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キンキン女の対抗心

リキの家出から数か月した夏…


私はある人から呼び出されていた。


「さて…私がいない間に子どもを産んだってホントなの⁉」


サキさんだ。

そう、この人は本当にしばらく会ってなかったので、少し前まで私が子どもを産んだいうことを知らない。


「それも、その子だけはなぜか月城姓を名乗っていることじゃないの?それ、どういうこと?」


確かに、今まで見ている限りでは月城の血を引く子で月城姓を名乗っているのは、私が産んだ三緑以外にいない。


「私たち兄弟で、月城を名乗っている子は誰一人としていないのになぜ?っていうことが、あの屋敷内で疑問になっているのよ。」


「…」


「二央も何も言わないけど、あの子もあの子で、かなり気にはしてると思うのよ。」


まぁ、その二央本人が三緑の父親で裏を知ってるから、そのことに関してはそこまで強くは言えない状態でもある。

まぁそこを考えると三録は何者かということを知っているのは、私と二央と月城以外(多分知ってても小野坂さんぐらいかな)は知らない。

他の人の目線からして考えると、どう考えても状況的に三緑は月城の子にしか見えない。

今はなんとか仲は修復できているユキですら、すべて完全に元通りにはなってないとは思う。


私はただ…



「ごめんなさい…」



というしかなかった。


まぁどちらにしてもサキさんの耳に三録の情報は入るだろうとは思っていたから、これは仕方ない。


でも


「結局、あいつの子を産んでしまったのね…。あなたも…。」


「それは違います!」


そう本当にそれは違う。

それだけは否定しておきたかった。


まぁ言い訳としては…


「三録には月城家特有のあざはありません。」


「え?」



「なんなら、三録を連れてきて見せてもかまいません。」


「マジなの…?」


そうです。三録は奇跡的に新月の子。見せたところで他人の子と同じく月型のあざなどない。


「んーーーーー」


サキはすごく考え込んでいた。


「でもそれだと、なんで月城がわざわざ自分と同じ姓にしたかなのよねー。

あいつ、今まで絶対に自分と同じ姓を子どもに名乗らせなかったのよねー。」


ほんとそれだ。


三緑が産まれてからというものの…


月城の館内では私への視線はホント痛いものある。


特にメイドたち。


アキとフキはもうあからさまなぐらい扱いがひどかった。

今まで通り私にまともに接しているメイドは、ユキとキキと小夜と朝美ぐらいなものだった。

あと変わってないといえばララさん。ただあの人は、ここに来た時から、誰に対してもずっとぶっきらぼうだったので、特に変わりはないぐらい。そんなわけで話しかけづらいにはちがいない。


ただ、メイドたちは私が自分たちより階級が上の立場ゆえに、そこまで攻撃はしてこない。



「ごめんなさい…」


「そう何度も謝るだけ謝られても、私たちは何も納得できないの。判る?」


「それは私の都合で、月城さんにわがまま言ってしまったんです。」


「どういうこと?」


「月城家の子たちってみんな、母親の名前を名乗らされているではないですかー。」


「あーそうだけど。それが何?」


「別にそのルール通り、私の名字を名乗らせてもよかったのですが、私の名字全国に3軒しかないぐらい珍しい苗字なのですね。

だからもし、そんな名前を子どもに名乗らせたら、即私の一族の子であることがバレるわけですよ。そんなことになったら、うちの実家から、あの子のことは永遠に守ることは難しくなるから、月城さんに「この子は私の名字を名乗らせないで」とお願いしたら、ああなってしまって…。」


「そういうことだったの!?」


「そうなんです。それも生まれた直後に既に籍を入れられてしまって、私もどうすることもできなかったのです。」


「まぁ家はなぜか、中絶は選択肢として認めない家だから…産むことは避けられないとするなら…。そうなってもおかしくはないのだけど…おかしいのは何で月城の籍に入れたかなのよねー…。」


「私だってホントはどうせなら、中川とか小川とかありふれた名前を希望したかったのですよ。でもその希望を聞いてくれる暇もなく勝手に決められただけなので、何とも言えないんですよ。」


「じゃあ、それを考えるとホントその場の思い付きなわけ?」


「それもよくわかりません。正直、サキさんを三録の戸籍上の母に指名したかったぐらいですよ。」



「ホントにそれ本心?」


「はい。ホントにいきなり決められて、私が我儘言ってしまった問題だったし、かといってそれ以上、月城さんに私から我儘を言うこともできないわけで…。


この件に関して疑問あるなら月城さん本人直に聞いてほしいぐらいです。」


「なるほどね」


多分だけど、今までの月城の子を産んだ女たちは、私みたいな事情を抱えてなかっただけだろう。だから、月城もこれまで通りに子供に母親の姓を名乗らせていたのだろう。


「まぁそういうことか…。」


それにしても…


「いったい誰から、私が子どもを産んだことを知ったのですか?」


「まぁ屋敷内のことだからどちらにせよバレるから言えるけどさ、アキ姉とフキ姉が血相変えて、いきなり来たわけよね。「私たちを差し置いてー!」とか言ってヒスってた。」


ああやっぱり…。


「で何よりもびっくりしたのがさ、リキの様子がすっかり変わってたけど、あの子は大丈夫なの?」


「いや…大丈夫ではないですね。」


「口調だけは一応今まで通りだったんだけど、化粧もしてたし、外見がすっかりギャル化していて、どうしちゃったんだろうと思ってねー。」


「多分、私のせいです…。」


「だろうねー。」


「多分、あの子は私が月城の子を身ごもったと誤解しているんだと思います。」



「そうだ。さっきからそのことだけは否定してるけど、それホントなの?」


「そればかりは事実ですよ。」


「んーーーー。だったらそれをはっきり本人にそれいってみたら?

あの子も人前で堂々と女宣言してきたんでしょ?だったら大丈夫だと思うけどなー。」


「残念だけど、それ以前にはっきり言ったところで信じてもらえないのですよねー。」


それどころか、リキは自分の思い込みだけで、なーんも話を聞いてくれもしない。

それに最近のリキはメイドの仕事なんかまったくしなくなっていて、まともに家に帰ることも少なくなってきていた。まぁあの子は元々親からの援助があったので、メイドなんかしなくても生きてはいけるし、実はリキの身分は裏ではA´ランクとされていたことを、月城があの後発表したので誰もリキに文句を言うものはいなかったわけで。


「んーそれを考えると、あの子もまだ精神的に子どもか…。」


「だから、ホントの事実を伝えてしまうとあれ以上に暴走しそうで、私も責任取れないというか…。」



とファミレスでしゃべっていた時だった。



「誰が子どもだって?」



聞きなれたハスキーボイスが聞こえた。


横をちらりと見るとリキが仁王立ちしていた…。

それも今回はギャル化粧はしてなく、スッピンのリキがそこにいた。

仁王立ちしてる割には、なぜか顔色が悪かった。


リキの方もまた、一週間ぶりに見る顔だった。



「話してもらおうじゃない。私、大人よ。」



顔色が悪いという違和感はあったが、リキはすごく自信に満ちた顔だった。


「え?えーっと…。」



リキは先を奥においやって、私の正面にドスンと座った。

一瞬、なんか痛そうな顔をしたが、まぁあれだけ勢いよく座ればそれも当然だろう。



「どうしても、私には話せないというの?」


「…。」


「じゃあ私から先にはっきり言うわね?」


なにをいうんでしょ?


「私、妊娠したの!」


「えーーーーーーーっ!!?」


妊娠したって…高校卒業までにあと半年以上もあるというのに…あんたどうするの?


と突っ込みたかったが、それを突っ込む前に…すかさず…


「それでね。3日前にそれ、おろしてきたの!」


「はーーーーーーーっ!!?」


どおりで顔色が悪いわけだ。


いくら周りがやかましいファミレスとはいえ、私とサキさんの掛け声はリキの爆弾宣言よりか目立っていた。というか、リキのその爆弾宣言も下手したら聞かれていたかもしれない。


「だから私、大人なの!これで対等よね!?だから話して!」


どういうこと?


「ちょっと!りき!あんたなんてこと!?」


「あなたたちは私が子どもだから、隠し事ばかりしてるのよね?」


「え?」


「だから、私も大人になったわけ。」


リキは私たちを見下すかのごとく、自信たっぷりに大人宣言していた。



「さすがに場所を移そう…。」


さすがに、私もサキさんもリキのことをその場でひっぱたきたくなったが…。

それをおさえてファミレスを出た。





私たちは探偵事務所に来ていた…


「いったい誰の子なの…?」


これ、さっき私にも言っていたことだ…。


「わかんない。もう二桁ぐらい候補者はいるんじゃないかなー?」


二桁って…?さすがに私でも一桁だ…。



「どうしてそんなことまでして…。」


「そこまでしないと、何も話してくれなかったから…。」


つまり・・・


リキちゃんは私たちが自分に隠し事ばかりしていることが許せなかったわけで…。

それが原因で早々に女になったわけで…。


で、女になったというのに、誰も自分と対等に話してくれなかったから…

今度は無理やり妊娠までして、その上堕胎までして自分が大人という主張をしているわけ…?


確かに隠し事ばかりしていた私たちも悪い。

だがしかし、この月城家の事情は子供に話すのは重過ぎることばかりだ。


「もう、大人の事情はすべて知っちゃったから、いいよね?」


全然よくない。この子、大人の世界なめてる。


と思った瞬間。



”バッシーーーーーーン!!!”



というすごい音がした。

サキがリキをひっぱたいたのだった。

リキの顔は思いっきり吹っ飛んでいったぐらいだった。



「いったいわねーーーっ!なにするのよっ!!?」



リキはすぐに起き上がって反発したが、サキはリキの胸座掴んで、


「たったそれだけで大人になったと思うなっ!!

お前は大人の世界をなめとるんかっ!!!?いいかげんにしろよっ!!」


「ちょっと、サキさん…。」


「何が大人だよっ!!?お前なんか悪ぶっただけのクソガキのくせにっ!!

偉そうに大人騙ってるんじゃねぇよっ!!!」


ああもうめちゃくちゃだ…。


「「自分が大人だ!」っていう主張はな!!真っ当に子供を卒業してから、それいえやっ!!

今のお前にはそれを言えるほどの器量はないっ!」


おそらくリキは、身体だけが大人になったからと言っても、やっぱり精神的には成長はしてないであろう。いくら18歳になったとはいえ、女になったとはいえ、月城家の真実を告げるにはまだつらいだろう。


私だって、月城家の真実を知った時は吐き毛がしたぐらいなのだから。


「ちょっとばかり男を知ったぐらいのことで、大人になった気になるな!

もっといろんなことを学んで、出直して来い!!」



ほんとにそれだ。



リキはすごい勢いでサキさんに切れられて、泣きながら探偵事務所を出て行った。



ホントなんだったんだろう?



そしてまだ続いて…



リキと入れ違いで来たものがいた。



それは…


「すみませーん。以前にこちらを利用しました琴金と申すものですが…。」


琴金だって!?このキンキン声は曜子だ。

インターフォンが鳴ってすぐの挨拶がそれだった。



サキさんも不本意ながら「私の部屋に逃げて」と合図をしてきたので、私は急いでサキさんの部屋へ逃げた。



「はーい。どうぞ。」


仕事ゆえに仕方ない。


曜子が入ってきた。


聞いた話によれば、ここでは離せないようなとんでもない目に遭った割には、すごく回復してないか?



「すごい久しぶりですねー。」


「はい、半年ぶりの東京です。」


「いやーまた、おきれいになられてびっくりしましたよー。」


「えへへ。判りますかー?」


「なんか、いいことあったんですか?」



「はいー。実は今月ようやく私にも、人生初の彼氏ができてー。もうーーー超幸せーーーーっ!」


なんとーーー!


こんな奴にも彼氏かーーーーーっ!!?すっごいものずきーーーー!!


「でね。これでお姉ちゃんと対等になれたのでー。久しぶりにお姉ちゃんに会いに来たわけですーーー。」


なんだってーーーーー!!?


いったいどいつもこいつもなんでみんな私にそれを対抗するわけだよ!!?

もういい加減にしてほしかった…。

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