示はあの人だけではなかったらしい。
「なんかね、事務所の人から紹介されたお兄さんが途中でトイレに行ったまま帰ってこなかったのね。そしたら、今度は人がよさそうな40代ぐらいのおばさんがいろいろ話を聞いてくれて、それならと言って東京駅まで連れていかれて。今度はたまたま途中まで一緒に行けれるからという理由で20代後半ぐらいのお姉さんが一緒に新幹線に乗ってくれるとのことで、一緒に乗るだけ乗ったんだけど、お姉さん自分のチケットを落としたとかで、拾いに行ったりき返ってこなくて、そのまま一人で新幹線で帰ってきたのね。もうさんざんだったよーーー。いったいどういうこと?」
というかなりめんどくさい方法を使ってまで曜子を返したそうだ。
まぁそれだったら、さすがの曜子も今回ばかりは深くかかわった人がいないため、あのお兄さんもそこまで執着されることはないであろうなと思った。
それも曜子を帰りの新幹線に放り込むまでの経緯に関わった人はみんな、あの探偵事務所のバイトの人たちらしい。見事なぐらいにリレーしていたとのこと。
というか、東京でたまたま親切な人が助けてくれるということなどまずないのだ。
次に曜子が東京に来た時には多分、ここまでうまくはいかないであろう。
でもまぁまず、真っ先に来るところはサキさんのところだろうけど、真っ先にあの事務所での宿泊を断ったので、さすがにあそこは頼らないであろう。
そして結局夏休みは、ずっと実家にいた曜子。
新学期、下宿先に帰った曜子に待ち受けていたことは…
久しぶりに彼氏の家のインターフォンを押すと…
珍しく、ドアが開いた。
「なに?あんただれ?」
開いたはいいが、出てきたのはまるでキャバ嬢みたいな派手に髪を染めて、派手なパーマをかけた下着姿の女が出てきた。
「あの…こちら哲平さんのお部屋ですよね?」
恐る恐る曜子はその派手な女に問いかけた。
「バカ言わないでよっ!ここは私のへやよぅ!」
「え?うそでしょ?」
「ああ、哲平はたまに来るだけよ。それが何?」
「…え?でも最初の挨拶の時、303号室と言っていたはずなのに…」
曜子はそこで固まるしかなかった。
「ああ、あんたすぐ下に住んでる子?」
「そうですが…。」
「あんたさ、少しは声のぼりゅうむ減らすことできないの?マジうるさくってしょうがないんだわその声!てかマジあんた喋んないで!!マジで耳障り!!」
「え?そんな…」
「あんまりにもうるさいから、一回哲平があんたに苦情言いに行ったはずだけど、それからも全然改善してもらえなくてさ、マジ困ってるのだけど?マジ静かにしてくれない?」
「じゃああの時は…。」
「もうさ精神的に参った時期もあって、私一週間ぐらい友達のところに厄介になってた時もあったのね。
」
「…え?曜子ぜんぜん普通に喋っているだけで、大声出してないですけど……。」
「あのさ、あんた自覚ないかもだけど、あんたが普通に喋っているつもりかもしれないけど、あんたの声はあんたが思っているよりも目立っていて耳障りなわけ!
あんたさ、こういう集合住宅に住むとか向いてないから、出てってくれない!?」
「それは…」
「あんたがここに来てから、哲平がここに来なくなってしまったしさ、ここのオーナーに苦情いっても子、あんたの部屋はなぜかオーナーの管轄外になっているので、注意すらできないとのことでさ。ホント私以外の住民もあんたのうるささには困ってるんだよ!」
「……。」
「もう出てってくれない!?」
「あなたは哲平さんのなんなのですか?」
「は?あんたこそ哲平の何?」
「え?私、哲平さんの彼女ですけど…」
恐る恐る曜子が言うと
「は?哲平の女だって!?」
「え?」
「あいつーーー!やっぱり私以外にも女いたんかよーーーっ!!」
「…あ、あの…?あなたは…?」
「あ?私?哲平の彼女だけど何か?」
「嘘…。」
結局、曜子はただ単に弄ばれていただけだったのであった。
それもその哲平とは…かつて私とも関係があった能丸哲平のことであった。
それもそのもう一人の彼女曰く、曜子の喘ぎ声はマンション中に響き渡っていたとのこと。
結局、曜子はそのマンションを出て行った。
曜子はしばらくまたおとなしくなるのであった。
そうこれは…新学期始まってすぐ…
「星子ーーーーー!曜子ちゃんふられちゃったらしいのよーーー。
それも、もうあのマンションはうちに不動産から手放すことになってしまうしーーー。」
と母からの泣き言電話が、かかってきてそれを長いことずーーーっと聞いていたのでした…。
電話料金もったいなくねぇか?と思いつつ、曜子のことはまた、いつ「東京に来る」とかいって発動するか判らないので、念入りにチェックだけで聞いていたのであった。




