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第84話 面会・1

「まぁ、だから騎士見習いを何人かここで使ってるんだけどね」


 リベリオが肩を竦めて言った。


 そういえばリベリオがいない時間には騎士見習いの人が誰かしらいる。

 私が眠っていた間も騎士見習いが様子を見てくれていたと聞いた。

 レオンも3班に配属される前はそういうことをやっていたのだろうか。


「もう寝なよ。じゃあね、おやすみ」


 私の返答も待たずにリベリオはそう言ってすぐに部屋を出て行ってしまった。

 痛み止めで痛みが落ち着いたからか、私も程なくして眠りについた。






 次の日の朝、下山して来た1班に怪我人がいなかったので、リベリオが治癒術をかけてくれた。


「はい、これで完治だ……。今日1日はここで過ごして、夜になったら部屋に戻っていいよ。まぁ、後でまた来るけど。点滴もまだ交換しないといけないし」


 疲労の色を濃く出しながらリベリオが言った。


「ありがとうございます」


「じゃあ僕は少し休むから、何かあったら騎士見習いに言いなよ」


 ヒラヒラと手を振ってリベリオは去って行った。


「シエル!」


 リベリオと入れ替わるようにフィリオ、アイゼン、ニコラが現れた。

 私の朝食だろうか、フィリオの手に食事が握られていた。


「みんな……」


「やっと面会が許可されたんですよ。はい、これ朝食です」


 朝食は昨日と同じ消化にいい病人食だった。


「ありがとう」


「シエル、調子はどう?」


「今しがた完治したところだよ。今日1日ここで過ごしたら夜には部屋に戻れるって」


 ニコラの質問に私は左腕をグルグルと回して答えた。

 もう何の痛みもない。


「それは良かった」


「ニコラ、ごめんね。ニコラには迷惑をかけた」


「ううん。大丈夫だよ。無事でよかった」


 笑顔を見せるフィリオとニコラとは裏腹に、アイゼンはどこか悲しそうな顔で2人の後ろから私を見ていた。

 どうしたんだろう。


「シエル」


 そんなアイゼンが私の側まで来て名前を呼んだ。


「シエルが怪我をしたのは俺のせいだ。シエルはあんな状態でも俺のせいじゃないって言ってくれたけど……俺が前衛としてシエルを守らなきゃいけなかったのに……本当にごめん」


 そう言って頭を下げる。

 まだそのことを気にしていたのか。

 それは辛い思いをさせてしまった。


「あれは僕がセスの忠告を無視してリザードマンに近づきすぎたせいだ。アイゼンのせいじゃない。だからもう顔を上げて。大丈夫だから」


「ありがとう、シエル」


 どこか泣きそうな顔でアイゼンが言った。

 ここに来るまでアイゼンも苦しかったんだろう。私の言葉が心まで届いているといいと思った。


「みんな、隊長に進言書を提出してくれたんだってね。ありがとう。今回のことはセスのせいじゃなくて僕のせいだから。僕も後で隊長のところに行って進言してくる」


「セスのせいでも、シエルのせいでもないですよ。僕たちはみんな同じ気持ちです」


「ありがと……」


 フィリオの言葉にちょっと泣きそうになってくる。


「じゃあ、僕たちはそろそろ行きますね。食事の邪魔をしてもいけないですし。食器は食堂の方が後で取りに来るみたいなので、そのままでいいと言っていました」


「そっか、ありがとう。今日は15時から任務だよね。頑張って。一緒に行けなくてごめんね」


「大丈夫だよ。ゆっくり休んでね。僕たちもゆっくり待ってるから」


「ありがとう」


 その気持ちが嬉しくて、3人が帰った後ちょっと泣いた。






「…………」


 ちょっと泣いてるところを一番見られたくない人たちに見られた。

 女子チームである。

 まさかこんな入れ替わるように来るなんて思っていなかった。


「出直しましょうか?」


「いや……もういいよ。3人とも来てくれてありがとう。ついでに今見たことを忘れてくれると嬉しいんだけど」


 エレンの言葉に私は諦めの気持ちを込めて言った。

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