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キンキンちゃんとの出会い

新年を迎えた。


お正月早々、おばあちゃんの家に行くことはとても楽しみだった。

初めて妹に会える日をどれだけ待ったことだか。

私もついにお姉ちゃんデビューとなるのが、何よりも素敵な思い出になると思っていた。



あいつに会うまでは…。


そう、おばあちゃんの家に着いた途端のことだった。




「うぎゃーーーーーーーーーーっ!!!

あんぎゃあーーーーーーああーーーーーっ!!!」



とんでもないほどの叫び声が玄関にまで聞こえてきた。



これが赤ん坊の泣き声か?あまりにも強烈すぎないか?

赤ん坊どころではないこれ、マジでどこかの映画の怪獣ではないか!?



私はまさかこの鳴き声が自分の妹のものだとは信じたくなかった。





がそれは妹を見た途端に打ち砕かれた。




「・・・。」



私は初めての妹のご対面に言葉が出なかった。



「あんぎゃーーーーっあんぎゃーーーーっ!!!」



目の前にいるこの怪物にとてもじゃないけどかわいいとは思えれなかった。


あのやんちゃなダイちゃんですら、ここまでやかましくない。



「ああ、みんなきたのー?いらっしゃーい」



こんなにやかましい怪獣といるというのに、うちの母はすごい笑顔で出迎えてきた。


はっきり言って、こんな怪獣といて笑っていられるこの人もすでに人間ではないと思った。



「か、母さん・・・あのさ・・・」



初めて妹みて、やっと出た第一声がこんな言葉なんて、思いもしなかった。



「元気いっぱいでしょ?星子、保育園でも一番元気な子がおきにいりだったじゃん。」



イヤな予感…




「もう、そんな星子にピッタリ元気な子でよかったじゃん。」


「多そうなのかー?じゃあ星子もこれから大活躍できていいことだらけじゃないかーー。」


「そ-なのよー。もうこの先いいおねえちゃんになりそうでー。

もう安心して任せられるというかー。」


「わしらはうまいこと言い家族になりそうで、あっぱれじゃーーー」



え?ええーーーーーーっ??



母だけでなく父まで、完全に私にこの怪獣の世話を押し付けようとしているではないか!?


多分それだよな?


冗談じゃない!!


と心の中ではそう思え始めていた。


なぜなら…


悪いけど、こいつの声嫌いだ。


確かにダイちゃんの声もでかいということは同じ保育園にいた誰もが知っていることだが、

ここまで不愉快ではない。



なんというか…


キンキンする…



耳にキンキン響きすぎて、聞いてるだけで耳が痛くてたまらない…。



くどい…


ホントに聞いてるだけで、頭がガンガンしてきて吐きそうになってきた。



私はそのまま倒れてしまった。


これが私と妹曜子の初めての対面だった。

まさかこうなるとは思ってもみなかった。


おばあちゃんの家に着いたら、いっぱい赤ちゃんみて、

おばあちゃんが作った手作りおやつ食べて、

夜はおばあちゃんの家でおいしいご飯食べて、

おばあちゃんちの温かいお風呂に入って、

赤ちゃんと母さんと私で川の字になって一緒に眠る予定だったのに・・・。



私の予想は正月早々から、見事なぐらいに打ち砕かれた。


一年の計は元旦にあり。

という言葉があるらしいが、今年はまさに最悪な年になりそうだ。


目が覚めたのは夜の9時…


いつもなら、寝入り時なはずな時間。

そんな時間に目が覚めたのは初めてだ。


「ようやくお目覚め?」


だれ?

女の人?

母より若い声だ。


「お初かしら?」



えっと…


ホントに場所も人物もみたことがないし、ここは一体??


「大丈夫よ。ここはあなたのおばあちゃんの家よ。」



こんな部屋見たことがないのだが、少なくともここはおばあちゃんの家らしい。


でもなんかここ、全然片付いてなく物にあふれかえっていて、なんか落ち着きのない部屋だ。


「あ、ここ今は私が使っているけど、もとはといえば物置なんよね。

全然片付いてなくてごめんね。

わたし、出戻りで少しの間だけにここにいるだけの予定だから、弱い立場でさ。」


いや、少しの間だけおばあちゃんの家にいるだけなら、うちの母も立場的には一緒だろう。

なんで、ここまで扱いが違うのか?は私にはこの時理解できなかった。


この人何者?


「私、風子。あなたのお母さんの妹よ。」


風子さん?母の妹?母の妹は確か…


「まぁびっくりするわよねー。目覚めたら全然知らないおばさんがいるんだもんねー。

あなたが知ってるとしたら、実鳥おじちゃんと皐月おねえちゃんよねー。」


そう、今年高校卒業予定のものすごい若い妹皐月がいるいうことしか、聞かされていなかった。

母のあと一人の兄弟は、母のすぐ下の弟実鳥おじちゃんだ。

すぐ下とはいえ、母現在37歳、叔父は31歳らしくそれでも結構年は離れている。


そうなると風子さんはいくつなんだろ?



「どうする?今日はお母さんんところで寝る?

お母さんがいいかもしれないけどさ、

たぶんあそこではあなたがねられないかな思って、ここに置いてたんだけど?」



「ここで寝る・・・」



いわれてみればその通りだと思う。

赤ちゃんの泣き声には慣れているとはいえ、昼間に聞いたあの泣き声は受け入れられない。

いまだに耳にキンキン響いている気がするぐらい気持ち悪い。


「まぁあの泣き声だもんね。姉さんは元気いっぱい過ぎるとか言ってるけど、

私は無理だわー。受け入れられないもん。」


赤ん坊相手にそこまで言うのは大人げない思うけど、正直私もそう思っていた。

同じこと考えている人がいてホッとした。



”コンコン”



こんな物置なのにノックする音がした。



「そろそろ起きた?」


皐月おねえちゃんだった。



「ああうん」



「おなかすいたでしょ?」


持ってきたのは、かなり不格好で大きさも統一感がないおむすび。


まぁそんな不格好なおむすびだったけど、


「ありがとう。お姉ちゃん。」


一応、お礼はいわないとかな。


「あんた、相変わらず…。」


「なによー」


お世辞にも見た感じ上手にできたとは思えれないおむすび。

風子さんも「あんたへったくそねー」と言いたかったのだろう。


でもさつきさんが一生懸命作ってくれた一品。


「何でもない。ありがとう。じゃみんなで食べよ。」


ということになった。



私はこの日、楽しみにしていたおばあちゃんのおいしいご飯を食べることはできなかったけど、

皐月さんが作ってくれた、おむすびをいただくことができた。


3人でこっそりおむすびを食べたことが今回おばあちゃんの家に来て一番楽しかったことだった。



そして再度眠りにつこうとした時…

私はおばさんたちのとんでもない会話を聞いてしまった。


「風子姉さんありがとね。」


「何言ってるのー。あんたを守るためだもん。遠慮なんかしないで。」


「おかげで私、卒業したらこの家を出ていくことができる。」


と皐月おねえちゃんがそう言って、私はびっくりして飛び起きた。



「え?皐月姉ちゃん出て行っちゃうの!?」



「あ」


「しっ」


私は風子さんに口を押さえられた。


「いい?星子ちゃん。このことは誰にも言わないでね。」


「え、でも私…皐月姉ちゃんや風子さんと会えなくなるのイヤだよ…。」


そう、さっきまで3人でおむすびを食べながら、

楽しくおしゃべりして仲良くなったばかりなのに、お別れになるのは嫌だ。


二人は困った顔をして顔を見合わせて、少しだけため息をついていた。


相変わらず困った顔をしたままだったが、


「星子ちゃん…。大丈夫…。また会えるよ。」


「え?でも風子姉さん。」


「このことみんなに黙っておいてくれるなら、きっと会える。

もし本当に困ったことがあったなら、また3人で協力しよう。」


「姉さん。こんな小さい子にそんな約束…。」


「下手したら、いずれはこの子もこの家の古い考えに巻き込まれるかもしれないでしょ?

その時は多分、私たちは助け合わないといけないかもしれない。だから…ね…。」


「……。」


私はこの時、風子さんたちが言っていることをよく状況をのみ込めなかったが、

大人になれば何等か面倒なことがあるということは、なんとなく察した。


でもそんなことよりも


「本当に?本当にまた会える?」



「うん。」


そう、この二人とまた会えるかどうかの方が重要だ。


「星子ちゃんがおりこうさんに今日のことを三人だけの秘密にしてくれたら。」


この約束はかなり難しそうだけど、

この二人とまた楽しい時間を過ごすためなら、約束は守るいかない。



「…わかった」



風子さんはにっこり笑って



「おりこうさんねー。今日はここでゆっくりおやすみー。」



私はその夜、風子さんの手で頭をなでてもらいながら、眠りについた。

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