表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/95

キンキンシズシズ落ち着いた。

あれ…?


私は気が付いたら、知らない部屋で眠っていた。

それも実家にあるベッドよりもかなり寝心地がいい高価なベッドだとすぐに判るほどなベッドに寝かされていた。


確か最後の記憶は、亮子が住んでいると思われるマンションの前で記憶が途絶えている。


カチャ



ドアが開く音がした。


誰だろう?



「お目覚めですか?」



入ってきたのは、メイドさんだった。

それもかなり若いメイドだ。

どう見積もっても私よりも絶対的に若くてかわいい女の子だった。


「え…?」



「マンションの前で倒れていたとお聞きしましたが、ご気分はいかがでしょうか?」


「あ、はい…」


「よかったです。では朝食をお持ちしますね。」


「え?ちょっと??」



メイドは私の話など、聞いている暇ないかのようにいそいそと部屋を出て行ってしまった。




いったい、ここはどこなんだろう?



と考える間もなく、またドアが開いた。


入ってきたのはさっきとはまた違うメイドだった。

さっきのメイドがいった通り食事を持ってきたのであった。



私は彼女を見てものすごくびっくりした。

それはさっきの子以上に美少女?だった。


ともいえるが、私にとってそれどころではなかったのだ。



「え…?よ、、よう、、、こ…??」


なんとそのメイドは曜子だったからだ…。


なんで!!?


コトン


メイドはわずかながらの小さな音を立ててしまったが、サイドテーブルに朝食を置いた。

メイドは私のほうをむいた。


「…」


あれ?


メイドは黙ったまま、食事の方に手でさしている。 

どうやら、「お食事をどうぞ」とゼスチャーをしている感じだった。


なんで?曜子がしゃべらない…。



そして私の方に目を向けて、私と目が合うと一瞥だけして部屋を出て行った。


私は生まれて初めて喋らない曜子を見た。


目の前にはいつもよりも豪華な朝食があるというのに、私はさっきのメイドの子が気になって全然食事にありつけなかった。



「やっぱり、体調があまりすぐれないのでしょうか?」


「え?」


「少しも召し上がれていない様子なので…」



食事を下げに来たのは曜子ではなく、最初に来たメイドの子だった。


「あの…」


「はい、なんでしょう?」


「この食事を運んでくださった子のことなんですけど…。」


そう、なんで曜子がこんなところにいるのかはっきりさせておきたい。


「ああ、小夜のことでしょうか?」


「小夜…?」


「申し訳ございません。あの子ですよね。口数少ないどころか、私たちの前でも一言もしゃべらないものですから、ここにいる者はあの子はそういう子だと諦めて接してますの。」


つまり曜子によく似た別人ってこと??


「けっして悪い子じゃないので、そこのところが許してあげていただけないでしょうか?」


一生懸命同僚のフォローを入れているのを見て、


「あ、大丈夫ですよ。判りました。」


あの子が曜子ではないという事が判ってホッとしたら、おなかがすいていたことに気が付いた。

そして私のおなかが鳴っていた。


「あ、あはははは・・・。ごめんなさい。」


「あらーーー…。」


「私さっきの子を怖がらせてしまったかもと思って気になって、食べれなかっただけみたいで…。」

  

私も思わず適当に言い訳をしてしまった。

本当は目の前にある豪華な朝食だけは絶対に食べたい。

二度と食べる機会などなさそうだから、平らげていきたいという欲はあった。


だから今、下げさせてたまるかという思いでいっぱいだった。


「あ、そうだったんですね。

では、またあとで下げに伺いますから、ごゆっくり。」


と言って出て行ってしまった。


それにしても全く喋らない曜子にそっくりな小夜を見て、本当にびっくりした。



が、そんなことよりも…ここはいったいどこなのだろう?


ここかなりの金持ちの家でしかない気がするのだが…。

ならば、長居するのはかなりまずい。

かといって助けてもらった手前、何も言わずに出ていくのは失礼だ。


せめて家主に挨拶だけでもしないといけないのだが…。



「ああ、ご主人様は今こちらには見えません。」


案の定そうだった。


「あの、では私はどうしたらよろしいでしょうか?

助けていただいた手前、黙って出ていくのも失礼ですし、せめて挨拶ぐらいはしておきたかったのですが…。」


まぁ思ったままのことをここで最初に口をきいたメイドユキに言ってみるが


「ご主人様がお帰りになるまで、こちらでお待ち下さいとのことです。」


ユキ曰く、ここに招き入れた者はだいたいはそういう応対でいいとのこと。

そしてなぜか、ここの主も私とは少し話があるそうだ。



いったい話とはなんなのだろう?

たまたま街中で倒れていた私を、いきなり自宅まで連れていき助けてくれたことは本当に感謝している。

それも寝床や食事まで用意してくれて、そのうえ、こんな状態で待機するようにとはいったいどういう事なんだろう?


「では」


ユキはそれ以上は何も語らずに部屋を出て行ってしまった。




結局、夕飯の時間まで、あの部屋で待たされた。


何せ、主が帰ってくるまではその部屋から一歩たりとも外に出ることは許されなかった。

ご丁寧に鍵までかけられていた。


食事やおやつとかはユキか小夜によって運ばれてきたし、シャワーやトイレはなぜか室内にあり、そこを使うようにという感じだった。


小夜はさっぱり喋らなかったが、ユキは私が質問した問いには答えてくれるだけで、まともな会話をしていない日だった。

まぁ今日がたまたま土曜日だったから、授業がなかったからよかったもののね。


私は今、家主さんの部屋にいる。

そこにはまた、豪華な夕飯が並べられている。


私はそこで家主を待っていた。



私は初めて家主を見て、なんか…正直あまり関わりたくないなと思えてしまった。

40代後半か50代ぐらいだろうか?



「やぁ、もう元気になったかい?」



すごい気さくな挨拶から始まっていた。


「はい、このたびは助けていただいて、本当にありがとうございました。」



「あはははは。そこまでかしこまらなくてもいいよ。さぁ座って。今から楽しく食事しようよ。」



外見的にはどこか影があって怪しげな感じだったが、話してみると本当に気さくな人だった。

ここまであくじょうけんな外見とのギャップをいとも簡単に取り戻せるとは、さすがここまでお金を稼ぐことができる器はあると素直に思えた。


「私は月城弘三郎。あのムーンスリーマンションのオーナーをしている者だよ。」


え?あの亮子が入っているあのマンションの??


「君はなんて名前なのかね?」


「琴金星子です。」


「星子さんかね。いやぁなんかあの頃の松田聖子ちゃん思い出すなー。僕もあの頃はせいこちゃんのファンでねー、懐かしいなー。いい名前だ。」


こんな平凡な名前をほめられたのは初めてだ。

それもかなり前のアイドルを出されるとは思ってもみなかった。


「今。働いてるのかな?学生さんかな?」


「大学生です。」


「そうかそうか、今一番楽しい盛りだねー。」


月城さんは本当に話の盛り上げ方がうまい人だった。

相手が不愉快に思うようなことは一切たずねないし、話してて楽しいし、本当に話しやすかった。


ただ…



「ところで君、なんであんなところで倒れていたんだね?」


ああそうだった。私変なところで倒れてしまったんだった。


「実は、住む予定の家を探していた最中だったんです。」



といったとたん。



「それは本当かね!?」


といきなりすごい勢いで、身を乗り出すかのようにいってきた。


「えっ!?」


「ああすまなかった…。びっくりさせてしまったようだね…。」



さすがにそこは私もびっくりしてしまったが…。



「あの…。」


「んー率直に言ってしまって申し訳ないけど、君、住む場所に困っているなら、しばらくここに住む気はないかね?」


と言われてしまった…。



「え!?」


といったとたん、


ガッシャーンっ!!


給仕をしていたユキが水差しを落としてしまった。



「申し訳ございません!」


ユキは即謝った。ユキもさすがにあせっていたようだ。

月城は音には少し反応したが、


「お片づけは頼むよ」


と落ち着いた口調でユキに耳打ちしていた。



「えっとまぁ話は戻して、君としてはどうなのかね?」


と再度問われた。


「えっと…今本当に住むところがなくて、お話は大変ありがたいのですが…。」


さすがにここまで扱いが豪勢すぎる下宿先だと気が引ける。


「あ、こういう環境だとさすがに気が引けてしまうか…。」


「あ、いえ…その……ここでの下宿料金が気になりまして…。」


すっどく高いんだろうなー多分…。


「あ、でもあまり気にしなくてもいいよ。あくまでしばらくなだけだからタダでも…。」



あ、なるほど、多分それは私の新しい下宿先が決まるまでとかかな?

それなら…少しだけでも御礼するだけでも済むかな…。

月城が言っていることには、どこか引っかかる点も多かったが、背に腹は代えられない。



「それに君。かなり頭のいい学校通っているではないか。まぁタダで引けるなら、私が家庭教師の仕事紹介するから、そのバイト料の一部をこちらがいただいて、ここに住む料金をチャラにするというのはどうだね?」



割ってしまった水差しを片付けながらも、ユキはなぜかこっちにチラチラと視線を送ってくる。


「だから、そのバイトの期間中はずっとここにいてくれても構わないよ。」



「それでいいのですか??」


「ああ構わんよ。なら決定だな。」


「えっと、それではよろしくお願いします。」


なんでかよくわからないが、とりあえず、少なくとも私が卒業するまで暮らせる家は確保はできた。



この時の私はまだ、この屋敷の事情も月城がどういう人間かも、なんにも判っていなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ