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魔力タンクと蔑まれた魔法使い、魔力で強くなる魔剣を拾う  作者: マコト
シエラ/ノークリッド編
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思わぬ才能

 ティルの驚いている意味が、いまいち理解できない。


「分かるの? って言われても、魔法式はさっきティルが見せてくれたじゃないか」


 俺は単に、そこから読み取れる情報を口にしただけに過ぎない。


「あぁ、もう……そうじゃなくて!」


 きっと彼女なりに伝えたいことはあるのだろうけど、言葉にするのが難しいのかもどかしそうに頭を抱えていた。できれば汲み取ってあげたいところだけど……。


「いいわ。ならもう一度、出来ればさっきより詳しく魔法式をどう組み替えた風に見えたか説明してちょうだい。それで判断するわ」


「わかった」


 きっと、俺とティルの間に何か認識の違いがあるのだろう。それを明確にする為に、俺はもう一度さっきの魔法式について一節一節より丁寧に説明していった。


 ………………

 …………

 ……


「――つまり、こうすることでティルはサーニャが覚えやすく、現代魔法にも適応した形で魔法式を組み替えたと思ったんだけど」


 今度はさっきよりもかなり詳しく説明した。もうそれは講義かと言われるくらい懇切丁寧に。これで少しはティルも納得してくれると良いんだけど。


「嘘でしょ……」


 しかし発せられたのはそんな言葉だった。個人的には結構うまく説明できたと思ったんだけど、やはり内容が間違っていたんだろうか?


「俺の解釈が間違っていたなら謝るよ。ごめん」


「いいえ、その逆よ。今の説明は全て正しい」


「え、じゃあ何も問題ないんじゃ……」


「問題と言うよりは……いいえ、やっぱりこれは大問題よ」


 一度は納得しかけたものの、直ぐに思い直したのかティルは首を振った。


「理解できるはずないのよ。だってアンタ、元となった魔法式を知らないでしょ?」


「そりゃもちろん、昔のだから知らないけどさ。組み替えた式はティルが教えてくれたし、対抗呪文アンチスペルの一つなんだから推測くらいは出来るよ」


「だから、それが常人には不可能だと言っているの」


「え……? でもサーニャだって理解してるじゃないか。現にほら」


「あの、終わったんですけどこれで大丈夫そうですか?」


 俺とティルが話している間にサーニャは魔法式の構築から発動まで終わらせたのか、輸液の入った袋を持って遠慮がちに尋ねてきた。


「うん、俺が見た感じ大丈夫そうだけど……ティル、どうかな?」


「……えぇ、問題なく出来ているわ。良くやったわね、サーニャ」


「ありがとうございます! あっ、わたし輸液を点滴に繋いで良いかダンテさんに確認してきますね」


 そう言ってサーニャは入り口で待機しているダンテさんに確認を取りに行った。


「サーニャは普通に対抗呪文を使えてるじゃないか。発動できるってことは、魔法式を理解してるってことでしょ? 何も俺に限った話じゃないと思うけど」


「言い方が悪かったわ。そうね、普通の計算で例えましょう」


 ティルはため息を一つ吐くと、表情を切り替え説明を始めてくれた。


「アタシはサーニャとアンタに、普通では絶対に解けない問題の計算式と答えを教えた。サーニャは計算式と答えだけ暗記して回答し、アンタは何故その計算式となったのか全て理解した上で回答した。これで言いたいことが分かるかしら?」


「あ、そういうことか」


 そのたとえで、ようやく何が言いたいのか理解できた。


「でも、それはサーニャが今まで魔法について学ぶ環境になかったからじゃない? 普通の魔法使いだったら、ある程度は理解できると思うけど」


「いいえ、無理ね。セントシュタットでガザックと少しだけ魔法について議論したことがあるけど、恐らく彼でも半分程度しか理解できないでしょう」


「師匠が!?」


 それこそ何かの冗談じゃないだろうか?


「元々この魔法式はアタシとかつての聖女が何年もかけて構築したもの。しかも術式はかなり古いから、現代の人間では理解できるはずがないのよ」


「じゃあ、なんで俺が理解できてるわけさ?」


「アタシが理由を知りたいわよ、まったく……。正直、今日ほどアンタが大魔導士の後継者に選ばれたことに納得できた日はないわね」


「そこまなんだ……」


 ティルがここまで言うからには本当のことなんだろうけど、あまり実感はない。昔は魔法が使えなかったから色んな魔導書を読み漁ったけど、そのおかげかなぁ。


「あの、確認取ってきました。『王が少しでも良くなる可能性があるなら、お願いします』だそうです」


 と、そこにダンテさんに輸液の使用許可を貰いに行っていたサーニャが戻ってきた。ティルとの話はまだ途中だけど、まずは応急処置の方を急がないと。


「それなら、さっそく点滴を繋いでもらおうか。ティルも、ひとまずこの話は」


「そうね、優先すべき方から手を付けましょう。今のところ、アンタのその『才能』が活かせる場面でもないでしょうし」


 こうして俺たちは、対抗呪文をかけた輸液を点滴台に取り付けた。


 効果はどれくらいで現れるかはまだ分からないが、それまでは貴賓室のエレノアやクロエと今後の相談をするのが良さそうだ。なにせこの先は色々と時間が限られてくる。少しでも効率的に動かないと、目的を達成することは難しいだろう。


 それにしても、ティルに『才能』とまで言ってもらえた魔法式の理解力。果たして今後何かに活かせることがあるんだろうか?

読んでいただきありがとうございます!


少しでも「面白いかも」「続きが気になるかも」と感じましたら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】から評価して下さると嬉しいです。


少しでも皆さんに面白いと思って貰える物語を作ることが出来ればと思います。応援宜しくお願い致します。

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