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第94話 次の依頼

「隊長、私はこれで失礼してもよろしいですかね」


 私が何かを言う前にリベリオがヴィクトールに声をかけた。


「あぁ、構わん。ご苦労だった」


「失礼します」


 一礼してこちらを振り返ることもなく、リベリオは部屋を出て行った。


「自分もこれで失礼します」


 ヴィクトールの隣に立っていた副隊長も同様に部屋を出て行った。

 結局何のためにいたんだか分からなかったな。名前すら分からないし。


「シエル、それで先ほどの話だが」


「あ、はい」


「この任務が終わったら騎士団からお前に正式に依頼したい。だが危険な仕事だ。内容を聞いて無理だと思ったら断っても構わない」


「分かりました……」


 なんだろう、どんな仕事なんだろう。気になる。


「危険な仕事を子供にやらせるのか?」


 咎めるような言い方でセスが口を出した。


「シエルは冒険者登録をしている冒険者だろう。その冒険者に依頼を出すだけの話だし、受ける受けないもシエルの自由だ。それにエルフは15歳で成人だと聞いているが?」


「…………」


 その言葉にセスが黙った。


 なぜセスがそういうことを言うのだろう。ただ単にこの任務と一緒で若い命を落とさせたくない、というだけの話にしてもずいぶんと"子供"にこだわっているような。そんなに子供好きという感じでもなさそうなのに。


 まぁ、知らないだけで、実はめっちゃ子供好きで小さい子供の前では豹変するとかかもしれない。もしそうならちょっと見てみたい。


「それで、どんな内容なんですか?」


 雰囲気がピリピリとしてきたのでひとまず話を振ってみることにした。

 どんな内容なのか分からないことには話のしようもないし。


「依頼内容についてはこの任務が終わってから別の者に話をさせる。今余計な情報を入れて任務に支障が出てもまずいからな」


「分かりました……」


 いや、こうやって焦らされても気になって任務に支障が出そうなんですけど。でもヴィクトールがそう言っている以上、今は聞けそうにない。


「ひとまず今日はこれで全員下がっていいぞ。時間を取らせて悪かったな」


 そうして、私たち3人はヴィクトールの執務室を後にした。






「ご苦労だったな、シエル。疲れただろう」


 建物の外に出るなり、ガヴェインが私に言った。

 確かにあの堅苦しい空気に疲れを感じていないと言えば嘘にはなるが、それはみんな同様だろう。


「いえ、大丈夫です。まさか自分も罪に問われることになるとは予想していませんでしたが……」


「騎士団という組織はそういう部分が堅苦しいんだ。すまんな」


「2人とも知っていたならせめて教えておいてほしかったです」


 私がそう言うと2人は一様に苦い笑みを浮かべた。


「この件が不問になるであろうことは分かっていたからね。リベリオはこの件でかなりヴィクトールから絞られたらしいし、それで処罰を望むことはさすがにしないだろうと」


 セスが言う。

 そうなのか。厳重注意、という言い方だったからそこまでではないのかと思ったけれど、それなりにヴィクトールはちゃんと雷を落としたのか。


「俺は隊長から不問にすることは事前に聞いていたから言う必要もないと思ってた。すまん」


 なんて気が利かない人なんだ、ガヴェイン。


「いえ、まぁ、事なきを得たのでよかったです」


「事はあっただろう。騎士団の持ってくる仕事は危険だと言ったら本当に危険だから、できれば君に引き受けてほしくはないところだな」


 ヴィクトールからの依頼の件で、再びセスが難色を示す。


「聞いてから考えるよ」


 危険と言ったら本当に危険、なのか。それをセスは強制的に騎士団からやらされるわけだ。そんな仕事をセスに押し付けることになってしまったのは私の責任だ。


「でもセスは断れないんだもんね。僕のせいだ、ごめん」


「違う。そういうことを言いたいんじゃない。この件はもう終わったんだ。自分を責めるのももう終わりにしよう。お互いに」


 悲しそうに笑ってセスが言った。

 お互いに、か。


「そうだね。僕もセスが僕のためにとやってくれて嬉しかったよ」


「……そう」


 セスは私の言葉にただそれだけを答えて、柔らかく笑った。




 イケメン!!!

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