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キンキン逃げるよ。逃亡中。

「えーーーっ!?」


「うん、心配かけてしまってごめん。一応、住めるところは見つかったんだ。」


「それはよかったですね…。」


何か微妙な空気が流れている。


まぁ私も私で、日比野には都合のいいことばかり利用しているので、ここまでさらっと流してはいけない気もする。


「なんか…ほんとにごめんね…。」


ひたすら謝るしかなかった。


「ホントですよ…。」


ひびのでもやっぱり怒ってるいるというのがめずらしく表情に出ていた。



「星子さんは私のこといったい何だと思っているのですか?」



いや正直、上っ面はなぜか恋人であり、実は大嫌いだと思っているのだが、そんなことは言えないでいる普通じゃ考えられない存在である。


「…」


こんな気持ちなど、絶対に言えるわけがない。

でも、私をこんな気持ちまでに追い込んだのは日比野だ。

それも付き合い始めて10分以内のうちに…。


「じゃあさ、そういう日比野は私のことどう思ってるわけ?」


と質問に質問で返してみた。


ホントこれだ。


私もこんな開き直った感じで、今まで日比野と付き合ってきたが、今まで日比野の本心など聞いたことがない。

付き合い始めた時に「大嫌いでした」とまで言われ、「僕から好きになってもらえるように努力してください」だのめちゃくちゃな本音は聞いたことならあるが、それ以外に日比野の気持ちなど、あれから一度も聞いたことがなかった。


そんな時だった。


私はいきなり、日比野から初めてキスされてしまった。


「!!!!?」






なんで?


こうなってしまったんだろ?



「いいかげん目を覚ましてくださいよ。」



日比野の家から出て行って、これで日比野とは別れようとしていたというのに、私は日比野に抱かれてしまった。


まさか、日比野とまでこうなるとは思わなかった…。


本当にこうなる前に別れる予定でいた。



なんで、私は毎回好きでもない男と関係を持ってしまうんだろ?


相手の気持ちなどどうでもいいから、たった一夜の関係で弄ばれていたとしてもいいから、


せめて


自分が心から好きだと思えた相手に抱かれてみたい。


という気持ちはある…が毎回それがかなわないのだ。



それも毎回、突然にこうなってしまう…。


「あんまり男をなめない方がいいですよ。」


日比野の言う通り、確かに今までさんざん一緒に寝泊まりしてきて、なーんもなかったという状態で、このままその生活が続くとは思っていた。


私の考えは甘すぎた。


「ご、ごめんなさい…。」



私は昨日から、日比野に謝り倒すしかなかった。

それぐらいに何も考えられない状態だった。



「いいんですよ。それより、朝食食べません?星子さんほどうまくないですが、今回は僕が作りますよ。」


日比野が作ってくれたのは…





カップラーメンだった…。





朝っぱらからカップラーメン…。


いいんだけどさ…

作ってくれるだけありがたいから…



だから…



「……ありがとう…」


とお礼だけは言った。




「本当に出ていくのですか?」


「うん。」


不本意だったけど、日比野と一緒に住むと決めてここに来たが、実質上まだ一回しか泊まっていない。

まぁ冬休みの間は、大黒とともにさんざんここで過ごして泊まりまくってはいたが、一応ここに住むと覚悟を決めてからは一回しか泊まっていない。


「まぁ、学校指定の下宿先で決まりが厳しかったから、追い出されたのはだいたい察しはつきました。」


大黒とは違って、あまり深追いしてこないところは日比野のいいところだと思った。


「で、どこに決まったんですか?」


次の瞬間これだ…。

結局こいつも大黒と同類かよっ!!

やっぱり能丸みたいに後腐れなくうまいことあしらってくれる男は滅多にいないのは現実らしい。


がっくり肩を落としそうになったが、ここは落としている場合ではないのですかさず、


「あ、うん。サークルの先輩の部屋、もうすぐ卒業だからもう使ってもいいって言ってて。まぁ落ち着いたら連絡するよ。」


と適当な理由をつけて言い切った。


「そうなんですね。わかりました。」


こうして私は日比野の部屋から出ていくことになった。


がおそらく、ここで日比野が「わかりました」と素直に聞く事はまずないかもしれないと思った。

荷物も一応大型キャリーとリュックと大きな手提げかばんに入る程度のものがある。

案の定、日比野から荷物持ち手伝うとか言われたが断った。


次の移動先である新住居まで着けられて、居場所が知れてしまうのは絶対にあってはならないことだからだ。もし、新住居を知られたら、またあの曜子に新生活を邪魔されかねないから、誰にも知られてはならないのだ。そもそも日比野は、今まで私がどこに下宿していたことさえも私は教えてなかったりするのだ。


一応、玄関先で別れたが、なんかそれでも誰かにまだ見られている気がしてならないのだ。



あと10歩進んだら後ろを振り返ろう…。

そこで何かあったら、そこからまた考えよう…。


10,9,8,7,6,5,4,3,2、1…



ばっと後ろを見た多とたん。


看板の陰になんか隠れた気がした。



やっぱりつけられていた…。


まぁこれが日々野だったら、まだ話せばわかるかもしれないが、これが最悪曜子だった場合は…マジでどうにもならないのだ。


なるほど、なんで曜子が今まで私の居所が簡単に割れてしまうと思っていたら、こういう事かよ。

あいつはいつでも私の後をつけていたのだ。ということになる。


まぁ相手が誰であろうと、今度こそは何が何でも逃げ切らないとまた面倒なことになる…。


どうしよう…


こんなに荷物を持っているとなると簡単には逃げきれない。


一応駅まで行って、そこからタクシー使おうと思ったが、駅前はやっぱりタクシーがたくさんともっているから、相手もある程度金持ってるなら、タクシー同士で後をつけられることになる。



そうなると…。



私は角を曲がったとたん、少しは無理はあるものの猛ダッシュでまた次の角をすぐ曲がって大通りに出た。


よし、もしここで運よくタクシーを捕まえることができたら儲けものだ。


と思ったのだ…。


まぁうまいこと大通りに出れたのだが、やっぱりタクシーは簡単にはつかまらなかった。


すごい絶望していたが…そんな時だった…。



「白土さーーーん」



真っ赤な車の助手席から、話しかけてきたのは



「どうしたの?まさかその荷物…実家に帰るとか??」


影山満里奈だった。


ここはちょっと図々しいかもしれないけど、


「影山さん。ちょっと途中まででもいいから、私も乗せてくれたたらありがたいんだけど…ダメかな?」


「え?ちょ、まって?諸田先輩、彼女もいいですか?」


どうやら先輩の車だったらしい。

影山さんは先輩に頼み込んでいた。


「すみません。次の行き先まででもいいので、同乗させていただけないでしょうか?」


私もお願いしてみた。そして小声で…


「実はつけられてる感じするので…お願いできないですか?」


といってみた。



そしたら、先輩は「いいよ」と言わんばかりの合図を出してくれた。


ただ…


「すごくいい車乗ってますねー。」


「でしょー。私もすごい思てるのよー」


「やっぱり赤の新車ってかっこいいー」


と少しちょっとした世間話をしないと怪しまれると思ったので、そのふりをしていた。


「ちょっと中も見せてもらってもいい?」


「うん、みてみてー。」


「わぁすてきー」


私は後部座席に手提げバックだけ持って乗り込んでみた。


「座り心地も最高でしょ?」


「うん、カバーもすごくセンスいいですねー。」


「これ、お姉のじまんのくるまでさー。」


と影山さんが言ったとたん。満里奈はキャリーケースを車の中にいきなり入れてきて、後部座席のドアを閉めて、自分も素早く助手席に座って、そのまま車はを発進させてなんとか難を逃れた。


すこし振り返ると、やっぱり私をつけてきたものの影が車を追うように走っていた。

もう遠くなっていて誰だか見えなかったが、もうこの際まくことさえできればどうでもよかった。



「ありがとうございます。」


私はとにかくお礼を言った。


「てか、ホントにいたとはね…。」


「え?顔とか見えてたの?」


「ううん、よく見えなかった。」


「まぁ、一応事情は判ったら、もう送ってってあげるよ。」


諸田先輩はいい人だった。


「あの、もう一つお願いいいですか?」


私は厚かましいかと思ったけど、二人にはどうしてももう一つお願いがあった。


「私の居場所を誰にも言わないでほしいんですが…。」


といったら、


「当然よ。」


二人は同時にきっぱり約束してくれた。



ホントにありがたい。





私は、この二人のおかげで無事に引っ越し先までたどり着いた。


一応、ここでなんとか落ち着きそうではあるが、あと一年と少しはまだ学校へ通わないといけない。

問題はこれから一年、どうやってここから学校に通うかである。行きはいいが、帰りはどうやって今日みたいに帰ろう?とそんなことばかり考えながらも、月城のお屋敷についた。



「お待ちしていました。こちらへ。」



出迎えてくれたのは、月城と同じ年ぐらいの年配の執事らしき男だった。



「あ、あの…。」


「ご主人から伺っております。

琴金様は今学生さんであられまして、住み込みアルバイトとしておぼっちゃんの家庭教師として雇われたと。」


「え?」


ちょっと待て、家庭教師のアルバイトとは聞いてはいたが、このお屋敷のお坊ちゃんのとまでは聞いていない。


「そう聞いていますが…」


「え…、あ、はい…。」


と他に行く当てがない私には、そう返事をするしかない状態だった。


「でしたら、我が屋敷の敷地内にある住み込みの寮で生活していただきます。

細かいきまりとかは、各部屋に一つずつガイドブックが備えてありますので、そちらの方をご覧になってください。」


「あ、わかりました。」


お部屋に行くまでにこんな会話していた。


「君のお部屋は104号室。確かメイドのユキと同室だね。」


「ユキ…さんって…?」


私が一番最初にお世話になったあの子だ。


「やはり、あの方のことだから細かいことはなにも説明しなかったのでしょうか?」


私はコクコクと首を縦に振った。


「まぁ最初は私も、あの豪華なゲストルームで泊まったこともあったので、お気持ちは判りますよ。」


まぁ、確かにずっとあの豪華なベッドで豪華な暮らしができるとは思ってはいなかったが、まさか私がこの屋敷内で雇われるのは予想外だった。


「私のような執事もメイドも乳母も料理人も庭師も家庭教師も使用人はみんなこの寮で住んでいるので、仲良くするようにとのことです。」


そして目の前に104と書いたドアの前までたどり着いた。

確かに、この間泊まった本たくないよりかは質素な建物だが、それでもきれいで品がある建物だ。


部屋の中はカーテンで半分に仕切られていた。


「右側はユキのスペースですから、あなたは左側ですね。では食事の時間までごゆっくりと。」


と言って執事は出ていこうとしたが、


「あ、そうだ。あなたには来たら、おぼっちゃんに挨拶に行くようにとご主人様から言付けがござました。

お坊ちゃんのお部屋の位置もガイドブックにございますから、そちらをご覧になってください。申し訳ございませんが私はここで失礼いたします。」



執事はいそいそと部屋を出て行った。




さてと…




ここの御子息との顔合わせだ。



私はここの御子息の部屋をノックした。



「失礼します」



ドアを開けると…



「誰?あんた??」



私はただただ驚くしかなかった。

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