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そりゃキンキンが悪いだろ!

「えーもう退院なのー?やーっと盛り上がってきたばかりなのにーーー。」


曜子は不満たらたらだった…。

もりあがってきただ!?

何のための入院だよ!?

そんなクッソ元気な奴が病院いても迷惑なだけなんだよ!


「まぁ曜子が元気でなによりだぁー。がーーーっはっはっはっはーーーーーっ!」


相変わらず豪快な笑いで笑う父だ。

かえり。ただでさえ狭い車の中で、キンキン声と豪快なでかい声のコラボ。

もう、耳がおかしくなりそうだ。

母はよくこんな環境でやっていられるよなーとつくづく思う。

本来なら私は車酔いなどしない体質だが、実の家族でのドライブでだけはもう数分で気持ち悪くなる。


あと、うちでの勤務歴が一番長い門倉さん…。

この人もよくやっとれるわなーと思う。

いざってときは、こんなふうに運転手までもやりこなす。


この二人はよく、私よりも長い間、あのうるさすぎる曜子と父相手によく我慢できるよなーとさえ思える。



「なんか、違う病院紹介されたけど、まぁこっちでも大丈夫よね…。」


「ああ?なんかしょぼいとこ紹介されてるなー。もっとすごい病院はないのかー?」


まぁ実質上、あの大きな病院から出禁になったようなものだ。


「でもこちらは専門的に強いらしいから、結構頼もしいかもよ。」



あーあ。

この人たちはなーんも判ってない。

その病院が何たるかも…。


まぁ私の事じゃないし、入院さえしてくれれば曜子とはあわなくてすむから、正直どーでもいいけど。


「まぁそうだな。」


「そうですよー。」


「それに、こーんな元気な曜子がまた、あんなことになるなんてありえないだろうしなー。」


まぁそればっかりはそう思えた。


「これで来週からまた学校に行けそうだしなー。」



と父が言った瞬間。



「…や…………い…………。」



いきなり曜子の顔がこわばった。


「ん?どうした?曜子?」



「いやーーーーーーーーーーーっ!!」



いつにも増してでかい声に私はそのまま気絶してしまった…。

この声を聞いても平然と運転をしている門倉さんはやっぱりすごかった…と思いながら…。



気が付いたら、私は実家で眠っていた。

すぐに帰る予定だったのに…情けない…。



「気が付きましたか?」



介抱してくれたのもやっぱり門倉さんだった。


いつも通り平然としている。



「…」


「…」


「…」



結構沈黙が続いたが、先に開口したのは


「やっぱりあの声聞くのは、キッツいですよねー」


「!!?」



「え?」


ちょっとまって?



「実は私も、毎日毎日曜子さんの声を聞くのはさすがに厳しいので…。」



門倉さんは握った手を広げて見せてくれたものは耳栓だった。


なるほどね…。

やっぱりこの人も曜子の声にはほとほと参っているようだ。


だからいつも誰が何をしゃべっていようと反応しないし、もしくは反応が遅かったりすることもたまにあるわけだ。


「まぁ旦那様には内緒ですよ。」


確かにこんなことがバレたりしたら、関係がこじれるどころか首にすらなりそうだ。



「星子さんも一ついかがですか?」


門倉さんはポケットから、まだ封が切られていない耳栓を手渡してきた。



「あ、ありがとう…。」



そんな時だった。


家電が鳴った。



誰も出そうになかったので、私がとった。



「あ私、環城大付属高校で琴金曜子さんの担任をしております尾崎と申しますけど、お世話になっております。」


何と曜子の学校からだった。

まぁ学校からの定番で、休んだ生徒への連絡だけかと思った。



「実は曜子さんのことで、お話したいことがあるのですが、今から学校まで来られることは可能でしょうか?」



とまで言われてしまった。


受話器を少し抑えて。


「門倉さん。母さん呼んでくださる?」


「今奥様は、旦那様と曜子さんを新しい病院に向かったところでして。」


「どうしよう?これ多分、母さん必要な気がするんだけど。」



電話の向こうの先生方も



「ああ、お姉さまですか?できれば保護者の方に…。」



と言いかけた途端、門倉さんが受話器を私から奪い取り、



「はい、変わりました。…………はい……………………はい…………そうですか。……………………判りました。

すぐにお伺いします。」



電話対応も素早かった。



さすが大人である。

おそらく、うちの両親よりも10歳くらいは若いが、まぁ年齢的にもそのまま曜子の親でも通りそうな歳ではある。そもそもうちの母も初産が歳が30代になってからだったので、それもそのはず。


「あの…」


「どうかしましたか?」


今は耳栓をしていない門倉さんの反応はいつもより早かった。




「私も連れてってほしい。」




本来保護者しか関われない問題だ。

だが、あの曜子の問題だ。

今までのことを考えると、どう考えても普通じゃないという事は判る。

大人の問題だからと断られると思ったが、




「わかった。」




すんなりOkしてもらえた。






そして学校側では…。



「こちら、堀川さん。」


「どうもはじめましてなのかしら?お久しぶりなのかした?堀川真悟の母です。」


初めまして?お久しぶり?

どういうことだ?


「こんにちわ。琴金曜子の保護者です。」

「琴金曜子の姉です。」


「なるほど、どおりでと思ったら、あなたお姉さんよね?あなたは何となく覚えているわ。」


「え?」


どういうことだ?


「笹畑保育園以来ね。やっぱり。覚えているかしら?堀川真悟のこと?」


そこかよー!


「確か、うちの子が一歳児クラスにいた時に、一年間だけちらほら見かけていたのを覚えているわ。」



曜子が生まれてたから、赤ちゃんクラスにはさっぱりいかなくなっていたはずだけど?私、そんなに目立っていたか?



「妹さんは翌年の2歳児クラスからでしたわよね。」



まぁその通りだが、ホントよく覚えていたものだ。


「あなたはどうであれ、妹さんはかなり目立っていらしたものねー。」


ああ、こうやって言われると本当に恥ずかしくなる。



「単刀直入に申し上げます。」



「はい」


私と門倉さんの声はハモっていた。




「うちの真悟には、おたくの曜子さんを近づけないようにしていただきたい。

それどころか、今後一切かかわってこないでほしいのです。」


うわ、言われてしまったよ。

ついに直にこの言葉を聞いてしまった。


まぁ至極当たり前のことだろう。

私だってあんな奴とは関わりたくないものだ。気持ちは判る。


母はいったい何度、このようなことを言われてきたのだろう。

ついに姉である私ですら、このセリフを直で聞いてしまったのだ。

母さんなんか、イヤというほど聞いているだろう。



「と申しますと…?」



門倉さんはうまいこと聞きだそうとしている。


「たかだか同じ保育園だったことで、いちいち付きまとわれて迷惑なんですよっ!!」


まぁ確かに、保育園の時の同窓生なら久しぶりに会った友達だから、再会した時に軽く挨拶ぐらいはするだろうけど、この様子だとやっぱり曜子はかなり迷惑かけたんだろうなー。


「だいたい保育園なんてもう、ずいぶんな大昔な話じゃないですか!!?なんで、もうすっかり忘れていたぐらいだというのに、ああもしつこく付きまとわれないといけないんですか!!?」


「そこまでしつこかったのでしょうか?」


「ええ、それはもちろんですわ。

もう、行内の敷地内で顔を見るだけで、大声でフルネームで呼ぶのは当たり前。


普通科の男子で代表役を一人選んで役員を決めないといけないことが発生した時にみんな黙っていた時に「堀川真悟君がいるじゃん」と大声でうちの子の名前を言って大恥かかせたこともありました。


それに関してうちの子はかなり怒っていて、もう毎日毎日機嫌が悪くて本当に迷惑してるんですよ!!どうしてくれるんですか!!?」


うわ、それキツイじゃない。

お母さんはかなり怒っている。

ホント曜子って余計なことしかしない。



「それに自慢しているわけではありませんが、うちの子には同じクラスに彼女がいまして、」


いるんか…



「その彼女もおたくの曜子さんが頻繁にうちの子のクラスに顔を出しに来るので、大変迷惑しております。」


「それは申し訳ございません」


私は即誤った。

まぁ何があったかまでは、詳しくは教えられなかったが、カップルを邪魔するのはタブーだ。


「一応、このことは一年生の時にお父様とお母様にもお伝えしましたが…」


担任の先生らしき人がここで、口を出した。


「全然聞き入れてくれなかったのですよね?」


「はい」


「やっぱり、あなた保護者じゃないじゃないのー。おかしい思ったー。」


「申し訳ございません。姉はただ今、曜子を県外の病院へ連れて行っている者ですから、わたくしが代行で参りました。」


門倉さんはあくまで母の妹を演じ、あくまで自分は曜子の叔母であるとなんとかごまかしきった。


「あらあなた、あの人の妹さんだったの。どおりで若すぎると思ったわ。」


「代理で申し訳ございません。」


「でもまぁ、あの人よりかは話が判りそうね。」



まぁそうだ。

あの非常識すぎる父には話など一切通じないだろうし、母も母で楽観的に考えすぎでおそらく、母のその態度を目にすると、誰もが言いたいこともはっきり言えなくなるだろうからね。だから結局曜子に事実を伝えることはほぼできないとみてもいい。それが原因で曜子はいまだにああも我儘すぎるのだ。

仮にもし、曜子に事実を伝えることができたとしてもだ。それができるのは、結局私ぐらいだ。そして曜子は私の言うことは、耳をふさいで一切聞かないのだ。こっちは曜子がこれからも過ごしやすくなるように、本当のことを必死で教えようとしているのに、当の本人が耳をふさいで聞いてもくれないので困っているのだ。


「あのもし、これで曜子の付きまといがこれからも収まらなかった場合曜子はどうなるのですか?」


そうそこだ。

おそらく曜子が言うことを聞く可能性は本当に少ない。ならば、もし陽男がこのまま変わらなかった場合のことについてしっかり聞いておきたい。


そこへ学長らしき人が


「誠に残念ですが、曜子さんには退学していただきます;」


うそ


謹慎や停学ならどうであれ、退学ってよほどの事よ?


というか


「曜子はそこまでのことをすでにしてしまったのでしょうか?」


そうだ。

聞いている限りだと苦情が出ているのが一件なはず


「はいりたまえ」



そこへ校長室に入ってきたのはちょっと派手でチャラそうな女の子。



「この子は生徒会長をしている中川くんだ。」


「はじめまして中川です。」


外見とは違って、かなりしっかりしていて礼儀正しい子だ。


「琴金さんの保護者の方ですか?」


「はい」


「大変申しあげにくいことなのですが、こちらが琴金さんに関する生徒たちからの苦情をまとめあげた資料です。」


中川さんは一冊のノートを手渡してきた。

そのノートはかなり使い込んでいて、一枚一枚がかなりむ熱い状態に膨らんでいた。


ノートの中身を見ると、かなり多くの曜子に関する苦情メモが張られていた。


中には

堀川君と同じように同じ中学校や小学校からの知ったとたんにすごい付きまといを受けた子も多数いた。


そして…


「琴金さんと今まで同じ学校とかでかかわりがあった子は全員付きまとわれました。」


「そうなんですね…」


「付きまとわれた被害者は堀川君合わせて計11人。うち3人は現在不登校。7人はすでに退学していきました。そしてあと辛うじて残ったのは堀川君…一人でした。」


何それ?今まで曜子のせいで、そんなにも多くの生徒が犠牲となって高校生活くるわされてきたの!?


さすがにないわ…。

そうなると学校側からも退学を言い渡したくもなるわ。



「それは本当に申し訳ございませんでした。うちの曜子にもしっかり言い聞かせます。

何とど退学だけはなんとか逃れられないでしょうか…。」


「まぁこれから気を付けていただけるのであればいいですけど、次はありませんからね。ホントに迷惑なんです!」



「いやぁ今まで話にならなかったり、言いにくかったりで本当にきつかった。ようやくまともに話を聞いてくれたので本当に助かりました。」



「あの、一つ提案なのですが…」


「なにかね?」


「私も小学生の時に妹から教室まで押しかけられて困ったことがあったのです。

ならば、せめて曜子が卒業するまでの間でいいので、他学科の校舎やクラスへの出入りを禁止にしたらいかがでしょう?」


そうだ。

だいたい、他学年や他学科へのクラスに勝手に入っていくことを禁じれば少しは収まるのではないかと思った。


「いい案じゃありませんか学長。」

「幸い、今のところ商業科クラスの被害者になり得そうな対象者はいませんし。」


学長は少し考えこんだところ。


「いいだろう。」


「ありがとうございます」


「まぁ学校側からも、生徒が過ごしやすくなるように他にも校則を考えておこう。」


「中川くん。生徒会とともに校則変更について、考えるために緊急会議だ。よろしく頼む。」


「はい、学園長先生」


本当にうまいこと回りそうだ。


正直、曜子が退学になろうがどうなろうがどうでもいいが、迷惑だと思っている人がいることを解決することはやっぱり見過ごすわけにはいかなかった。


そしてまた更にひどい話を聞いたのだが、うちの両親はやっぱり曜子が何かをやらかすために、学校にかなりの額の袖の下を出していたらしい。だから、今までは曜子のやりたい放題だったそうだ。


ホンと恥ずかしい話だ。


でなんで曜子が今回自殺未遂をしつぃまったかといえば、堀川君の前に曜子から付きまとわれていたイケメンくんがついこの間退学してしまったらしく、そのファンクラブの子から、「お前が学校辞めてけ!」「私たちのアイドルに来やすくしゃべりかけるな!」みたいなことを言われてせめられたらしい。


まぁそんなことにもなれば、そこまで追い込まれてもおかしくはないわな。


まぁ曜子がなぜに知っている人に執着するかという理由も判る。

あいつは常に人から嫌われていくため、友達がいないからだ。


曜子にも普通に曜子のことを理解してくれる友達ができれば、こんなことにはならないのだろうが、あの曜子と仲良くしてくれる人など、おそらくいないのだろうな。


ほんとそれである。


そして曜子は、しばらくあの大きな病院から紹介された県外にある遠くの病院で入院することになったのであった。

そして書くいう私は、しばらくの間、母も曜子もいない実家で門倉さんと一緒に平和的に過ごしていた。もちろん学校も学園祭も家庭の事情でしばらくサボったwそれでも何とか単位が取れたのは奇跡的だったw


でも、なんか忘れていた気がするが、それはまたんちほど…。

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