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2021.11.17.『夕焼けの見える街角』と『コーヒー』の切ない話

初出:2021.11.17.(水) Twitter

お題:夕焼けの見える街角 が舞台で『コーヒー』が出てくる切ない話を5ツイート以内で書いてみましょう。

タグ:現代,社会人,悲恋,片想い,上司と部下,

【1/5】

ノー残業デーの水曜日。今夜が彼にとって特別と知りながら、私はあえて空気を読まず、終業時刻直前に「この後、お時間ありますか?」と首を傾げて見せた。「相談したいことが…」と続ければ、人の良い彼は否とは言わず。

腕時計を一瞥して、「もちろんだ」と目尻に皺を寄せた。

もちろん、と




【2/5】

快諾したのに、彼は当然の如く私を会社近くのカフェに誘った。

街角にある、ありふれたカフェ。

まだ夕焼けの見える時間帯に、人目につくテラス席を選んだのは、一刻も早くこの場を離れたい彼の本音の表れだろうか。そして同時に、私のことを全く女として見ていない証なのだろう。見咎められて




【3/5】

も、たとえ逆立ちしても、新人の私が彼の恋人に見えることはない。

好き、とは言い出せずに。


隣の課の男性に言い寄られて困っている、というあながち嘘でもない相談に、彼は相槌を打つ。手元の時計を気にしながら。

「来週、僕からも注意しておこう」

話は終わりと言わんばかりに、彼は、




【4/5】

まだ熱いブラックコーヒーを飲み干した。

「悪いけど、これから打ち合わせがあるんだ」

わかりやすい嘘と共に立ち上がる直属の上司。彼を引き留めたい欲求に苛まれる。


こっちを見て。

私を見て。


けれど、心の声が届くことはなく、「ゆっくりしていくといい」と見当違いな返事が降ってきた。




【5/5】

足早に去っていく想い人。

雑踏に消えた彼は、東京駅に急ぐだろう。遠距離恋愛中の彼女が来る日だから。明日から有給だから。

地元にいるらしい彼女は、もうじきこちらに越してくるのだという。

出逢うのが遅過ぎた。

夕陽が沈んだことにも気づかず、私はただ、血を流す心を持て余していた。

お読みいただき、ありがとうございました。

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