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8話 美女三人のお打合せは楽しい時間よ

ア行ばかりで名前の区別がわかりづらいというご指摘を受けました。

本当に申し訳ございません。その通りでございます。


アンはAnne、アイリスはIris、で心の中でアルファベット表記に変えて、区別いただけますと幸いです。


「アン、本当にお久しぶりね。今でもあの時のことを覚えているわ、本当にありがとう」


 フィービーはアイリスとは違う声質だが、いつも息を少し混ぜた声で甘い。


 アイリスが甘いシャーベットだとしたら、フィービーはシフォンのような声というと伝わる?


「フィービー! あれはもう十年くらい前になるかしら? あの後のご活躍は素晴らしいわね」


 話についていけないと申し訳ないと思い、アイリスに向けて続ける。


「アイリス、『セカンドハート』っていう映画あったでしょう? あの時ちょい役同士で私とフィービーは一緒だったのよ」


 フィービーも入ってきた。


「アイリス、『セカンドハート』の時のこと話しておくわ。アンはね、主演のあのバカ男、オスカー・ケインズに言い寄られそうになった時、助けてくれたの。当時あんまりお礼もいえずに撮影が終わってしまったけれど、今でも感謝しているのよ」


 主演のオスカー・ケインズというのは、人気こそそれなりにあったが、新人女優とみればすぐに声をかけ、あわよくばというくだらない男だった。


 撮影中、なんども彼がフィービーに露骨に言い寄っているのを見て、アンは憤慨していた。周りが見てみぬふりをしているのも不快だった。


 勝気なアンは、主演俳優にも怖気づかなかった。今やSNSがあるんだから、負ける気も譲歩する気も丸く収める気もなく、フィービーを救ったのだ。見てみぬふりはしない。


「オスカー! あなたのやっていること、セクハラよ! 犯罪なのよ! わかってるの?」


 オスカーはアンの言うことを聞くようなタイプではなかったが、それでもアンの余りの剣幕に、興を削がれたのか、触手をひっこめた。

 気に食わない俳優を辛辣に撃退したあと、フィービーとアンは会話した。


 撮影では挨拶と日常会話だけだったので、この時が二人の心情を吐露した初めての会話だった。


~~~ 回想 ~~~


「アン、ありがとう。助かったわ。あいつ、いつまでもしつこくて、どうしていいか不安だったの」


「何言っているのよ、あんな露骨なヤツ、証拠を揃えて突き出せばいいのよ」


「わかっていても、私……スターに逆らうのが怖くてぐずぐずしてしまって……アンの態度を見て、自分が恥ずかしくなったわ」


「大丈夫、監督にも一言言っておくから。あんなヤツ、許されていいはずないもの」


「ありがとう、アン。でも、あなたの立場が悪くなるんじゃない? 私のせいで迷惑をかけてしまったのじゃないかしら」


「フィービー、誰かがはっきりと言わなくちゃいけないタイミングだったのよ。だから、気にしないで」 


~~~~~~~~~


 フィービーはアンの勝気な正義感に憧れを感じたし、アンはフィービーがただただお礼を繰り返し、アンが迷惑をこうむるのではないかと心配し気遣う姿に好感をもったのだ。


 ちなみに、今その俳優はハリウッドで活躍していない。


 アンの怒りが通じたわけではない。実はフィービーだけじゃなく何と監督の付き合っていた女性にも声をかけたらしく、大もめにもめて映画界からフェードアウトしていったのだ。


「そうだったの、そんなことがあったのね、でもあのオスカーに平気でそんなこと言うなんてさすがにアンだわ」


 話の流れがわかったアイリスが、言葉を添える。


「何言っているの、今思い出せばまだ物足りないくらいよ、もっと反撃してやればよかったと今なんだかムカついてきたもの」


 アンはまた怒りが湧いてきたようだったが、それを見てアイリスは微笑む。


 バカ男、オスカー・ケインズの話題も面白そうだが今日の目的はそれじゃないから、とやんわりと軌道修正する笑みだ。


「ねえ、アン。フィービーはね、十八世紀に一緒に行ってくれるって約束してくれたわ」


「本当に? 大丈夫なの?」 


 オスカー・ケインズに対するむかつく思い出は一瞬に消える。


 フィービーが笑う。


「ええ、行くわよ! だって、ご褒美がもらえるんでしょう?」


「ご褒美狙いなの? 確かにマリア・テレジアはそういったわ。私には役をくれるって」


「フィービーも私もね、今欲しいものがあるの。だからマリア・テレジアの「選択肢の糸」とやらの力を借りたいのよ」


 期待以上の展開すぎる。この二人がこんなに乗り気で来るとは……わかっているのだろうか。ご褒美の前に十八世紀にタイムスリップするのよ……


 さらにその後、仕事があるのよ……結構大変そうな仕事が。


 ポリニャック伯爵夫人から、マリー・アントワネットを引きはがしてくるという、人間関係を扱うかな~り面倒な仕事よ。



「信じてもらって嬉しいのに、これを言うのもどうかと思うけれど、この十八世紀行きが本当かなんて私にはわからないの」


 アンは二人が乗り気なので返ってひるんでしまい、こう打ち明けた。


 今度もアイリスがほほ笑みながら言う。


「嘘だったら過去に行けないだけでしょう? だからいいのよ、アン。それよりも、私達二人、もう少し説明が欲しいのよ」



 あっさり十八世紀に行くと約束してくれた二人だが、当然の反応だろう。アンだって、もっと説明を欲しているのだから。



 三人はそれぞれお互いを知っていたが、今日はアイリスが上手に仕切ってくれる。気が利いて優しいのがアイリスだ。



――――


「私が聞いたことを簡単にまとめるとね、マリア・テレジアの依頼はマリー・アントワネットの気持ちを変えること。そのために必要なのが私たちの顔、みたいよ」


「顔? 顔がどう関係するの?」フィービーが興味津々で聞いてくる。


「私達三人の顔立ちはアントワネット好みなんですって」


「う~~ん。そう言われてもね」


「顔が好かれれば、ポリニャック伯爵夫人のいいなり状態のアントワネットの気持ちを変えられるはずって。……と、こういう話みたい」


どういう話なのでしょう……?



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