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キンキン迷惑大暴走!


「曜子が…手首を……。」



「!!!?」


曜子がたいへんなことというのは…

……どうやら曜子が手首切って自殺未遂を起こしたらしい…。


あの曜子だから、自分が何をやらかそうが知らん顔して図太く生きていくものだと思っていた。


だが今回ばかりは違ったらしい…。



あまりにもびっくりして、何があったか詳しくは聞いてなかったが、私は急いで地元に戻ることにした。

時間も遅いし、お金も節約しないといけないので、今回は夜行バスで帰ることにした。多分つくのは明け方だろう。

いくら、もう絶対に関わりたくはない曜子とはいえ一応は妹だ。こういう時ぐらいはいかないと後味悪くなりそうである。

それにもし、今回みたいなことで顔も出さなかったら、後で父や母からどんな目に合うか判らないので、顔だけでも出しておいた方が無難だ。


ついでに言うなら、早めに顔を出していた方がある意味得ではある。

運が良ければ曜子がまだ意識が戻らなくて寝ている状態なら、静かなのでなるべく手短に手土産だけおいて、そそくさと帰ればいいというのもある。


我ながら性格が悪いとは思うが、やっぱり一言でも曜子の声は聞きたくないのが本音だ。


まぁあれから5年もたっていて曜子も少しは落ち着いてはきたものの、あのキンキンとした声とおしゃべりなところは呆れるほど現役だ。あれで今まで17歳になろうとしてるこの年まで、まかり通ってきたこと事態が本当に信じられない。



私は曜子がまだ目覚めてないことを願い、曜子が入院している病院までたどり着いた。



そしたら…



「……あぁ~~~、琴金さんね………605号室よ……。」



看護師の対応からして、いやーーーーな予感はしていた…。



案の定…



「ぐぁはっはっはっはぁーーーー!!」



病院だというのにすごい豪快な声がフロア中に響き渡っていた。


この声まさか…うちの父……。

嘘。マジ恥ずかしいんですけど…。


てことは…。



「もーう。お父さんったらぁー、そんなに人の失敗のこと笑わなくてもいいじゃないのーーーっ!!」



その豪快な笑いに匹敵するぐらいの大きなキンキン声が、また輪をかけてフロア中に響き渡っていた。


まさか…



「どうしたの?いかないの?」


もう半ばイヤイヤ部屋まで案内してくれていた看護師さんが、私に問いかける…。


いやもう限界…


マジ恥ずかしいんですけど…


「あ…」


さすがの看護師さんも私の気持ちを察してくれたらしい。



私はもう首を横にふっていた。

このまま看護師さんに手土産だけ渡して逃げようとしていた。


「せいこーーー。」


そこへタイミング悪く母が現れた。


「来てくれたのかい?ありがとねー。」


何で母がここにいるのよーーー!!?

へやにいたんじゃないのかーー!!?



「あ、じゃ私はこれで…」



母がいることが分かった看護師はもう逃げるようにその場を去っていった。



ああもう、話が通じそうな人がいなくなった。



絶望だった。



「母さん。なんであの二人注意しないの!?私、マジ恥ずかしいわ!!」



と小声で母にそれを言った。



「仕方ないわよ。いったところで、あれらの声のボリュームは絶対に落とせない。」



まぁそりゃそううだ。

やっぱり母も判ってはいたのだ。一応、母にはまだ常識はありそうだ。



「母さん悪いけど、私帰るわ…。」


「…え?でも星子……??」


なんか知らんけど、


「元気そうだし、私の出る幕ではないので。」


「いいじゃない。少しは会っていけば。」


会いたくねぇんだよっ!


「これ渡しといて。じゃ!」


といって手土産渡そうとした瞬間だった。



「おかあさーんまーだぁーーー?」



一足遅かった!病室のドアから曜子がひょっこり現れた!!



「ああぁーーーーーおねぇちゃーーーーん!!?」



さっきに増して、とんでもないほどの大声で



「おねえっちゃん!きてくれたのーーーーー!?わーーーーーい♪」



もう、絶対的に聞きたくもないセリフを聞かされた!!

あの最大に音量をあげたあの忌々しいキンキン声で!!!それも病院の病棟でだ!!



非常識にもほどがある!!


もう恥ずかしくてこんなところにいたくないっ!!



と思った瞬間だった!




「うるっせぇんだよっ!!」

「大声出すな!と何度言ったらわかるんだっ!!?」

「いいかげんにしろ!!」

「次しゃべったら、マジでしめるぞっ!!」



といろんな病室から、大声で苦情が飛んできた。



ああ、もうこれ…。



「琴金さんちょっと…。」



そのフロアの看護師長さんから、



「申し訳ないけど、おたくのお嬢さんは今すぐ個室に移ってくれないかしら?」


と言われてしまった。

これを聞くまで「え?あの曜子が相部屋なんか使っていたの!?」とさえ思っていた。



「え?どういうことですか?」



「実は新しい人が入りそうなので…。」



「あ、わかりました…。」



まぁ看護師長さんは表向きはそうはいってるものの多分、曜子のうるささにはもう限界なんだろう。

多分同室の人は、曜子が同じ部屋にいること事態で嫌なのだろう。

それにしても、昨日今日に入院したばかりだというのに、この嫌われよう。

同じ患者たちはもちろん、看護師やスタッフたちからもここまで嫌われているのはもうあきれてものがいえない。


曜子はいつ、ここを追い出されてもおかしくはないだろう。

来て早々に、看護師長から個室に移ることをお願いされていることはそういう事である。


ハァ…本当に恥ずかしい…。



曜子の部屋の移動を終え…曜子が部屋を出て行った後…



「やーっと出て行ってくれたよー」


「ホンっと、やかましい子だったわよねー。」

「なんで少しぐらいは静かにできないのかしら?」

「あの子、あの歳で姑みたいにうるさくてさー、もうせっかく療養してるのにホント窮屈でさー。」


「やっぱ苦情出して正解だったわー。」




曜子と同室だった人たちの声が聞こえてきたので、私は曜子が今までいた病室まで戻ったら、残った人たち3人固まって曜子の悪口を言っていた。


「あの…」


3人とも私がまだいることに気付いたら、気まずくなったのか固まって私の方を見てきた。


「うちの妹が騒がしすぎて、本当に申し訳ございませんでした。」


とにかく、ここでだれも謝罪すらしないまま、黙って出ていくのはないと思った。


「これ、皆さんのお口に合うかどうかわかりませんが、どうか皆さんで召し上がっていただけたら幸いです。」


私は本当は曜子のために買ってきた手土産である「とーきょーバナナン」を一番手前にいた人に渡した。


「…え?」


3人ともきょとんとしていた。


「それでは失礼いたしました。」


私はそのまま部屋を後にした。

ああ本当に恥ずかしい。

あの人たち判っているのかな?



思い寄こせば15分ほど前…。


「えーーー曜子、新しいお部屋に移るのーーー?」



「そーよ。」



「うわーーー今度はどんな人と同じ部屋になるのかなーーー?楽しみーーー♪」


残念だけど個室行きだよwww


「曜子と同じ年の子がいたらいいなー♪」


お前がお前と同い年の子と同室だぁーーー?


ありえねーーーーw


年の離れた方々だったから、まだ直接お前に文句言うとか、摩擦はなかっただけで同い年の子と同じ部屋だったら、余計に別の部屋に移されるわーーー。


「だなぁ、曜子と同じくらいの年の子が同じ部屋にいれば、これで曜子も寂しくないしなー。」


「そうですね…」


「うん曜子、入院生活超楽しい♪」


と言っていた父の言っていたことになんか引っかかった。



そして案の定…





「えーーーー!?曜子一人部屋なのーーーーー!?」



曜子はつまんなさそうにしていた。

私だったらむしろ個室がいいぐらいだが、曜子は不満そうだった。

それも大部屋からはかなり離れた位置にある個室だったので、もうこれは曜子がうるさすぎて、ここまで移動させられたことは、ホントあからさまだった。


「琴金さん。お静かに。」


「でも曜子大部屋がいいの!」


「ごめんなさいね。」


と看護師さんは申し訳なさそうな顔をしていた。

ただ申し訳なさげな顔をしていても、やっぱり本音的には「当たり前だろ」というのが本音いうのは見え隠れはしている。


看護師さんも、もうさすがにこの部屋から出ていきたそうだ。



だというのにそこで…。


「なんで曜子移動することになったの?ねぇなんで?」


出たぁー曜子のなんでなんで攻撃…。

この状態になると曜子は…




「新しい人がすぐ来るからよ…」


看護師はなるべく話を短く切り上げて、この部屋から出ていこうとしていた気持ちを、私はこの時点で察していた。


「なんで?なんで先の曜子が来たのに、後から来た人にお部屋譲らなきゃいけないの?」


めんどくさくなる。


「新しく来る人があの部屋にいる人とだいたい同じぐらいの年だから。」



「なんで同じ年の人同士で部屋を振り分けるの?」



「そのほうが気が合いそうだから。」


看護師さんももうこの時点で曜子からの質疑応答はかなりいいかげんになってきた。



「じゃあなんで曜子のお部屋には同い年の患者さんがいないの?ねぇなんで?なんで?」


そんなもの



「今ねあなたと同じくらいの年の子はいないの。」


とここまで来たらそう答えるしかないやん。


もう曜子の質問が誰もが判りそうな当たり前のことばかりになってきて、さすがに看護師さんもイライラしかけてきた。もう、ホント曜子のどうでもいい質問に「なんで?なんで?なんで?」の連発質問が始まるとこっちもイライラしてくる。


「曜子!もうそのくらいにしたら?看護師さんも困ってるよ」


どうやら曜子にはまだ質問があったらしい。



「ようこ…。やっぱりつまんないなー。」



と言い出し。




「曜子、やっぱり大部屋がいい!」



「…え?」


看護師さんは、曜子を個室に隔離してようやく患者同士のもめごとはなくなって平和になったというのに…また曜子からの我儘もうこの時点で、無視して逃げようとした…。


そしたら曜子はさっきよりも声を張り上げて、



「大部屋がいいーーー!!」


と言い出した。


そして、看護師は曜子の声など無視して、いろいろてきぱき片づけていた時



ガッシャーーーん



というものを落とした音がした。

曜子の大声に、看護師はびっくりして落としてしまったのであった。

看護師さんはあくまで自分の持ち物なので、落としたものを必死で拾い集めていた。


そして曜子は何を思ったのかまた。



「大部屋がいーいー!!」



とさっきよりも大声を張り上げて、看護師さんに向かってそういっていた。



「大部屋がいーいー!!大部屋がいーいー!!」



すっごい声を張り上げてる中、看護師の耳は限界だったらしく、もう半ば頭や体がくらくらしていた。


「なぁ看護師さんよーなんとかならんかー?」


ここで父が軽く曜子に加勢するが、父の声だけならまだ余裕で知らん顔できる程度の声でしかなかった。


「大部屋がいーいー!!大部屋がいーいー!!」


相変わらず、曜子の声の方が圧倒的にでかく父の声なんかもうほとんど聞こえないぐらいだ。


曜子は無視をすればするほど、曜子の声が聞こえないの!?と勘違いしているのか?余計に声を張り上げる。自分に対して反応してくれるまで、さらに大声出して相手にしつこく詰め寄るのだ。このような状態で曜子は自分のことを無視させないようにしているのだ。はっきり言って曜子みたいな奴は、誰もが無視したいと思うかもしれないよね?だがまさに、この状態が原因で曜子のことを誰もが無視することができないのだ。


看護師さんはここで無視しないとやっとれんと思ったのだろう。

もう看護師さんですら、その場で吐きそうなぐらいつらそうにしていた。


そして、私ももう限界だ!!マジで曜子の声を聴いてるだけで吐きそうだがそうもいっとれん。


私っは曜子の顔を無理やりこっちに向かせて、



”ばっしーーーーーーん!!!”



曜子の頬を思いっきりひっぱたいた!



「お前うるさいっ!いいかげん黙れっ!!お前のそのクッソでかい声でみんな迷惑してるんだよっ!!」



といってやった。



そこで一瞬曜子は黙る…



「うわーーーーーーーーーーーーっんっ!わんわんわん!!

うわーーーーーーーーーーーーーんっ!わんんわんわん!!


うおーーーーーーーーーーーっん!!わんわんわーーーーーーんっ!!」



そうです!!一瞬は黙るのですがすぐにこれ。



ほんっとめんどくさい!!!



もういい加減にしてほしいものある!!


これでもうすぐ17歳言うのがホント信じれん!!


本当に最悪な事態だった。


結局曜子は、その日のうちに病院を追い出された。


幸い、自殺未遂とはいえ、体を傷つける寸前のところで母が見つけたので、まだ手首や体には一切怪我はなかった模様。一応念のため救急車を呼んだが、結果的にそんなことだったので、ちょっとショックで気を失っただけで住んでいたとのこと。

ただまぁ、心の問題でいつまたおかしなことをしだすか判らなかったので、入院することになっていたのだが、病院にあまりにも迷惑かけたのでこうなったと…。

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