イジメとケンカとコイバナと…
目の前の少女たちのケンカ…
さすがに私でもここまで派手なケンカをしたことなどはない…
それでも目の前はカオスな戦場となっている。
妊婦の私には、到底その件かなど泊められるわけもない…。
とりあえず、手持ちの携帯であるところにこっそり電話してみた…。
「はい、河立中学です。」
「…あのおたくの学校の生徒さんがケンカしてます…。」
「え?」
それに気づいた一人の少女が、
「あー!チクるんじゃねぇよ!!」
「そうよっ!卑怯よ!!」
というから、電源つけたまま、
「うるせぇ!!黙れてるみーーーー!!!」
と大声で受話器越しに叫んでやった!
これでケンカしている本人はてるみいうことを学校側にバレたわけだ。
てるみという名前、よくありそうでなさそうな名前だ。
「何してくれるんだよっ!名前いううんじゃねぇよっ!!」
そして中学生だから、間抜けにも名字だけは名札が付いていたので、
「原高てるみーーーーっ!!っていうのかーーー!?おまえーーー!!!?」
もう見事にフルネームで大声で叫んでやった。
「はらだかてるみーーー!!!」
「やめてーーーーーーっ!!!」
「絶対やめないっ!!原高てるみがーいじめの主犯格でーーーす!!」
「違うわよっ!!主犯は私じゃなーーーい!!野々花よーーーっ!!」
とてるみが指をさした少女の名札をチャックすると…岸永…
「へーーーっ!先生聞いてますーー?主犯は岸永野々花だそーです!」
これまた、大声で叫んだ。
「てかいいかげん、電源切りなさいよっ!!」
「はらだかてるみーーー。きしながののかーーー。名前不明で名字があおやまー、さかもとーーー、くろきーーは、一人の女の子をーよってたかってイジメてましたーーーー。」
「やめてよーーーーっ!!」
「私は善良な市民でーす!こいつらの内申点は下げてくれないとー、一善良な市民としてー、超不安でーす!!学校の方で厳罰に処置してくださいー。」
と調子ぶっこいて、いつのまにかどこかに落としたと思われる携帯に向かって叫んでいた時だった。
「あぶないっ!!」
いつの間にか、坂本という苗字の子が私の腹に向かってけりを入れようとしていたのだった。
さすがに私はこの時びっくりした。
同じ女で、妊婦相手に物理的な攻撃をしてくるなんて、信じられなかった…
確かに今の私の最大の弱点は身重であること…
そんな私への攻撃はやっぱり腹に限る…
中学生女子の考える事ってやっぱりえげつない…
私はこの時…
どちらにしても望まれてもなく生まれる子…やっぱり…こういうさだめなのかな…
と何もかも諦めた瞬間だった。
ユキがすかさず横から、坂本にタックルを入れてくれたおかげで、なんとか最悪な事態は逃れた。
ユキの方はといえば、坂本がクッションになって覆いかぶさった状態で、二人で一緒に倒れていた。
「ユキ…大丈夫?」
ユキはなんとか起き上がったが、坂本にまたがったままの体制は崩さなかった。
そして、坂本に一発ビンタをお見舞いしていた。
「坂本さん!あんたね!妊婦の腹に蹴りを入れるなんて、人殺しだってわからないのっ!!」
ユキまで、大声で坂本の名前を出した挙句、人殺し呼ばわり発言はナイスだった。
「うわーーーーーーっん。」
坂本はその場で、ギャン泣きしてしまった…。
ホントは早いとこ先生とかをここで呼び出すという手もあったが、どっちにしても先生という生き物では、ろくな処置はできないであろう…。
「あの…もしもし…場所はいったいどこで…?」
どこからか、そんなような声の雑音は聞こえては来ている…
一応、まだ学校にはつながってはいるようだ。
一応、携帯落としただいたいの方向は判ったが…
「んで?話を聞こうか?」
「…」
「なんであんたなんかに!?」
「じゃあ、このまま電話の電源消さないけどいい?」
「…あ…。」
「…うっ」
ようやく、おとなしくなった。
「で?なんで、うちのユキの事売ろうとしたわけ?」
ホントそれは許せない…。
私もかつて、亮子から勝手に売られたことがある…。
それも今のユキと同じ年の中3の時だ。
亮子が私を売った理由は、自分の中絶費用を稼ぐためだという事を後から聞いて驚いたが、
まさか…
「…」
「…」
「…」
誰も口を割ろうとはしない。
「…まさか…あなたたちの誰かが妊娠してるとか…?」
「はぁ!?なんでそうなるんだよっ!!?」
「他人のことを売ってまで、稼ぐ必要があるとするなら、中絶費用か?と思ってそれ聞いたまでだけど?」
まぁ見たところ、どの子も経験なさげな子ばかりだと予想。
「そんなんじゃないよっ!この子がてるみが好きな清原君のことを取るからだよっ!」
「ちょっと!秋穂!それ言わないでよっ!!」
さっきから、ずっとてるみを売ってる少女は青山秋穂という名前らしい。
「ううん、清原君だけじゃない。小川さん。他にもいろんな男子から、モテててね。私たち以外にもいろんな女の子から、反感買われているのよね…。」
どうもこの中で冷静に話してくれそうなのは、青山さんだけか…
「実は私も去年のバレンタインの時に「俺、ブスは嫌いなんでーw」とか言われてふられてね。」
「え?秋穂そんなことあったの?」
「まぁあの時の反動で、このグループに入ったのね。そいつが狙っているのが小川さんだと聞いて。」
うわー、ブスが嫌いとか、中学生男子にはホントありがちな本音だが、それを口にまで出す奴がいるなんて、それは許せない…。
「でも、冷静に考えれば、そんな男こっちから願い下げよね…。だから、私はもういいや。」
「えーーー!お前裏切るんかよーーー!!?マジムカつくんだけどーーー!!」
「すまん、いじめ向いてないわ。私…」
ここで青山は、すごいことにこのグループを脱退した。
まぁ穏便にはいかないだろうけど、この子は何となくだがイジメられずにはすむ子な気はしている。見ている限り、いろんな意味で柔軟性があるし要領がいい。
「で?青山さんは告ったみたいだけど、他のあなたたちはどうなの?」
とりあえず、聞いてみることにした
「……………い…。」
「ん?」
「そんなことできるわけないじゃないっ!!」
らしい…。
まぁ確かに気持ちは判る…
告白なんてものそう簡単にできるものではないと思っている。
「じゃあ、ここにいる全員まだ告白もしたことがないわけ?」
「するわけないじゃない!!」
他の4人は口をそろえていった。
「なんで?」
「そんなこと恥ずかしくて言えないっ!」by岸永
「ふられるのが怖いし…」by黒木
「実は特に好きな人がいないので…。」By坂本
というのが答えだった…。
ちなみに坂本さんに限って話を聞いたところ、ユキに対して恋愛面ではなく、学校の成績が原因で嫉妬していたらしい。夏休み明けテストでユキに順位を抜かされたことを知ってむしゃくしゃしていたそうだ。
でもそればっかりは…
「誰もあなたの代わりに試験を受けてはくれないのだから、そこは自分で頑張るしかないのでは?」
としか言えなかった。
ただでさえ、ずっと泣いていた坂本はもう、話し合いの最中はずっと泣いてばかりだった。
問題は…
「イヤよ!自分から告るなんて!そんなの私のプライドが許せないわっ!!私は向こうから告らせたいのっ!」byてるみ
残る3人だった。
特にてるみだ。
言い分的に我儘すぎる。
なんだーこいつら結局、全員処女かよー?
まぁ処女だからって、見下す気はさっぱりない。
むしろ処女であることが羨ましいとさえ思う。
ここまで純真に男を思うことができて、こんなに純粋な恋愛ができること事態が、私にはなかったから…。
多分、私もあんなひどい家庭環境じゃなくて、この子たちみたいに普通の家庭で純粋に育ったら、普通に同い年の男子に片思いして、普通にモテる子に嫉妬して、普通に告白するのを渋りまくってなかわいい恋愛ができていたと思うとホント嫉妬で狂いそうだ。
だから、こいつら何わがまま言ってるんだろ?とさえ思う。
正直、改心したとはいえ、きちんと筋を通した青山さんにすら、やっぱり嫉妬してしまう。
「ユキ…。あなたはどうなの?」
「え?」
まぁ一応、ユキも関係なくはない話だ。
てるみの好きな相手である清原から告白されたのはユキだから…。
「告白されてどうしたわけ?」
「断った…。」
「じゃあ清原ってこの子とは正直どう思うの?」
「いや…人間的にはいい奴だとは思うけど…付き合うことは考えられないかな…」
なるほど、人間的にいい奴ね。
つまりはいい人どまりな存在なわけで…別にユキ目線は、てるみと清原が付き合っても問題はないということだ。
なら、
「だってよ。てるみさん…。」
「…」
「あとはあなたのプライドとやらだけの問題みたいよ…。」
「だーかーらー!イヤだって言ってるでしょっ!」
「じゃあ、プライド捨てるのがイヤなら、あなた何か努力してる?」
「努力って…」
「男に振り向いてもらう努力よ!!」
そう、プライドがあって自分から告るのがイヤなら、努力しろってこと!
これだから、プライドばっかり高くて実力がない奴は嫌いだ!
まぁ元から実力はないにしても、ないなりにそれに見合うように努力しろだ!
まずそこまでやってみてそれから自分のブライドある主張が言えるものだ!
「そんなもの無理に決まってるじゃない!!」
「なんでよ?」
「無理よ!校則厳しいし、隙を見て少しでも違反しようものなら、内心を盾にしてくるし…」
まぁそこはな…。現実どこの中学校も校則はそれなりに厳しい。
でも以西からのモテ方は、外見だけではない思う。
あのブスの亮子が万年モテてるのだから…それだけは言える…。
まぁ私もいまだにあの亮子がモテてる理由がホント理解できないけどね…。
「じゃあ、積極的に話しかければいいじゃない。」
「イヤよ!緊張して喋れないし、下手なこと言って嫌われたくないもの…。」
まぁそれも判るかもな。
私だって、嫌われたくない相手に対しては緊張するし、下手なことは言えない思う。
「私もね。小学生の時、美香ちゃんっていう子が転校生のイケメンくんに話しかけて、そのイケメンくんから嫌われて、いじめられるようになったの見て、怖くてそんなことできないわ…」
と岸永さんまでが同調してきた。
まぁそんなところだろうな…
「とにかく!無理なもんは無理なの!判った!!?」
どちらにしてもさっきから無理無理無理の連発だ…。
さすがにもう限界だ。
それに…本題はそれではない!!
正直な話、こいつらの恋愛沙汰はどうでもいい!
「で?あんたたちの恋愛が無理だからって!いう理由で、ユキに当たり散らすのやめてくれないかな!?」
そう本題はこれだ!
「ユキだって、あんたの好きな男の誘いからは断ったんだから、それでいいじゃないか?もう、ユキには関係なくない!?それともユキがそいつと無理にでも付き合えばよかった?」
「イヤに決まってるじゃないそんなの!!」
「じゃあさ、断ってもダメ、付き合ってもダメで、あんたはユキにどうしてほしかったの!!?」
と聞いてみた…
そしたら…
「…………った…」
「え?」
聞こえなかった…。
「死んでほしかった!こんな奴の存在そのものが許せないのよっ!!」
どうやら自分の好きな男は全部自分で独り占めしたい。
恋する乙女にあるまじき欲望であった。
「だいたい人の恋愛をなんだと思ってるのよっ!!あんたは!!?バカにしてるの!!?」
うん、バカにしてるw
と言いたかったw
でも、ここは…
「だいたい、自分のプライドが邪魔をして告白すらできない恋愛なんて、本気じゃないんじゃない?とは思ってるわね。」
「なんですってーーーっ!!絶対に許せないーーーーっ!!」
てるみは私に詰め寄って胸座掴んできそうな勢いで、こっちに近づいてきた。
私も、てるみの顔が私に近づいてきたそれに便乗して、そのままてるみの顔を思いっきりつかんで、てるみとキスをした。
「お…」
「……」
それをみた、ユキをはじめとする恋する乙女たちは目ん玉品向いてそれを黙ってみていた。
「…ん……んーん…」
てるみはすごい勢いで離れようとしているけど、私は簡単には離さなかった…。
もう、そのまま見せつけるかのように、恋愛未経験な処女たちに舌まで絡ませてまで濃厚なキスを見せつけてやった。
そして…
「…ハッ……」
私はいきなりてるみを突き放した。
「なにするのよっ!!」
「そうです。あんまりです。」
「よくも…私のファーストキスを…。」
まぁかけだったがやっぱりてるみは処女だったらしい…。
「あなたね。こうしているうちにユキ以外の誰かが、その男を奪ってることだってあるのよ。それかんがえたことある?」
「え?」
「今だって、あなたファーストキスだとか言ってたわよね?」
「そうよ!ずっと、初めては好きな人とと考えていたのよ!!それをあなたがっ!!」
「私に奪われて悔しかった?」
「そうよっ!!」
「だったらなんで、行動しないの!?初めてが好きな人がいいなら、サッサと告白してキスぐらいしてこればいいじゃない!!」
「え?」
「こんなふうに、いつ何があるか人生判らないのよ。」
そう、私の初めてだって、別に好きな相手ではなかった…。
私は彼女たちにそれを判らせたかった。
他人のことをいじめてる暇あるなら、もっと自分のことで有意義な時間を使えと言いたかった。
ホントそれをやらない奴はこの世には腐るほどいる。
それははっきり言って迷惑でしかないのだ。
その後、彼女たちは各自、自分の好きな相手に全員告ってきたらしい。
でも全員ふられたとのこと…
中でもてるみは告った直後にキスまでしてしまったらしく、ふられてしまったらしい。そしてそれでもあきらめきれず、一度だけデートをしてくれることをねだったらしく、一応その願望だけは叶ったらしい。で、最初で最後なデートなので、初体験まで自分から誘ったらしいが、さすがに逃げられたとのこと…
おまけにてるみは学校中にすごい淫乱女だといううわさがたってしまった挙句に…誰の子か判らない子を妊娠したというのはのちの話…。
ああ。あそこまでプライド云々言っていたてるみがまさかここまで落ちるとは思わなかった…。
まぁいうまでもなく、ユキへのいじめはなくなったので、私的には結果オーライということだ。
この事件を機に私とユキのきずなは深まった…。
ただ…
「まさか、あそこで女の子とキスするとは思わなかった…」
とユキに若干ひかれてしまったが。
身重の身で、あそこまで体を張ってまでも自分のいじめ問題を解決したことで信頼は取り戻せた。
「あと、もう二度とああ言う場でタックルして助けられるかどうかは判らないので、気を付けてね。」
まぁ自分も望んではない妊娠だったからとはいえ、半ば子供をあきらめる覚悟で臨んだもめごとだったが、ホントすべてが無事に終わってよかった。




