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キンキンどこでも嫌われる

私がしばらく下宿先に帰らないでいたら、大変なことになっていた。


どうやら冬休みの間、ずーーと曜子が来ていたらしい。


部屋は散らかり放題なのは当たり前のこと。

うるさかったのは当たり前のこと。


それどころか


「先輩の妹さんなんなのですか!!?

なんで私があなたの妹さんの分まで食事作らないといけないわけですかっ!!?」


「あのさあの子、少しは遠慮ってもの知らないわけ!?

うちに面白いゲームがあるからと言って、すっごい長いことずーっと居座られたんだけど!!」


「なんでさ赤の他人から、小さなミスのことでああも口うるさく言われないといけないわけ!?

なんで少しぐらい横着して違反したぐらいのことで、いちいち管理人にチクるわけ!?」


といろいろ苦情が飛んできた。

まぁ最後の少しぐらいの違反はあまりいい話ではないが、適当に見逃すことなんて、常任なら当たり前のようにある。が相手が曜子なら、そうはいかないのだ。

あいつは自分だってよく間違えたリ、ズルしたりするくせに他人に対してのそういう小さなミスとか本来見逃されるぐらいの違反は絶対に口に出して指摘するのだ。要は自分に甘く他人に厳しいのだが、普通の人が言うそれと曜子が言うそれとは明らかにうざさが違うのだ。何せ、本人は全く自覚はないが、あいつのキンキン声はどこまでも響く。本当に内緒話など絶対にできないような声だ。本人は内緒話を一生懸命しているつもりでも、成功したことは一回もないどころか、部屋中に丸聞こえなのだ。


そんな声で指摘された日には、周囲にバレル率100%でしかない。


怒るのは当然だ。


それも長い子と一緒にいる同じ下宿生から、からかい半分で指摘されるなら、それはすぐに解除されるからわからんでもないが、その下宿生でもないほとんどそこのきまりなど知らん部外者にそれを言われたとなると、カチンとくる。



「本当に申し訳ございませんでした。」



「もうさ、悪いけど出てってくれない?」


「まぁあとほとんど一年だけどさ、あんなのがまた来ることを考えると気がおかしくなりそうなのよ!」


「え…それは…どうか勘弁していただけないでしょうか?妹には二度とここには来させないようにしますから。」


みんなの言いたいことも判るけど、後一年なんとしてでもここに住まないと卒業できない。


「ふーん。まぁいいけどさー。」



「そもそも、なんで先輩は休みの間ここにいなかったわけですか?

妹さん曰く、実家にも帰ってないとのことでしたが、先輩はいったいどこに行ってらしてたのですか?」



「…」



まずい…。


どうしよう…。


「そうよね。そもそもそこが疑問だわ…。あんたどこに言っていたのよ?」



………。




こんな時、うまい言い訳が思いつかない。



「まさか…男……?」


うわーズバリ言い当てられた。


「あ、図星なんだー。」

「そういえば、あんた噂では日比野とつきあってるんだって?」

「キャー先輩おめでとうございますー。」


思いっきりバレてるやん…。


まずい…


どうしよう…。


まぁ日比野と付き合ってることが、彼女たちにバレるまではいいとしてだ。

彼女たちの口から、うちの親にバレルとなれば大変なことになる。

即退学して家に帰って来いとまで言われかねないのだ。

彼女たちのこの様子だと、このまま放置しておくといても、今度曜子や母さんがここに来た時に私に男がいるいうことをばらされるかもしれないのだ。

そこまで考えるとなると、このままではいけない気がしてきた。



「あーそうか、今まで彼氏の部屋にいたというわけですかー?」

「なら今すぐ出てっても問題ないじゃん。じゃここのカギ置いてすぐ出てってね。」

「バイバイ琴金先輩。」


それどころか、もう出ていく話になっている。



まずい…どうしたら…。




「どうした?」


私たちがもめているところによりにもよって寮長が来た。


「聞いてください!寮長!

琴金さんったら、長いこと留守にしていたんですけど、その冬休みの間に妹さんが来てすごい荒らしていったんですよー。」


「それもその間、琴金さんったら、のんきにずっと男の部屋にいたらしくってー何食わぬ顔で帰ってきてるのですよー!」


「でもそれって別にルール違反ではないわよね?」


寮長は落ち着いて答えている。

ちなみに寮長は冬休みの間は隣県の実家に帰っていたので、曜子のことを知らないので被害にはあってない。


「そうですけどー、私たちすごい迷惑だったんですよー!

食事作らされたり、部屋にずっと居座られたり、ちょっとしたミスでもいちいち言われたり、ほんとうにたいへんでしたんよー。」


「それもせっかく人が作った食事なのに、少ししか手をつけなかったり、ずばりおいしくないとか、かなり失礼な態度とられて本当にイヤな思いをしました。」


「とにかくあんな子!二度とごめんです!琴金さんをここから追い出してください!!」



「なるほどねー」



さすがに寮長も困っていた。



「なるほどねー。判りました…」



これもう終わった。追い出される…。




すごい沈黙が続いた。




寮長はすごくいい人だ。

おそらく、この寮で私が一番まじめで聞き訳がいい分、寮長から贔屓されてるぐらいだが、さすがの寮長ももうかばいきれないかな…。


「あーごめんなさいね。

実はみんなに入ってなくて申し訳なかったんだけど、琴金さんには冬休みの間、私の代わりに住み込みで家庭教師のバイトしてもらっていたのよ…。」



ん?


これ寮長の咄嗟のウソやん…。


「え?そうだったの?琴金さん?」



そう問われて、私は首を縦に振るしかなかった。


「琴金さんなら、頭がいいし信頼できそうだから、私が緊急にお願いしたの。」


「あーそうですよねー。多分、私じゃ無理だわその仕事…。子供嫌いだし…。」



「確かに琴金さんの妹さんは問題あるとして、琴金さんには私が突然頼んだこともあるから、

琴金さんのことは、そんなふうには思わないであげてほしいんだ…。」


とりあえず…なんとか丸く収まったんだけど…なんで寮長は私をかばったんだろ?

そこは不気味なぐらいの丸くおさめようだ。


「でもこのままではみんなも納得しないだろうから、今から琴金さんにはお話だけでも伺いたいわ。」


ああやっぱりこの後何らか話し合いしないといけないのか…。


「だから、みんな各自お部屋に戻ってくれるかな?」



この時の寮長の穏やかさは、かなり裏がありそうで怖いもの感じた。





「申し訳ございませんでした。」


その察しの通り



「悪いけど、今週中にここ出て行ってくれる?」



やっぱりだ…。



「実は管理人さんからもすでにいろいろ言われたばかりだったの。」



最悪だ。



「今回はああやってかばう事もできたけど、来月には私もここを出ていくから、これ以上騒ぎを起こされてもあなたが追い出されるのは時間の問題でしかなくてね。」


あと一年の事なのに…。それに…。


「前から、次期寮長はあなたに譲ると話していたけど、あれもう他の子にやってもらうことにするから。」



そうだ、前々から次の寮長は私という話は来ていたのだ。


「まぁ長期休み中はある程度自由な行動でもよかったんだけど、うちの学生でもない人が部屋主が留守の間に好きかってやって迷惑をかけたというのは、やっぱり見逃すことはできないのよね。」


私だって好きであんなふざけた家族がいるわけではない。

それにここのカギをいつの間にかコピーされていたことは、今回の件で初めて知ったこと。しかしいつ、鍵を子ぴされてしまったのだろう?

それでも許されるわけがないだろう。

カギをコピーして、勝手に家族が利用することすら、ホントなら許されないことなのだから。

それに仮に勝手に利用したとしてもまだ、誰にもバレないようにこっそりしてるなら、見逃してくれるかもだが、曜子みたいにああも堂々と居座って、堂々迷惑かけていたとなると余計に許されないであろう。


「聞いた話。あなた最近彼氏ができたらしいじゃない。」


寮長まで何で知ってるんだ?


「じゃあ、しばらくそこでお世話になればと思うんだけど、どうかしら?」


「知っててかばったんですか?」


「まぁそんなところね。理由としては私はあなたの妹みたいな子嫌いなの!少なくとも私はあなたの妹の思い通りにはさせたくなかったということね。

どうやら、あなたの妹さん。親御さんから、あなたの男関係のことに関しては厳しくチェックするようにと言われていたらしくてね。


私はもう関係ないことであれ、他の子はおそらくこの先それを口を滑らしかねない思ったから、それだけは味方したわけよ。」


「…え?」


寮長は曜子のことは知らないはず…


「あ、実はね。休みの間にほんの少しの間だけ、忘れ物を取りに一回ここに来たことがあったの。」


「そ、そうなんですね…」


「ホントひどいものだったわ。外でなんか騒がしいと思ったら、笹山さんが外のゴミ捨て場でゴミ袋の恥が少し破れていたから


「それ、破れていたら迷惑だから変えなきゃいけないんだよー!」


とすごい大きな声が聞こえてきて、なんかその声主とは絶対に関わりたくないと思ったのね。笹山さんは何とか工夫してそれなりにうまくまとめていてそれぐらい大したことないのにすごい勢いで言われてたの見たらねー。


あなたの妹さんに見つからないように必死で、自分の部屋に入るまでに1時間以上かかったもの。」



「あ…」



相変わらずだ…。



「で忘れもの見つけたので、すぐに帰ろうと思ったら今度は青木さんの部屋の前で、何らかギャーギャー騒いでいて、青木さんが根負けするまでずっと部屋にこもっていたのよねー。まぁ私も一階の部屋だったら、窓からでも出ていこうか思ったけど、こんな変な子がここにいるとなるといつ勝手に部屋を荒らされるかわかったもんじゃないから、ホントしばらく我慢していたのよねー。」



「本当申し訳ございませんでした。」



「ついでに変なところで感がいいらしくて、長期休み残留組の3人以外に私の気配にも気づいていたらしくて、「ほかに誰かいるような気がするんだけど…」みたいなことも言っていたしで、もう恐怖でしかなかったのよ。


だから、私はあなたの妹さんとは絶対に関わりたくない!」


ホント、ここまで言われると私がここに居づらくなる。



かといって、このまま日比野の家に厄介になるのもいやだな…。


確かにここ数週間、うまいこと一緒に生活はできたものの、あと一年も日比野と暮らすとなるとそこは全く自信ない。なにせあいつは実は私のことはそこまで好きではなさそうだからだ…。確かに私も日比野のことは正直いうと嫌いだ。



なにせ、

「まぁこんな僕だから…いつ心変わりして、星子さんのことを嫌いになるかもしれません。」だの、

「だから星子さんも僕から嫌われないように、これからは努力して頑張ってくださいねー」だの、一見穏やかでにこやかそうな不気味な表情で、平気で言ってのけることができる奴だ。


そんな奴のことが信用できるとでも思うか!!?


こんな失言を平気で言う奴のことなど、おそらく誰も信用できないと思う。





「ごめーん。寮追い出されちゃったー。しばらくお世話になりまーす。」


まぁ新しい部屋が見つかるまでは日比野のとこで何とか世話になるとしてだ。


「えーーー!?ちょっとーーーー。」


そうなんも予告も無く、日比野の家に押しかけた。


「ああ、あと布団は後でもってくるから、そこもよろしくー。」


「どうしたんですかー!?」


と聞かれても理由はこいつには言えないな…。


「まぁ…(一応)……彼女なのでいいですけど…。」


本当にお世話になることになってしまった。

まぁこれでも一応飯は作るし、家事とかはやるつもりなので一応文句は言わせない。



だった。



でも問題は、次に住むところだ…。



これは絶対的に早く決めないとまずい。

多分、下宿先にいるあの子たちは曜子に私の行き先を割ることは、ほぼ間違いなくあり得る。

またいつ曜子がここに押しかけてくるかもわからんのだ。多分早くて、3月の春休みだろう。

それまでには何とか、次の住居を探さないといけない。



「さすがに面倒見がいい寮長でも、次の下宿先は紹介してくれなかったなー。」


学校にも必死で当たってみたが、もう来年度の一年生用の妥当に安い下宿先はほとんど埋まってしまったとかで…



なんかついてないなーーーーー。



と思っていた時だった…。


ふとある人物がまた通りかかった。



亮子だ…。



そういえば亮子もこの辺りに住んでいるんだっけ?


あーでもいくら住まいを頼るとはいえ、亮子じゃな…。

でもあの子いったいどこに住んでいるんだろ?

東京じゃ物価も高いし、たいしたところ住んでいなさそうだな…。

まぁおんぼろアパートでもなんでもいいんだが、亮子と一緒に住むのは日比野よりも嫌だ。


それでもなんか気になるので、やっぱり後をつけてみることにした。

また、例の風俗店に出勤だろうか?

と思ったら、全然違う方向へ行く。


すごい驚いたことに、亮子の住まいはかなりおしゃれなマンションだった。

イヤホンとに住んでるのか知り合いの部屋なのか判らないが、亮子は確かにマンションに入っていった。

都会で風俗嬢でもやっているとこんな高いそうなマンションにも住めるのか?


その事実を知って私の心もかなり揺らいできてしまった。

私も亮子みたいに稼げば…すぐにでもいいところに引っ越せれる…とさえ頭をよぎっていた。

でもやっぱり、あんなキモイオヤジたちとあれこれするとなると抵抗はある。

だがどう考えても、今が一番若い時期であり、女が売れるのも今だと考えると学生の間だけでも…とも思えてしまう…。


こんな時でも、一応彼氏ではある日比野のことなど、どうでもいい状態だった…。


そんなことよりもここ最近、すごい歩き回ったせいで、体がぐったりしていた。私はそのままその場で倒れてしまった…。


そして気がついた時には…。


私は予想だにしていなかった場所にいたのであった。


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