表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/100

2021.09.25.『騒がしいレストラン』と『植木鉢』の切ない話

初出:2021.09.25.(土) Twitter

お題:騒がしいレストラン が舞台で『植木鉢』が出てくる切ない話を4ツイート以内で書いてみましょう。

タグ:現代,社会人,悲恋,切ない,ヒーロー視点

【1/4】

「こんなに混んでるんだから、あの予約席、空けたらどうです?」

「駄目だ。ほら、無駄口叩いてないで、さっさとこれを三番テーブルへ運べ!」

「はぁい」

目の回るような忙しさの厨房から、不服顔のバイトが姿を消す。

予約なしになだれ込んできた若者たちの声が、店の奥まで聞こえる。




【2/4】

何度目かの乾杯の音頭が響く。

男は無表情のまま、再び愛用のフライパンを手に取った。

閉店後の片付けは一人でやる、と男は言った。

先程の威勢はどこへやら。事情を聞いたのか、バイトの青年も気まずそうに頭を下げ、帰っていった。

喧騒のたち消えた店。残ったのは、表情を殺した男一人。




【3/4】

月明かりを頼りに、窓際の予約席にどっかり腰を下ろし、二人分のグラスにシャンパンを注ぐ。

「なぁ、おい。天国(そこ)から見えるか?」

一息に片方のグラスを空にして、窓際の植木鉢に目を向ける。

「おまえが置いてった観葉植物、ずいぶんデカくなっだろ?時間、かかっちまったな。悪ぃ…」




【4/4】

ポケットから取り出したのは、金の指輪。

「店が軌道に乗ったら、って約束したもんな。デザイン、気に入んなくても怒んなよ?」

男の震える手が、輝くリングを一本の枝に引っ掛ける。

「愛してる」

こぽこぽとシャンパンの雨が降る。

青々と茂る葉が、男に答えるように静かにその身を震わせた。

ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ