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5話 一緒にタイムスリップする 美女仲間を 探さなきゃ!


 アンはアメリカに戻ってきた。



 自分のアパートメントに戻ってきた。出発するときにあった胸をえぐるような痛みはどこかに消えている。


 マリア・テレジアの不可思議な依頼のことで、頭がいっぱいだったから。もちろん、信じているわけではない。そもそも、幻聴の可能性だってあるのだ。


 アン自身がいくら、


「幻聴じゃないわよ」と断言しても幻聴かどうかを判断するのは、医者だろう。


 アンはそれもわかっている。


「十八世紀? タイムスリップ? こんな話を信じたらただのバカじゃないの! いいえ。バカ以下だわ。私はそんなバカ女優じゃないわよ」


 ひとしきり、心の中で罵倒寄りのつぶやきを繰り返す。もやもやを吐き出して少し落ち着いてきた。


―――でもどうせ今の私には撮影の予定はない。


「だったらオーディションに落ちた、落ちたと悩むより、マリア・テレジアの依頼を考えるほうがまだマシかもよ」


 思わずひとり言を言ってしまう。


 マリア・テレジアはあと二人の美女とともに十八世紀に行けと伝えてきた。 誰でもいいのではなくて、マリア・テレジアは「美女限定」と言ってきた。


 美女チームって素敵じゃない? いい響きだわ。


 十八世紀のドレスは私に似合うはずよ、きっと。美女三人でヴェルサイユに行ったら、絶対に注目を浴びる自信あるわ!


 でもチームを自分で作るとなると――


 マリア・テレジアが出す、美女基準を満たしている女性……アンには数名しか浮かばない。


「簡単そうに条件をだしてきたけれど、あの条件をクリアする美女って、本当にいないのよ。普通の美女だけでもそれなりに大変でしょうに!」


 出された条件は、言うのは簡単だが、その基準に従って人集めをするとなると、決して簡単ではなかった。マリア・テレジアの条件以外に、こちらサイドで自動的に発生する条件があるからだ。



―――――たとえば、十八世紀にいけるかどうかの「物理的条件」


 いきなり母親が育児中の子供を捨てて、十八世紀に行くのはあり得ないだろうし、まさか子連れでいくわけにもいかないでしょ。

 

 十八世紀に何日も行って、その間は無収入になるのだから、経済的に生活が成り立つのか? 留守を守る身内や友人たちに何と言えばいいのか?


 そんな問題だって当然あるだろう。


 さらにさらにフランス語が話せるのか? という根本問題もある。


 というか、その問題が最初にあるはずだが、マリア・テレジアはそんなことは一切おもんぱかってはくれなかった。


 そして、本当にタイムスリップするとしたら、相当タフな精神や、知恵や忍耐力も要求されるはず。私と仲良くうまくやっていけるタイプじゃないと困るし、とアンは色々考える。



――プチまとめ――


✔ マリア・テレジアご指定の美貌であること

✔ 十八世紀に何日も出かけて問題ないこと

(経済的、社会的、人間関係的に)

✔ フランス語が話せること

✔ タフ、忍耐力、知恵、ユーモア、柔軟性

✔ アンとうまくやっていけること



 マリア・テレジアが予言した、あと二人の美女って超絶、難しいんだけれど――――


 確かにハリウッドにいるから、美女には困らない。石を投げれば美女に当たるくらいだ。普通に美女リストならいくらでもできるだろう。


 ハリウッド近辺には、モデル業界だってある。モデルにまで手を伸ばそうものなら、美女リストは膨大になってしまって、収拾がつかないくらい?


 でも、実際にアンと一緒に十八世紀に行くとしたら……

 そんな美女が存在するのだろうか……


 あの彼女は子供が生まれたばかりで子育てに集中したいと言っていたし、

 あっちの彼女も夫がいてうるさそうだし、


 こっちの彼女は申し分のない美女だけど、映画の撮影に入ったって聞いたし、まさか映画を降板させてまで、誘うようなことじゃないわよね……  



 ほとんどの美女がリストから消えていく。ノートには取り消し線ばかりが増える。


 アンの頭に浮かんで、リストの最後まで残ったのはたった一人だった。


 アイリス・ヴァンダーウォーター。


 彼女は、アンに勝るとも劣らない美女だった。


 でも、こんなバカげた話を聞いてもらえるかしら? 不安が頭をもたげる。でも、彼女の性格なら聞いてはくれるはず。


 アイリスはアンを好きなはずだし、他人を見下したりしない。人柄の良さには定評あるし。


 彼女なら大丈夫、だ。アイリスはいつも面倒見の良いタイプだったもの。


 スマートフォンを取り出す。


「アイリス、どうしている? 少し話さない?」 SNSでメッセージを送る。


 五分ほどですぐに返信がある。

 

 アンは彼女の早いレスポンスに感謝しながらも、このまま、マリア・テレジアの依頼なんぞを話していいのか? 不安も胸をよぎる。


 だって、常識ってものがあるでしょ?




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