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キンキン無理やり黙らせる

「私そんなのイヤっ!」


「じゃあ、曜子退学だよ。」


あの後、必死で曜子を説得してみるがやっぱり駄目だった。



「たった…それだけで退学なの?」


少しでも厳しいことを言えば、あのキンキン声がいきなりボソボソ声になって、おそらく大声で泣くか、いじけて耳ふさぐかだ。もうホントこいつには手がないのだ。


「もう次やったら退学だと学長も言っていたの。曜子判って。」


「前からの友達で、これからも仲良くしようとしていただけなのに…。」


そりゃ過去に縁があった子とか同じ学校だった子とまた縁があれば、他よりは可信頼できるので、あてにしたいいう気持ちは判らんでもない。が、こちらはこれからも関わりたい思っていても、相手側が自分と同じ気持ちとは限らないのだ。関わりたくないと思っていれば、迷惑でしかないのだ。ホントそれを理解できない奴は本当に多いのだ。


それにはっきり言うと曜子みたいなやつと前から知り合いだったとしても、せめてこれから先ぐらいは一切かかわりあいになりたくないと思う人の方が多いのだ。


そりゃこれが曜子ではなく、普通の子が前からの知り合いであるなら、一緒につるみたいと思う。が、曜子みたいに無駄に声がでかくて目立つ声主を連れ言うのは、やっぱり恥ずかしくて無理だ。どこへ行っても変に悪目立ちして注目されてしまう。そこが曜子と一緒にいるのが恥ずかしくてたまらなくなるのが原因だ。


ホント長年これについてどうやって伝えようと思ってきたが、やっぱりこの現実を伝えるのは、残酷すぎて無理がある。

かといって、今は曜子の声はボソボソ声だが、正直曜子のボソボソ声も聴いてて気分が悪くなるのだ。そのボソボソ声もやたらと同情を買ってもらってほしいばかりの声ぐらいにいじけていて、正直うざいのだ。


もうほんとここまで、声に恵まれてなくて、声だけでここまで嫌われる奴は見たことがない。


あのうざい大黒だって、遠くから私に話しかけてくることなど多々あるが、普通の声で曜子ほど不愉快ではないのだ。まぁどちらにしても、大声で他人の名前を呼ぶという行為そのものが、呼ばれた被害者からすると、はずかしいからやめてほしい迷惑行為でしかないのだ。


「悪いけどね。曜子は昔からの友達だから仲良くしたい思ってるかもだけど、相手の子はそうとは思ってない事なんて当たり前にあるのよ。」


「・・・」


「それ、判ってあげて。過去は過去で。今は今なの。過去に知り合いだったからと言って、別にあんたが特別だとかそんなものはないのよ。」


「だって…新しく知り合った子はみんな私のこと避けてくよ…。」


そりゃそうだろ。

自分もお前みたいな奴から恥をかかされている者を見て、誰もお前とは関わりあいになりたくない思ってるんだろうね。


学長たちから、聞いた話によれば…、


「あのね。入学式早々から、同じ学校だった子にフルネームで大声で名前呼ばれて、まだ誰も学校で自己紹介すらしていない時にそれされて曜子はそれされてうれしい?」


ってことを曜子は入学式当日に同じ中学でたまたま同じクラスだった女の子にそれをやっていたらしい。

かわいそうにその子は入学して1週間で学校をやめていったらしい。


「…え……?」


「じゃさ入学式当日から、「キンキンちゃーん」とか、昔の知り合いから、大声で呼ばれて嬉しい?」



「……イヤ…」


ほーらね。曜子はどうやら、他人に恥かかせることは平気でやるくせして、自分がやられるのはイヤだと言っている。ホント我儘な奴だ。



「あんたはね。高校入ってすぐにそれやったって自覚ある?」


「え?」


「あなたと同じ中学だっただけの理由で、あなたが話しかけた子。それが原因で入学して1週間で学校辞めていったのよ。」



「でも曜子。前島美千代ちゃんには普通に話しかけていただけだし・・・。」


「ホントに普通?」


それを党と曜子は、首を縦に振る。

「……他の子だって同じ中学の子に普通に話しかけていたよ。なのに、なんで曜子だけが悪いの…?」


が私は学長たちから詳しい話は聞いているので…。


「あんたは普通に話しかけただけかもだけど、選挙で委員長にぶっちぎりトップでその子が選ばれるってどういう事よ?」


「…え……それは…。美千代ちゃんが目立っていただけで…曜子は何も悪くない…。」


あくまで自分は悪くないらしい。

入学式の全員写真を見てみたが、前島美千代という子の外見は本当に普通の中の普通で目立った要素は全くなかった。まぁどう見ても入学式とかで最も話しかけやすそうで連れていても恥ずかしくなさそうで、よほどのことでもない限りはその場の空気に一番に空気枠で溶け込みそうな、本当に普通に妥当な感じな子だ。そしてとてもじゃないけど、初回の委員長選挙で投票される要素はまるでない感じしかしない。


正直な話、あまり言いたくはないが色白で顔が整っている曜子の方が絶対的に目立つ。



「それに…今は曜子がずっと委員長やってるんだけど…。」


まぁそうだわな。

高校生にもなれば、無駄に目立ったり浮いたりしてると、委員長は押し付けられるのはお約束。

見事にそんな惨めな立場になってるとは、ホント情けない。


「もういい…。」



「え?」



「あんたさ、もうこのまま突っ走ってさっさと退学になれば!?」


「え?」


「はっきり言ってさあんたの声、あんたが思っている以上に目立ちすぎるのよっ!!

少しはボリューム下げることできんのっ!!?

あんたの声、聞いてるだけでイライラしてくるのよっ!!」


「星子!」


「母さんもさ、こんなの甘やかしてないでなんかいってよ!私にばっかりイヤな役を押し付けないでっ!!」


「そんなこと言わないで…」


「私もう知らない!!こんな奴が退学になろうがどうなろうがどうでもいい!!私の言ってることが判らないなら、退学は確定なの!!」


「お願い見捨てないで…」


「ああもう!簡単に言えば、曜子がずっと黙っていれば問題ないの!曜子が余計なことしなければ問題ないの!!曜子が何もしゃべらずに学校さえ通ってテストさえ合格すれば卒業できるの!!」


「ちょ…」


「それできないなら退学!判った!?そして、二度と私は曜子とは関わりたくない!!判った!?」



とめちゃくちゃなこと言って、実家を出てきてしまった。

しかしこれは本当にそうなのである。


まぁどうせまた、曜子がなんかやらかしても、父が学校に多額の寄付金払ってもみ消しにするのだろうけど、もうそれすらどうでもいい。

ただ、私はこんな妹をもってはずかしい!こんな妹とは関わりたくない!だけである。




ホント大嫌い!!




正直、ここまで事を荒立てするのはイヤだった。

私だってまだ、父から学費だけは払ってもらわないと困る身なので、あの場でキレたくなかった。

でも、あれだけ言っても曜子は自分は悪くないと言っていることには流石に頭にきた。


ああこれで、学費振り込んでくれなくなったらどうしよう…。


そうなると私も亮子と同じく、風俗店で働かないといけなくなるのかなーといろいろ考えながらも、私は東京へ戻った。







戻ったら戻ったで、大変なことになっていた。


なんと、学園祭実行委員の間でとんでもないことが起きていたのだ。

まぁ学園祭自体は無事に成功したらしい。

問題はそのあとの実行委員の打ち上げ会でのことだ。



「ちょっとー白土さんホント運がいいわよねー。」


それを学校に戻った時に影山さんから、一番にそれを言われたのだ。

ちなみに影山さんは私の名字が変わったことに未だに気付いてないらしく、いまだに白土さんだと思っていたりする。


「なにかあったの?」


「ああ、実行委員の打ち上げ会でね。」


聞いた話によれば、女の子たちにお酒飲ませてつぶしておいて、その子たちを強姦したとのこと。


「私、今年はやらなくてよかったわー。」


どうも影山さん曰くだと、毎年こんな感じではないらしい。


「まぁ去年は私が委員長だったから、後日休日の昼に集まってファミレスでお食事会をしただけだったんだけどね。」


なるほどね。

こういう時にまじめな女の子が長だと、平和に終わるわけだ。

でもあの来海くんがそんなことする人とはさすがに思わなかった。

でも私はたまたま、実家に帰っていて助かったわけだ。


「まぁ今回被害に遭わなかった女の子は、あなたと日比野の彼女ぐらいなもんだと聞いたな…。」


「ん?」


日比野の彼女って??誰だろ??

あれ?なんか知っているようで誰だか思い出せない…がいいか…。


「なんか、あの日比野と大黒がふたりで、必死でその彼女さんのことだけは守ったらしくてね。その3人と来海のやり方に納得いかなかった数名は飲み会には参加しなかったみたいだよ。」


いろいろ話を聞いたが、確かに運がいいと思えた。

あの来海くんのことを一瞬でも、少しでもいいなーと思えていたことは今回のことでいっきに冷めた。


なんかここ最近いろいろなことがありすぎた。



そして翌月の12月…



「星子さん。」



いきなり誰だ?と思って振り向いたら、日比野だった。

あの…あなたに星子呼ばわりされる筋合いはないのですが?と言いたいぐらいだったが、ふいうちで話しかけられてしまったので、振り向いてしまった。



「24日あいてますか?」


「ん?なに?」


というか、こいつ学園祭が終わった言うのにまだ私になんか用あるん?


「その日僕のとこで、せっかくなのでクリスマスしませんか?」


「あークリスマス?」


「何か用事でもありましたか?」


まぁない。


「その日、黒さんがケーキ持ってきてくれるらしくて、後はケンタッチーとかピザとか持ち合わせて一緒に楽しみませんか?」


「へークリスマス会かー。いいねー。まぁ暇だしいいよ。」


「暇だしって…まぁいいや…だいたい5時ぐらいに駅前で…」



「はーい」



とそのまま適当に返事してしまったのが間違いだった…。




まさか…





日比野の家に来たとき、私と日比野だけだった。



「あの…他のメンツは?」



「え?他って?」


「ほら、大黒がケーキ持ってくるとか言っていたやん。私は一応ケンタッキー買ってきたけどさー。」



あれ…?なんか反応変だ??

私なんか、おかしなこと言ったか?



「ケーキならすでにそこにありますよ。」


確かにちゃぶ台の上にはすでにケーキは箱ごと置いてある。


あれ?じゃあ



「大黒は?」



「黒さんは今日ケーキ屋のバイトです。」



「え?バイト?」


「そうです。バイトです。」


「あの…今日クリスマス会するはずなのになんで…あいつバイト入れてるの?」


「クリスマス会?まぁ確かにそうですが、黒さんも結構気を利かせてくれたんですよー。


このケーキも黒さんのバイト先で残りそうだったから、安く手に入ったとのことで、黒さんから、僕たちカップルへプレゼントだそうです。」



僕たち…?カップル…???



「あーーーーーーーーーーっ!!」



すっかり忘れてた…。


私、こいつと付き合うことになってそうそう、こいつのことが嫌になって別れるのを忘れていたのだった。


「もう。とりあえず僕たちは付き合っているのですから、まぁ淡泊な付き合いだったとはいえ、こういうイベントぐらいはと思って、僕も頑張ったのですよー。」



そうでした。


まず、来海委員長に付き合いを取り消しにしようと思った時に邪魔され、

取り消しにしようとしたら、日比野が来海にカレカノ宣言を勝手にされ、

そしてその帰り道に突然現れた亮子を尾行することに夢中になってしまい以上のことを忘れ、

最終的に母からの電話で実家に帰ることになり、日比野とのことはすっかり忘れていた。



「ホントに…あの後星子さんが委員会来なかったから、びっくりしましたよー。

いきなり実家に帰ってしまって、しばらく来ないのですもの。

まぁ来海くん。明らかにあなたのこと狙っていたので、なんとかあなただけでも助けることができてホントよかったです。」


「へ?」


「僕があなたのこと彼女だと言っておくことで、なんとか助かったようなものですよ。」



なにそれ??



「来海くんがおかしいという事に気が付いていたの?」



「ええまぁ、あの時にはすでに男性陣は来海くんから、誘われてましたよー。」


知らなかった…



「まぁ僕たちはあの後打ち上げ会も参加せずにそういう事では不完全燃焼でしたので、きょうはたのしみましょう。」




で今更、この状態で断るに断れない状態だ。


ああ断りたい…。


はっきり言って来海もクズだと思うが、こいつもクズだ…。



でも…



ここまで気を使ってもらったとなると…むげにはできない…


ホントこうなってくると意味が分からなくなってきた。

がしばらくはこいつに付き合うしかなさそうだ。



一応初めての恋人同士でのクリスマスデート。




それもあまり好きではない相手とペアになり、クリスマスデート…。


当然ながら…あまり楽しめたものではなかった…。

もうほとんど定型文みたいな口調でしかしゃべらない相手だし、特に盛り上がりもしなかった。


まぁその夜何があったかといえば、



一晩中、ゲームしてたとだけ。



それも真夜中にバイト終わった大黒も誘って、ずーーーっと桃電してただけだった。

これが?初回のデートだったというのにこれ?って感じだった。

それもこんなのが人生で初デートだったいうのが、何とも言えんかった。


ホント私何やってるんだろ?

好きでもない相手と付き合えたりデートしてしまうって…、今孤独にクリスマスを過ごしている女の子から見れば、私は羨ましい存在なのかもしれない。

これなら、一人のクリスマスのがマシだったと思えた21のクリスマスだった。


私は結局。このまましばらく下宿先には戻らず。

日比野のところで冬休みを過ごすことになってしまった。

まぁそこにはしょっちゅう大黒も一緒に住んでいるようなものなので、恋人らしいことなんか、さっぱりなかったけどね。


一応、初もうでやお雑煮食べるなど、お正月らしいことはしたものの、ほとんど家族みたいな過ごし方ができたことは、一応楽しかったとはいえる。


が…



やっぱり日比野のことは、好きになることはできなかった…。



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